不可分債務と連帯債務とは・・・

不可分債務と連帯債務とは・・・

不可分債務とは、性質上または当事者の合意により分けることができない目的物を給付する債務を複数の人が負う場合をいいます。

例えば、賃借物を共同相続した場合の賃料支払債務などです。

連帯債務とは、複数の債務者が同じ内容で、各自が独立して全部の履行をしなければならない債務を負担し、そのうち一人が履行すれば他の債務を免れる場合をいいます。

不可分債務・連帯債務は、一人の人が財産を持っていなくても、他の債務者が財産をもっていれば、債権の履行を受けることができ、ともに結果として担保の機能を有しています。

いずれも債務者の数だけ別個の債務が存在するもので、保証債務のように主たる債務に対する従たる債務ではなく、附従性はありません。

債権者は、誰に対し、いくら請求してもよいことになります。

一人の債務者について無効または取消の事由があっても、他の債務者には影響しません。

ただし、連帯債務では、債務者の一人に生じた事由が、他の債務者に影響を与える場合があります。

不可分債務では、弁済および弁済と同様の事由のほか、他の債務者には影響しません。

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併存的(重畳的)債務引受とは・・・

債務引受とは、債務者の債務を他の人が引き受けて、債務者が代わることをいいます。

債務引受のうち、新しい債務者または引受人が、もとの債務者と一緒に債務者になる場合を併存的(重畳的)債務引受といいます。

第三者が債務者と同一内容の債務を新たに負担し、債務者が二人になり、債権の担保力を強くするものです。

保証と同じく債務者の意思に反しても第三者である引受人が弁済できます。

保証との違いは、引受人は新たな債務を負担し、債務に主従がなく、引受人の債務は代位弁済義務ではなく固有の義務になります。

弁済以外で債務者の義務が消滅しても引受人の債務に影響はありません。

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第三者弁済とは・・・

第三者弁済とは、債務者に代わって弁済することをいいます。

第三者は弁済により、債務者に対して求償権を取得するとともに、その求償権の範囲において債権者が有していた債権や担保を代わって取得することができます。

これを弁済による代位または代位弁済といいます。

第三者弁済のうち、保証人や物上保証人のように、弁済をなすことについて法律上の利害関係を有する者は、債務者の意思に反していても弁済することができ、弁済により当然に債権者の債権や担保権を取得できます。

これを法定代位といいます。

法定代位権者には、保証人、連帯債務者、物上保証人、担保物件の第三取得者、後順位担保権者などが含まれます。

逆に、弁済をなすについて法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反すると弁済することはできません。

債権者の承諾を得て、はじめて債権者に代位することができます。

これを任意代位といいます。

任意代位については、代位する旨を債権者が債務者に通知し、あるいは、債務者がこれを承諾しなければ、債務者その他の第三者に対抗できません。

債務者が承諾をしなかった場合は、その弁済は無効になります。

弁済者は債務者に対して求償権を取得しない反面、債権者に対し不当利得返還請求権を取得します。

債務者の意思に反することを知りながら弁済した場合は、民法の非債弁済となり債権者に対する不当利得返還請求権も成立しなくなります。

債権者の親が、子供の債務を支払義務があると誤信して弁済をした場合には、親は法律上の利害関係がないので、債権者に不当利得返還請求権を有することになります。

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日常家事の債務の連帯責任とは・・・

日常の家事に属する法律行為については夫婦のどちらがその法律行為をなしたかに関係なく、夫婦双方が権利を有し義務を負います。

家事を夫または妻のどちらか一方が担当した場合で、その担当した者が家事をとるに足る資力を持っていないときは、相手の配偶者に生活費の給付を求める立場にあります。

債権者は、夫婦のどちらかの行為についてその相手方配偶者の資力に頼ることになります。

債権者を保護するために、夫婦どちらかの行為について、相手方配偶者の財産に対する追及権を認めようとするものです。

日常の家事とは、婚姻共同生活を維持運営するために通常必要とされる一切の事項を総括したものです。

衣食住に必要な日用品の購入、家具や調度品の購入と修繕、電気・ガス供給契約、火災保険契約の締結、家賃や地代の支払、保険、娯楽、医療、子女の教育およびそのための小額の資金調達などがその中に入ります。

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