組合活動を理由の不当解雇の損害賠償・・・

組合活動を理由の不当解雇の損害賠償・・・

使用者は不利益取扱いや支配人介入に該当する不当労働行為を禁止されています。

使用者が不利益取扱いとして、解雇という方法を用いた場合には、解雇された労働者及び所属組合は、労働委員会に対して、救済の申立をして、復職、バックペイを使用者に命じる救済命令を出してもらうことができます。

また、解雇された労働者は、裁判所に民事訴訟を提起して、従業員たる地位のあることを確認し、未払い賃金の支払を使用者に命じる判決をもらうこともできます。

使用者が労働組合に対し、支配介入の不当な労働行為を犯した場合は労働組合は労働委員会に救済の申立ができます。

不利益扱いの不当労働行為が成立するためには、使用者に不当労働行為意思があること、使用者が当該労働者が労組の組合員であることや組合の正当な行為をしたことを知って、それを理由にその労働者を不利益に取り扱おうとしたことが必要です。

親会社が子会社に圧力をかけて、子会社にその労働者を解雇させた場合、不法労働行為意思は親会社に明確に認められますが、親会社は使用者ではないので、子会社の方には不当労働行為が成立しないのではないかという問題があります。

判例では、取引先が会社の組合執行委員長を解雇しなければ、一切の取引関係を断つと通告してきたため、会社が経営維持のために委員長を解雇したことについて取引先の意図はその強要により、その意図がどこにあるかを知りつつやむなく委員長を解雇した会社の意思に直結し、そのまま会社の意思内容を形成したとして、会社のなした解雇の意思表示が例え自発的に不当労働行為をする意思がなかったとはいえない、として会社についても不当労働行為の成立を認めています。

ですので、組合活動を理由に不当解雇されたような場合には、不当労働行為に該当するとして、労働委員会に対する救済申し立てや民事訴訟における従業員たる地位の確認や未払い賃金の支払を請求できます。

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上司や同僚のいじめで退職の損害賠償・・・

会社は従業員の生命・身体等が他の従業員から脅かされる場合には、そのような加害行為を防止し、被害従業員の安全を確保する注意義務をを負っています。

上司や同僚のいじめを受け、勤務を続けていくことが困難な場合、会社としては、このようないじめが発生しないよう防止する義務があり、このようないじめがあることを予見し、それを防止する措置を講ずる必要があります。

そのような義務を果たさずに、退職するに至らせたとすれば、会社に損害賠償の義務が発生すると考えられます。

上司や同僚も故意にいじめを行い、退職に至らせたわけですから、当然に損害賠償の義務を負うと考えられます。

市の水道局の職場で起こった事例で、市の責任を認め損害賠償を命じた判例があります。

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履歴書に虚偽の記載で解雇・・・

使用者は、企業の円滑な運営のために企業秩序の維持を図り、そのために就業規則を定めて、その違反に対しては懲戒処分の制裁を課すことができます。

就業規則に定める懲戒事由はいろいろですが、経歴詐称も懲戒事由とされることも多いようです。

使用者が経歴詐称を問題とするのは、賃金体系を従業員の学歴・経歴を重視しているからです。

また、中途採用の場合には、それまでの技能の程度を職歴によって評価して、その配置や賃金が決定されます。

重要な経歴について詐称があって、もし、それがなかったら、使用者は労働者を雇用しなかったであろうという場合には、労働者は懲戒解雇されてもやむを得ないとされます。

例えば、高卒者なのに大卒者であると詐称したような過大詐称の場合は、当然懲戒解雇されるような処分は考えられますが、大学中退なのに高卒者として過少詐称の場合には、会社にはほとんど影響がありません。

しかし、判例では、最終学歴が従業員配置等の労務管理上重要な資料であること等を理由に、経歴の過少詐称を理由とする懲戒解雇を有効としています。

ただし、懲戒解雇が明らかに解雇権の濫用と認められる場合には、懲戒解雇を無効として、従業員たる地位の確認、賃金の支払、解雇されたことに対する慰謝料など損害賠償の請求などを求めることができます。

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上司のセクシャルハラスメントで退職の損害賠償・・・

セクシャルハラスメントとは、職場での地位、職権を利用して、相手の意に反する性的行為を要求し、又は性的な発言などを行うことをいいます。

女性に対して卑猥な言葉をかけたり、胸や腰など身体の一部に触ったり、キスを含む性行為を強要するなどの性的嫌がらせなども当たります。

セクシャルハラスメントは、その性質、態様、手段、方法などに応じて個別的に判断されます。

性的嫌がらせが客観的にみて程度が著しい場合には、刑法上の強制わいせつ罪に該当し、犯罪が成立することもありえます。

この場合には、不法行為が成立しますので、損害賠償請求もできます。

女性社員が上司に執拗に交際を迫られたり、身体の部位を盗撮されたりして退職した事案で、会社と上司に慰謝料100万円を含む350万円の支払を命じたものがあります。

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