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自己株式の有償取得・・・
会社法は、株主との合意(市場取引または公開買付取引以外の方法)により、自己株式を有償取得するには、次の手続によります。
1 株主総会の普通決議による決定事項(定時株主総会に限定しない)
①有償取得する株式の数(株式の種類・種類ごとの数)
②取得の対価(金銭等)の内容及び総額
③取得期間(1年を超えない範囲内)
2 取締役(取締役会設置会社では取締役会)の授権
①上記1の決定事項に従い、取得しようとする都度に、次の②~⑤の事項の決定
②取得する株式の数(株式の種類・種類ごとの数)
③1株あたりの対価の内容・算定方法
④取得のための交付する金銭等の総額
⑤株式の譲渡しの申し込みの期日
3 通知または公告
①上記2の内容を株主総会(取得する株式の種類の株主)に通知
②公開会社では、通知ではなく公告でも可
これら手続を経た後に、次の方法により発行会社は株主から自己株式を取得します。
≫株主は、取得請求期間内に、譲渡しの申し込みをして、株式の種類および数を会社に通知します。
≫会社は、譲渡しの申し込みをした株主から株式を取得します。
≫譲渡しの申し込みの株式総数が、取締役(または取締役会)の定めた総数を超える場合、会社は株式を按分して取得します。
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自己株式の按分取得と自益権・・・
株主が発行会社に株式の譲渡しの申込をした場合、株主からの申込総数が取締役または取締役会の定めた取得予定総数を超えた場合、取得総数を申込総数で除して得た数に、株主が譲渡しの申し込みをした株式の数を乗じて得た数の株式の譲り受けを承諾したものとみなします。
その数に1に満たない端数がある場合、これを切り捨てるものとします。
例:A社が取得する株式を普通株式20,000株と株主総会で決議
株主Bが14,000株
株主Cが12,000株
の譲渡しの申込の場合
株主Bから取得する株式数
20,000株÷(14,000株+12,000株)×14,000株=10,769株
株主Cから取得する株式数
20,000株÷(14,000株+12,000株)×12,000株=9,230株
また、会社法は、自己株式について、剰余金の配当などの自益権を認めないとしています。
自己株式を除き、株主はいつでも剰余金の配当は可能です。
株式の消却について、株式会社は自己株式を消却することができます。
消却する自己株式の数(種類株式については、その種類及び種類ごとの数)を株主総会で定めます。
取締役会設置会社では、取締役会の決議によります。
自己株式以外の株式を消却するには、会社がその株式を取得した上で消却することになります。
また、株式分割は株式数を増加するだけであり、割合的単位に変化はないため、自己株式にも認められます。
新株引受権は自己株式の財産的価値を維持するため肯定されますが、新株引受権の譲渡により当該価値を有するに過ぎません。
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自己株式の取得・・・
株式会社は特定の株主から自己株式を取得することになると、その方法及び価格によって株主平等の原則に反することになります。
自己株式取得の対価が実価よりも高い場合、取得対象以外の残りの株主にとり不公平となり、損害を被ります。
それが実価よりも低い場合、株主は損をして、事情に通じた内部者だけが得をすることになります。
合併、分割、事業譲渡全部の譲り受けにおいて、相手方の保有する自己株式を取得する場合、特定の株主から自己株式を買い取ることが必要であり、取得対象以外の株主にとり、自己株式の取得に係る弊害はありません。
会社法では、株式会社は、次に掲げる場合、自己株式を取得することができます。
≫一定の事由が生じたことを条件として取得条項付の株式において、条件が成就し取得する場合
≫譲渡制限株式の譲渡を承認しないで、会社が買取る場合
≫株主総会の決議による事項に基づき、株主の合意により自己株式を取得する場合
≫取得請求権付株式の取得請求に応じる場合
≫全部取得条項付種類株式を株主総会の決議に基づき取得する場合
≫譲渡制限株式の相続人等に売り渡し請求した場合
≫単元未満株式の取得請求に応じる場合
≫所在不明株主の株主売却制度に買い手として応じる場合
≫端数株の処理に買い手として応じる場合
≫他社の事業全部を譲り受ける場合において、当該他社が有する自己株式を承継する場合
≫合併後消滅する会社から自己株式を承継する場合
≫吸収分割をする会社から自己株式を承継する場合
≫上記以外に、法務省令で定める場合
また、自己株式の分類は次のようになります。
●株主との合意による取得
≫特定株主からの取得、市場取引・公開会社、事業譲渡・合併・吸収分割
●株主からの一方的請求による取得
≫株式買取請求権、取得請求権付株式
●会社からの一方的請求による取得
≫取得条項付株式、全部取得条項付種類株式、一般承継人に対する売渡請求、所在不明株主の株式、端株の合計分
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自己株式の売却・・・
自己株式が市場取引を通じて市場価格で売却される場合、発行会社が財産を減少させるおそれはありません。
他の株主及び会社債権者に損害を与えることはないと考えられます。
しかし、無制限に自己株式を市場で売却した場合、浮動株が急激に増加し、株価の下落を招くことになり、他の株主に悪影響を与えます。
会社法では、一定の場合に市場による売却を、定款で定めることができるとしました。
一定の場合とは、次のような場合です。
≫単元未満株式の買取請求権に応じて取得した場合
≫事業全部の譲る受けにより取得した場合
≫合併後消滅する会社から自己株式を承継した場合
≫吸収分割をする会社から自己株式を承継した場合
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