使用貸借契約書作成・・・
使用貸借契約とは、借主が無償で使用および収益をなした後、返還することを約束して、貸主から目的物を受け取ることによって成立する契約をいいます。
世間では、家族間、知り合い、昔からの縁などで、多くの使用貸借契約が存在します。
しかし、契約書を作っているようなことはあまりないようです。
これによって、使用貸借と賃貸借の法的な違いから問題が多々起きます。
まず、賃貸借と使用貸借の違いを説明しますね。
賃貸借契約との違いは、下記になります。
①無償であること
②目的物の返還を約束すること
③約束だけでなく、現実に目的物を受け取ることによって成立すること
賃貸借契約との違いは、「無償」ということが一番大きいわけです。
では、無償とはどこまでが無償なのでしょうか?
例えばですね、使用貸借として、貸していた不動産の固定資産税を借主が支払っていたんです。
その借主が亡くなった場合に、その相続人がその不動産の借りている権利を相続すると言い出したんですね。
貸主は、使用貸借は終了したと主張します。
ここで、一つ説明しますが、使用貸借の性質をお話しますね。
①期間の定めがなくても目的に従った使用収益が終わると、使用貸借は終了します。
②借主の死亡によって使用貸借は終了します。
そうなんです、借主が死亡すると、使用貸借は終了するわけなんです。
使用貸借だと相続しないんです、死亡で終了なんです。
しかしですね、賃貸借の場合は、終了しないんです。
相続人に相続されるんです。
では、借主の固定資産税の支払いは、賃貸借といえるのでしょうか?
ここで、無償であるのか、有償であるのか、の問題が出てくるんです。
では、この問題の答えですね、判例ではこうなっています。
「建物の借主が、建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の支払を負担する等の事実があるとしても、右負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のない限り、当該貸借関係は使用貸借であると認めるのが相当である」
固定資産税の支払いだけでは、賃貸借にはならないということなんです。
ということで、貸主はその不動産を返してもらうことができたわけなんです。
無償であるか、有償であるかについては、難しい問題なんです。
原則として、賃貸借契約は先ほども言いましたが、相続も発生しますし、借主の意思表示次第で永遠に借りられるわけなんです。
ということは、使用貸借のつもりで貸していた貸主は、賃貸借になってしまうと返して欲しいのに返してもらえなくなってしまいます。
ですので、こういう場合には事前に、必ず使用貸借契約書を作成しておく必要があるわけです。
使用貸借契約を結べるタイミングがあるのであれば、それを逃してはいけません。
後々、大変なことになる場合があるのです。
それでは、無償であるのか、有償であるのか、の争いがあるような場合を少し挙げておきますね。
・物を貸す代わりに、物を借りるような場合、これは無償の貸借とはいえません。
・別の売買契約で、貸主が借主から物を安く売ってもらうことが、その貸借の条件であるような場合には、やはり無償の貸借とはいえませんよね。
・社宅の貸借で、使用料が社宅維持費程度の金額である場合に、それが使用貸借であるかどうかですが、貸主と借主とのあいだに雇用契約が存続することは、社宅貸借の条件であると考えられますから、一概に使用貸借とはいえないですよね。
ちなみに・・・
使用貸借では賃貸貸借と異なり、使用貸借のため必要な修繕費等は、特約をしない限り借主の負担になります。
賃貸借では、貸主の負担になります。
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金銭消費貸借契約書(借用書)作成・・・
例えば、お金を貸した場合、返してくれるよう約束しますよね。
実は、契約っていうのは、それで成立します。
ですので、お金を貸した人は間違いなく返さなければなりません。
これが法律なんです。
しかしですね、口約束だけですから、もし借りた人が・・・
「借りてない・・・」
なんて言ったら、どうなるでしょうか?
そうなんです、結局、水掛け論になって、貸した証拠がなければどうすることもできなくなってしまいます。
貸し損になってしまうわけなんです。
そうならないためにも、とにかく証拠を残しておく。
これがとても重要になってきます。
その際の証拠として、お金を渡す前に、もう一度言いますね、一番相手を思い通りにできるお金を渡す前に、書面を作成しておく。
これが金銭消費貸借契約書(借用書)です。
例えば、お金を貸したが返さないので、裁判をしたとしましょう。
裁判で争うのは、お金を貸したか、貸してないか?
事実があるのか、事実がないのか?だけを争うわけなんです。
金銭消費貸借契約書(借用書)があれば、裁判所は判断するわけです。
お金を借りたのなら、返しなさい、と。
ですので、どうしても証拠を残す必要があるんです。
例えば、友人関係や恋人関係などですと、金銭消費貸借契約書(借用書)なんて、作りませんよね。
関係が良いときは、問題がないわけなんです。
しかし、一転、関係が悪くなると、返す返さないという問題が出てきます。
おまけに借りたほうは、開き直って、借りてないなんて言い出すわけなんです。
そうなると、もうどうにもならなくなります。
ただ、その前にできることはあります。
もし、金銭消費貸借契約書(借用書)を作成しないで、お金を貸した場合、まず一つはとにかく証拠を探してください。
メールでも何でもいいです。
もしなければ、作ってください。
電話の録音でもいいです。
とにかく、証拠を取る。
その際に、取る証拠の内容は、いつ、だれに、どれくらい(金額)、いつ返すのか、返す意思があるのか、ここら辺を取っておくと債権が特定されます。
この証拠をこっそり取ってください。
そして、証拠をとったことを相手に伝えてください。
今すぐ一括で返さなければ、この証拠をもとに法的手段をとることを伝えてください。
相手が全く開き直って、返すつもりがなければ、やはり法的手段しかなくなります。
しかし、相手が返すつもりはあるが待ってくれ、などとまだ返すつもりがあるのであれば、交渉の余地はあります。
待ってくれ、と言うのを突っぱねて強引な交渉も有りだと思います。
しかしそれでは、話が進みませんから、最終的に相手の返済計画を聞きます。
それで納得できるのであれば、ここで書面にします。
そうです、金銭消費貸借契約書(借用書)です。
担保の提供交渉や、保証人提供交渉や、債権を保全する手段はたくさんあります。
しかし、とりあえず完全な証拠を書面で作るのが最優先です。
交渉をうまく進めてください。
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譲渡担保契約書作成・・・
譲渡担保契約とは、担保物の所有権を債権者に移転し、一定期間内に債務を弁済すると所有権を再び担保提供者に返還するという担保方法をいいます。
少し分かりやすく説明しますね。
AがBからA所有の機械を担保にBから運転資金を借りようとする場合を考えください。
機械は動産ですから、目的物が動産であるために抵当権が設定できません。
抵当権は不動産だけです。
また、質権の設定も出来ません。
その機械に質権を設定してしまうと、その物をBに引渡さなければなりません。
引渡してしまうと、その機械で仕事ができなくなってしまいます。
引渡しが発生するのが、質権設定だからです、質屋などそうですよね。
ですので、Aは機械をBに売った事にするわけです。
売買代金に相当する額をAに渡します。
そのうえでAは、機械自体をBから賃借あるいは消費貸借して賃借料もしくは借入金を分割などで支払います。
Aは、借入金の全額を返済し終えた場合に、機械をBから買い戻せるわけです。
もしくは再売買する。
このような仕組みの契約を、譲渡担保契約といいます。
では、譲渡担保契約書作成の際の注意事項はどんなことでしょうか?
①対象の動産は債権者に譲渡する条項
②担保提供者(動産の持ち主)が債権者から担保動産を借りてそのまま使用する条項
③弁済期に弁済しなければ使用権が失われて現実にその動産を債権者に引渡すことになる条項
④現実に動産の引渡しを受けた債権者は、適当評価、任意処分代金を債務に充当し、過不足を清算をするという条項
これらの条項を最低限定める必要があります。
譲渡担保契約の問題点について少し説明します。
担保提供者(動産の持ち主)は、債権者に所有権が移ったとしても、今までどおり使用できるわけです。
そんな関係からも、担保提供者が他の債権者に二重に担保に入れないとも限りません。
また、その動産を売り飛ばす可能性もないとも限りません。
では、これらを防ぐ方法は?
実は、絶対的な方法は無いんです。
せいぜい動産に札(「この動産の所有者は****であるため、処分を禁止する」など)でもつけておくぐらいしかないわけです。
ただ、このようなことを担保提供者が行えば、当然、刑事上の横領罪や、民事上の損害賠償責任を負うことになります。
ここらへんの説明を担保提供者にきっちりして、教育しておく必要はありそうですよね。
また、第三者が担保物件を担保提供者の所有物として差押をしたような場合にはどうでしょうか?
法律的には、すでに所有権が移っていますから、この差押は違法になります。
一度差押されてしまえば裁判上の手続になってしまいますが、差押の取消の訴えを起こすことができます。
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債権質権設定契約書作成・・・
債権質とは、金銭債権に質権を設定するものをいいます。
例えば、店舗・事務所などの賃貸借契約締結のときに、借主から貸主に差し入れる敷金・保証金などを質権設定したりします。
または定期預金などの銀行預金を質権設定したりします。
債権者は債務者からこれらを質権設定して、金銭を貸します。
債務者がその金銭を返済すると、債権者はその質権設定した金銭債権を返却します。
これを債権質権設定契約といいます。
質権設定とは、質物を債権者が占有することが必要です。
動産の場合ですと、債権者は債務者から質物を実際に預かることが必要になります。
では、金銭債権の場合は、何を預かることになるのでしょうか?
金銭債権の質権設定には、債権証書の交付が効力要件になります。
では、債権証書とは何でしょうか?
賃貸借契約であれば、賃貸借契約書、保証金差入契約書、敷金預り証などが債権証書に該当します。
定期預金に質権設定をする場合には、必ず定期預金証書を預からなければなりません。
債務者が金銭を返済しなかった場合に、動産であればそれを処分して返済に充当することができます。
債権質の場合は、それを動産のようには処分することはできません。
また、このままでは債権質をしていることを第三債務者にもわからないままです。
第三債務者とは、賃貸借契約なら貸主、定期預金なら銀行です。
そこで、債権質の対抗要件として、第三債務者への通知または承諾が必要になります。
通知とは、第三債務者に証拠が残るように内容証明郵便で質権設定したことを郵便で伝えることいいます。
承諾は、第三債務者から質権設定承諾書をもらって、これに公証人の確定日付を押してもらうなどして承諾してもらいます。
ただし、債権質権としての株式などの有価証券は、通知や承諾を要しないとされています。
また、法人が有する金銭債権の債権質の設定について、民法の特例として、登記による対抗要件が認められています。
それでは、債権質権の担保権の実行については、どうすれば良いのでしょうか?
担保権の実行とは、債務者が支払わなかったときに、その債権質物をどのように処分して、どのように返済に充てるかということです。
株式の場合ですと、通知や承諾が必要ないということでもわkるように、市場で売却してしまえば、返済に充てることができます。
しかし、指名債権(敷金・保証金・定期預金など)は、第三債務者が支払ってくれれば良いですが、支払ってくれない場合には、民事執行法に基づいて強制執行する必要が出てきます。(民事執行法193条)
そして、その際には、担保権を証する文書が必要とされています。
この文書が、第三債務者の質権設定承諾書や通知の証拠として内容証明郵便の控え、それと質権設定契約書になります。
ですので、質権設定契約書を作成しなければなりません。
金銭を貸し付ける際に、その貸付金を保全するには、担保権をつけるのが一番の保全になります。
いくら公正証書を作ったからといって、無担保契約では保全にはなりません。
債権質権設定でも担保ですので、何もつけないよりは、断然保全になります。
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