刑事事件の時効とは・・・

刑事事件の時効とは・・・

刑事事件の時効には、2つの時効制度があります。

「公訴時効」と「刑の消滅時効」といいます。

犯罪を犯し、発覚すれば、警察に逮捕されます。

逮捕されると警察署で(検察による逮捕だと検察庁で)48時間、その後に検察庁で24時間の間、勾留されて取調べを受けることになります。

この3日間では十分な取調べができないと検察官が判断した場合には、裁判所に10日間の勾留を請求します。

さらに10日間の再延長も認められています。

最大限23日間の取調べが行われたら、検察官は犯罪を犯したと認められる者(この段階では被疑者)を刑事裁判にかけるかどうか、すなわち起訴するか不起訴にするかを決定します。

この起訴することを「公訴の提起」といいます。

そして、時効が完成することによって、検察官が公訴の提起ができなくなるのが「公訴時効」です。

犯人の公訴時効が完成した後で、自分が犯人だと警察に出頭した場合、時効が完成していますから、処罰する事はできないのです。

この場合には、裁判所は免訴の判決によって訴訟を打ち切ることになります。

「刑の消滅時効」は、刑事裁判で有罪の判決を受けた者が、刑を執行されないうちに逃亡するなどして一定期間を経過すれば時効が完成し、刑を執行できなくなるものです。

殺人罪で有罪判決を受けた場合などは、身柄を拘束されるわけですから脱獄でもしないかぎり刑の消滅時効にはなりませんが、裁判中は身柄を拘束されない事件もたくさんあり、判決が言渡されて刑を執行するというときに逃げてしまうという場合が対象になります。

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消滅時効の判断とは・・・

Aは店舗を構えて雑貨店をやっていましたが、Bから500万円を借り、その際、Aの親であるC所有の土地に抵当権を設定しました。

借入金の弁済は1年間に100万円ずつを5年間で返済する約束でしたが、Aは200万円だけは返済しましたが、その後は商売に失敗して支払えなくなりました。

Bは、Aが支払うというのを信用して7年が過ぎてしまいました。

消滅時効の時効期間は、原則として「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方になります。

例えば、契約書に弁済期などの権利行使できる時期が記載されているような場合には、時効期間は5年となります。

これは債権者が権利行使できることと、その時期を知っていることが明らかなので、短い時効期間の5年となるわけです。

ですので、契約書などを交わし、弁済期を決めているような場合には、消滅時効の時効期間はすべて5年になるということです。

7年を過ぎた時に、BがAに請求したら、Aはなんとかすると言うのですが、結局支払いがないので、Bは抵当権を実行して競売を申立をしました。

Cは物上保証人といいます。

C自身はお金を借りていないので、主たる債務者ではありませんが、Aのために不動産を提供した物件提供者であり、Aが不履行をすればこの不動産は競売にかけられてしまします。

Aは2年間で200万円だけを支払い、その後に支払えなくなったので、最後に支払った時から消滅時効が進行します。

割賦払いの契約の時は、通常、1回でも支払を遅滞したときは残額を一時に支払うという「期限の利益喪失」特約がついていますので、残額全部について消滅時効が進行します。

この「期限の利益喪失」特約がついていないときは、BはAに対し「割賦金を**月**日までに支払え、支払わなければ割賦払い契約を解除する」との通知を出さないと、割賦払い契約はそのままになってしまいます。

1年1年残金300万円について100万円ずつ、それぞれの年毎に時効の進行を開始することになります。

また、Aが支払うと約束したということは、債務の承認となり、時効は更新します。

債務の承認は時効更新事由となるのですが、書面などの証拠がなければ水掛け論になってしまい、時効は更新しないことになります。

Bの債権が時効更新事由は成立していないとすると、BのAに対する債権は消滅時効にかかっていることになります。

債務者Aは、Bが抵当不動産に競売をかけてきても、時効を援用して、債務不存在、抵当権消滅の主張をすることができます。

現実には、時効の援用で競売手続の停止を裁判所に申し立てておいて、その上で訴訟を起こします。

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交通時効の加害者請求と被害者請求の時効とは・・・

交通事故の保険金の請求で、加害者請求の時と被害者請求の時では、時効の起算点が異なるのはどうしてでしょうか?

交通事故の損害賠償請求権の消滅時効は3年ですが、保険金の請求権は3年です。

ただ、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については5年です。

この保険金の請求につき、加害者請求手続のほかに被害者請求手続というのがあります。

これは強制保険で認められる制度ですが、現在では一定の条件の下に任意保険でも認められています。

保険金というのは、加害者が被害者に賠償金を支払った後で、その領収書をつけて加害者が保険会社に請求するものです。

自賠責保険に限って被害者の便宜のため、被害者から直接、保険会社に請求できるようになっているのです。

被害者請求の時は、退院の時に病院に50万円支払ったとすると、その時から被害者は保険会社に50万円を請求する権利を持つので、そこから消滅時効が進行するわけです。

もし、保険金の被害者請求をしなかったときは、被害者は退院のときから3年以内に50万円を請求できます。

退院から2年経って、加害者が被害者に50万を支払ったとすると、加害者は、この50万円を保険会社に請求する権利が生ずるので、加害者の保険会社に対する保険金請求権の消滅時効は、そのときから進行するのです。

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