弁済期の定められた起算日とは・・・

弁済期の定められた起算日とは・・・

民法144条には「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」とあり、この規定は取得時効にも消滅時効にも適用されます。

消滅時効については、民法166条に「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」「権利を行使することができる時から10年」と定められています。

わかりやすくいうと、例えば、契約書に弁済期などの権利行使できる時期が記載されているような場合には、時効期間は5年となります。

これは債権者が権利行使できることと、その時期を知っていることが明らかなので、短い時効期間の5年となるわけです。

ですので、契約書などを交わし、弁済期を決めているような場合には、消滅時効の時効期間はすべて5年になるということです。

起算日でいえば、1月1日が弁済期として契約してあれば、1月1日が起算日です。

ただし、計算上は初日不算入の原則により1月2日から何年と計算します。

弁済期といっても、出世したらとか、病気が治ったらなどという条件がついていたときは、その条件が成立した時からとなり、この場合は起算日もあいまいになります。

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弁済期の定めのない起算日とは・・・

お金を借りて弁済期を定めなかったときの弁済期はいつ来るのでしょうか?

民法412条3項によりますと「債務の履行について期限を定めなかった時は、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」と定められています。

また、民法591条には、金銭の貸借の時、当事者が返還時期を定めなかった時は、貸主は相当の期間をおいて返還の催告をすることができる、と定めています。

債権者が債務者に対して請求しない限り債務者は履行遅滞にならないのですが、債権者は契約成立時、お金を貸した後、いつでも債務者に返済請求する事ができたのですから、結局、債権の消滅時効の起算点としては契約成時からとなります。

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割賦払い債権の起算点とは・・・

割賦払いの契約でお金を借りたとき、例えば3ヶ月だけ返済したが、その後債務者が支払わなかったとします。

割賦契約の時は、多くは「1回でも割賦払いを怠ったときは当然に割賦払い契約は解除されその時の残額を一時に支払う」との特約をつけます。

これを「期限の利益喪失約款」といいます。

判例は「割賦金弁済契約において、債務者が割賦払いの約定に違反して割賦金を支払わなかったときは直ちに残額全部を弁済すべき約定が存在する場合には、債権者がとくに残額全部の弁済を求める意思表示を債務者に対してなしたときは、その時から残額全部について消滅時効が進行開始する」としています。

注意すべき点は、割賦金を1回でも支払わなかったときは債権者から債務者に催告をしなくても割賦契約が解除されて、直ちに残額全部を一時に支払うべしと契約書に書いてあったとしても、判例によると債権者から債務者への催告は必要だということです。

割賦契約書に期限の利益喪失約款がなかったときは、債権者から債務者に対し遅滞している割賦金の支払催告をし、何月何日までに支払わなければ割賦契約を解除すると通知しなければなりません。

その期限までに割賦金を支払わなかったとき、改めて割賦契約解除の通知と残額の支払の催告とをすることになります。

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初日不算入の原則とは・・・

民法144条には「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」とあり、この規定は取得時効にも消滅時効にも適用されます。

消滅時効については、民法166条1項に「消滅時効は、権利を行使することができるときから進行する」と定められています。

弁済期が1月1日とすると、消滅時効は1月2日から起算します。

それは、民法140条によると、民法上の期間を算定するときは初日を算入しないとなっているのです。

弁済日が1月1日ということは、正確には1月1日の9時なのか、14時なのか、21時なのかわからないわけです。

そこで、初日1月1日は無視して、1月2日から時効は進行するとしたのです。

消滅時効の起算点の判例・・・

①確定期限のある債権については期限到来の時から起算します。

②出世債務は出世した時から消滅時効を起算します。

③期限の定めのない債権については、債権が成立した時から起算します。

期限の定めのないときは債権者はいつでも返還請求を出来るからです。

④契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償債務の消滅時効は、本来の債務たる原状回復義務の履行を請求しうる時、契約解除のときから進行し、履行不能時ではないとしています。

⑤再売買の予約完結権の消滅時効の権利行使につき、とくに始期を定め又は停止条件を付しない以上、予約完結権の成立した時から進行します。

⑥割賦払債務につき、1回でも割賦払いの約定に違反した時は債務者は債権者の請求により期間の途中であっても、直ちに残債務全部を弁済すべき約定が存する場合には、1回の不履行があっても各割賦金債務について各約定弁済期の到来期ごとに順次消滅時効が進行し、債権者がとくに残債務全額の弁済を求める意思表示をした時に限り、その時から全額について消滅時効が進行するものと解すべきとしています。

通常の割賦払契約書には、1日分でも弁済を遅延したら、改めて催告をしなくても当然に契約は解除され、残額を一時に支払う、と約定されています。

この場合にも、判例によると、残債務全額の弁済の請求書を出さなければならないということになります。

⑦弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点は、供託の基礎となった債務について、紛争の解決などによりその債務不存在が確定するなど供託者が供託によって免責を受ける必要が消滅した時であるとしています。