抵当権の取得時効とは・・・

抵当権の取得時効とは・・・

抵当権の被担保債権が消滅時効にかかれば、抵当権も消滅します。

買った土地に抵当権がついていても、その被担保債権が時効で消滅していれば、土地の買主もこの消滅時効を援用できます。

土地を買ったら抵当権が設定されていたが、その後その買主が10年以上その土地を占有していて取得時効の要件を充たしたときに、その抵当権が消滅するかどうかが問題になります。

土地を買うときに、その土地に抵当権が設定されていたことを知っていたか知らなかったかも問題になりますが、抵当権は登記簿に登記されていますので、知らなかったというのは通用しないでしょう。

民法397条には「債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する」とあります。

以前の判例だと、抵当権の第三取得者には、同条は適用されないと、していました。

しかし、その後、最高裁の判決では、抵当不動産の第三取得者にも適用されるとしました。

しかしながら、実は、理論的には、これについて未決着の状態のようです。

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借入金利息と消滅時効・・・

借入金の元本に消滅時効の援用をした場合、利息についても援用されたのでしょうか?

これについては、利息についても援用したとみなされます。

特に、利息について、消滅時効の援用をしない意思であることが明白な場合は別として、通常は元本と利息とを一体として考えています。

金銭債務が不履行の場合に生ずる遅延損害金については、本来の債権と同一の消滅時効にかかり、消滅時効期間は10年であるという判例があります。

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債権譲渡と時効援用者・・・

債権譲渡について、時効期間完成後と時効期間完成前について考えてみます。

民法468条によると、債権譲渡につき債務者が異議を留めなかったときには、譲渡人に対抗し得る事由を、譲受人には対抗できないとされています。

判例では、時効援用はこの対抗し得る事由に入らないというのもありますが、時効が完成した後の債権譲渡の承認は、時効利益の放棄としたものもあります。

時効期間完成前の譲渡承認が時効更新になるかは、疑問です。

債権者代位権について、後順位抵当権者が、この代位権で被担保債権の時効を援用できるかは、民法145条の援用権者が当事者に限るのかの問題になります。

判例は「後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではなく、・・・消滅時効を援用することはできない」と否定していますが、学説の中には、代位して時効援用できるとするものもあります。

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