時効の更新とは・・・
消滅時効の時効期間は、原則として「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方となります。
わかりやすくいうと、例えば、契約書に弁済期などの権利行使できる時期が記載されているような場合には、時効期間は5年となります。
これは債権者が権利行使できることと、その時期を知っていることが明らかなので、短い時効期間の5年となるわけです。
ですので、契約書などを交わし、弁済期を決めているような場合には、消滅時効の時効期間はすべて5年になるということです。
5年又は10年経てば、何が何でも時効で消滅するわけではなく、時効には更新があるのです。
5年又は10年経たない間に、債務者が1部でも弁済すれば、そのときに消滅時効は更新します。
消滅時効期間は、更新したときからさらに5年又は10年になります。
消滅時効にも取得時効にも更新がありますが、時効制度というのは、権利の上に眠る者を保護しないとか、証拠を長期間にわたって保全する事の困難さを救済するためにあるわけです。
しかし、債務者が一部弁済したり債務承認書を債権者に渡したりしたのなら、債権者は権利の上に眠っていなかったことになりますし、証拠が改めて明確になったわけです。
ですので、その時点から新たに時効が始まるのです。
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時効の更新 裁判外の請求・・・
債務者が一部弁済したり、債務を承認したときは、事実関係が明確になりますが、債権者が請求しただけでは事実関係は明確になったとはいえません。
裁判外の請求をしてから6ヶ月以内に裁判上の請求をしなければならないと民法153条は定めています。
この裁判外の請求は、あと数日で消滅時効の期間が満了になってしまうというような状況の時に、とりあえず文書で、債務者に対して請求をしておきます。
請求をしたときから6ヶ月間は、時効期間が延びるので、その間に訴訟を起こせば時効にかからないですむのです。
この6ヶ月の起算日は、請求書が相手方に届いた時からです。
しかも届いたかどうかは請求者のほうで証明しなければならないので、書面なら「配達証明付内容証明郵便」で出す必要があります。
この6ヶ月の延長は1回限りですから、6ヶ月ごとに繰り返しはできないのです。
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時効更新 訴訟・・・
裁判上の請求のうちで、代表的なものは訴訟ですが、これは債権者が訴状を裁判所に提出した時、その請求債権の消滅時効を更新します。
時効更新の時期は訴状が相手方に送達されたときではなく、提出した時です。
裁判外の請求は、請求書が相手方に届かなければ効力が生じません。
そのため、相手方が逃げていて行方不明のときには請求書を相手方に届ける事が困難になります。
そのような時には、訴訟を起こしてしまったほうが、時効更新を早く確実にすることができるのです。
訴訟を起こした時に相手方の所在不明ということで裁判所から被告に送達された訴状が返送されてきてしまうことがありますが、この場合には、公示送達という方法があります。
裁判所の掲示板に「原告から被告に対し訴状が出されたので訴状を取りに来い。2週間経過しても取りに来ない時は送達があったものとみなす」という趣旨の公示をし、2週間過ぎたら送達があったものとして訴訟は進行するのです。
被告が出てこないので、原告の主張どおりの判決が言渡されることになります。
相手方が行方不明の場合には、その者を探し出すのに時間や費用をかけるより、裁判所に訴状を出したほうが早いのです。
また、裁判上の請求による時効の更新は、その裁判継続中はずっと継続して更新しています。
訴訟を取り下げた時は訴状を出した時にさかのぼって更新の効力がなくなります。
始めから訴訟の提起がなかったことになります。
訴訟が却下された時も同じです。
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時効更新 確定判決・・・
原告が訴訟してその判決が確定したとき、その確定判決は確定したときから5年又は10年間は時効にかかりません。
判決に記載されている権利の種類がどんなものであってもそれに関係なく、全て5年又は10年間は時効にかからないということなのです。
確定判決というのは、裁判所で判決が言渡された後、2週間の上訴期間があるのですが、この2週間内に上訴がなかったときに判決は確定する事になります。
また、債務者が原告となって起こしてきた訴訟に債権者が応訴したときは時効の更新になるのでしょうか?
裁判上の請求とは訴訟を起こすことですが、普通、債権者が債務者を被告として「金**万円を支払え」という訴訟を起こします。
この場合は、債権者のもっている請求債権の消滅時効を更新します。
ところが、債務者が原告になり債権者を被告として、「金**万円の債権は存在しないことを確認する」という債務不存在確認訴訟もありえます。
この場合、債権者が応訴して、その裁判上で金**万円の債権はまだ存在していると主張し、その結果、債権者が勝訴したとします。
このときの判決は、「原告の請求は棄却する」となりますが、これは時効更新となるのでしょうか。
判例では「債権者が自ら原告となって積極的に訴訟を提起して債権を主張したものでない以上、裁判上の請求として時効更新にはならない」としました。
しかし、現在では、この判例を変更し「被告が請求棄却の判決を求める答弁書又は準備書面を裁判所に提出したる時をもって、また、書面を提出せざる場合には口頭弁論において同様の主張をなしたる時をもって」時効更新の効力が生ずるとしました。
実質的には債権者の権利主張があったかどうかを重視しているものです。