時効援用の場所と時期とは・・・

時効援用の場所と時期とは・・・

時効の援用は裁判上でも裁判外でもかまいません。

裁判外の場合、時効の援用の証拠を残すために内容証明郵便等で出す必要があります。

現在、判例上、時効の援用はどこでやってもよいことになっています。

それが裁判になった時は、裁判上でも、いつどこで時効を援用したかを証明しなければなりません。

その主張をしなければ裁判官に時効の援用があったことがわからないからです。

いつどこで援用したかの証明が難しいようなら、新たに裁判上で援用する事もできます。

時効を援用する時期について、民事上の貸金債権は5年(または10年)で消滅時効にかかりますが、お金を借りた人は5年(または10年)を過ぎたら、すぐに時効の主張をしなければならないのでしょうか?

援用は時効期間が来ていれば、いつでもいいのです。

言ってみれば、債権者から請求があったときに、はじめて時効を援用すればよいのです。

しかし、お金の貸主が裁判を起こしてきた時には、その第二審の口頭弁論終結時までに時効を援用しなければなりません。

民事訴訟では事実問題の取調べは第二審までしかやらないのが原則なので、時効の援用もそれまでにすべきことになります。

それまでに時効の援用をしなければ、その後は判決の言渡しとなり、判決によって権利関係が確定しますので、この確定判決が全てに優先する事になります。

後になって時効を持ち出して確定判決をひっくり返す事はできなくなります。

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時効完成前後の放棄とは・・・

民法146条には、時効の利益はあらかじめ放棄することはできないと定められています。

時効完成前に、あらかじめ時効が完成しても時効は援用しませんと約束しても、それは効力を生じないということです。

時効完成前に、時効期間を延長する約束をしても、それも無効です。

消滅時効の場合には、債権者が債務者に圧力をかけてあらかじめ時効利益の放棄をさせるということが起こっては、時効制度の意味がなくなってしまうからです。

また、民法146条の反対解釈として、時効完成後に時効利益を放棄することは有効だとされています。

時効には援用が必要ですから、援用しても、しなくても自由ですから、援用しないと約束するという放棄はできるのです。

時効期間の途中で、すでに経過した時効期間だけを放棄することは、有効とされています。

時効の利益を放棄する場合には、相手方の同意は必要としません。

また、時効完成後に、一部の弁済をすることがあります。

その多くは、時効の完成した事を知らないで一部弁済したり、弁済猶予願いを出したりしたものです。

判例上は、この場合、時効の放棄とみなされています。

消滅時効制度は債務者の利益保護のためにあります。

時効完成後に債務者がお金を一部でも弁済したとしたら、その時点で債務の存在を明確に債務者が認めたことであり、証拠上も明確になったわけですから、時効利益を放棄したとみてよいとされています。

判例は「時効完成後、債権者に対して債務者が債務を承認した以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、以後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である」としています。

では、時効の援用を撤回できるのでしょうか?

時効援用の撤回ができるかどうかについて、かつて判例は、時効の援用を訴訟上の防禦方法に過ぎないと見る立場から、援用の撤回は可能としていました。

しかし、その後「いったん時効の援用があったときは、時効による権利の取得は確定不動のものとなり・・・」として、援用の撤回を認めない判例が出されています。

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時効の援用権者とは・・・

Aさんがお金の貸主、Bさんが借主、Cさんが保証人とします。

借金してから5年以上経ったので、Bさんは消滅時効を主張して債務を免れました。

しかし、CさんはどうしてもAさんにお金を返すと言って時効を援用しなかったらどうなるのでしょうか?

それはCさんの自由です。

ただし、CさんがAさんにお金を返した後で、Bさんに対してお金を返せという求償権は行使できず、Cさんが負担する事になります。

また、Aさんが土地所有者、Bさんが時効でこの土地を取得する人、CさんはBさんからこの土地に抵当権設定を受けた人とします。

Bさんが善意かつ無過失でこの土地を10年以上も占有していたという場合なら、取得時効を主張すればBさんの所有地になるはずです。

Bさんが援用をしなければ、Cさんが援用できるのでしょうか?

Bさんが援用せず、Cさんが援用した時は、土地所有権はAさんにありますが、Aさん所有のその不動産の上に、Cさんが抵当権を有することになるのです。

主たる債務者が時効の利益を放棄したとしてもその本人だけの事で、本人は債務を履行しなければなりませんが、保証人、連帯保証人だけが債務を免れる事ができるのです。

物上保証人や抵当権の第三取得者についても、同様で、主たる債務者が時効を放棄しても、それはこれらの人に影響を及ぼしません。

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