手形の収入印紙は・・・

手形の収入印紙は・・・

手形は印紙税法で課税文書とされていますから、収入印紙を貼って消印をしなければなりません。

印紙税が必要なのです。

小切手は課税文書ではないので、収入印紙を貼る必要はありません。

手形の収入印紙の消印の方法には、とくに決まりはありません。

振出人の印を押しても、代理人が自分の認印を押しても、サインをしても、また二本線で消しても、2度と使えないようにしてあればよいとされています。

印紙税を払うのは、手形の振出人です。

ただし、金額白地の場合には、金額が決まっていないので、金額を補充した人が印紙税を払うことになります。

収入印紙を貼らなくても手形自体は有効ですが、印紙税法の過怠になり、本来貼らなければならない印紙税額の3倍の金額を徴収されます。

印紙税額が不足している場合は、その差額について貼らなかった場合と同様の扱いを受けます。

また、消印をしなかった場合には、その印紙税額と同額を徴収されます。

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手形の裏書とは・・・

手形は支払期日まで待てば振出人に支払ってもらえます。

しかし、普通は、現金を支払う代わりに他人に譲渡されます。

これを裏書譲渡といいます。

この手形を銀行に買い取ってもらう手形割引、商業手形担保付手形貸付のように、手形を担保に銀行から融資を受ける方法もあります。

売掛金などの債権を他人に譲渡するのは手続が必要ですが、手形であれば裏書するだけで債権を譲渡できます。

手形は裏書を繰り返すことで流通するのです。

裏書譲渡に際していくつかの要件が決まっています。

①裏書文句

「表記金額を下記裏書人またはその指図人へお支払ください」という記載文句ですが、統一手形用紙にはすでに印刷されています。

②裏書人の署名(記名押印)

個人なら氏名、法人なら会社名・代表資格・代表者名を書きます。

これは振り出しの場合と同じですが、押印する印鑑は銀行印でなくてもよいとされています。

③被裏書人

個人なら氏名、法人なら会社名だけを書きます。

これが記載されていない裏書も有効です。

④日付

裏書の日付は記入しなくても有効ですが、記入する場合は振出日より以後、支払期日より以前の日付にするのが一般的です。

⑤拒絶証書不要

被裏書人が、振出人から支払いを拒絶されて裏書人に手形代金の支払いを請求するには「支払いを拒絶された」という事実を公証人に証明してもらう必要があり、この証明書を拒絶証書といいますが、拒絶証書不要とは、この証書がなくても支払銀行の不渡り付箋が貼られていれば支払いに応じる、という意味です。

⑥裏書人住所

裏書人の住所を記載しなくても裏書自体は有効ですが、記載しないと不渡りになった時に不渡り通知を受けられなくなります。

⑦目的

この項目は「無担保裏書」「裏書禁止裏書」「取立委任裏書」の場合だけ記入します。

他の場合には記入する必要はありません。

表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成  年  月  日             拒絶証書不要

住所

(目的) 裏書禁止

被裏書人                         殿

条件どおり裏書譲渡できなくなります。

⑧その他の留意点

例えば、「平成23年2月8日までに商品が納入された場合に限り、表記金額を・・・」というような条件をつけたとしても、効力はありません。

この条件はないものとして扱われ、裏書自体は無効になる事はありません。

しかし、「表記金額のうち金100万円だけを・・・」というように、手形金額の一部だけを譲渡するという条件をつけると、裏書自体が無効になります。

表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成  年  月  日             拒絶証書不要

住所

(目的) 「平成23年2月8日までに商品が納入された場合
に限り、表記金額をお支払します。」

被裏書人                          殿

書いても効力がなく裏書自体も有効です。

表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成  年  月  日             拒絶証書不要

住所

(目的) 「表記金額のうち金壱百万円だけをお支払いしま
す。」

被裏書人                          殿

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裏書譲渡の連続とは・・・

手形は裏書によって裏書人から被裏書人に手形上の権利が移転します。

裏書によって、手形上の権利である振出人に対する手形金の請求権は被裏書人に移転します。

これを裏書の権利移転的効力といいます。

裏書した手形が不渡りになった場合、裏書人は振出人に代わって手形の所持人に手形金を支払う義務が生じます。

手形は何回も裏書されて流通しますから、この支払義務は自分以降全ての被裏書人と所持人に対して負わなければなりません。

この裏書人の義務を遡求義務といい、支払ってくれと請求できる権利を遡求権又は償還請求権といいます。

これが裏書の担保的効力といいます。

なお、所持人の遡求に応じて手形金を支払った裏書人は、自分より前の裏書人や振出人に遡求できます。

これを再遡求といいます。

裏書は連続していないと手形金は支払われません。

表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成23年 1月6日             拒絶証書不要

住所 東京都杉並区*******

株式会社山田

代表取締役 山田太郎  印

(目的)

被裏書人   鈴木産業株式会社              殿
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成23年 1月10日             拒絶証書不要

住所 東京都中野区********

鈴木産業株式会社

代表取締役 鈴木次郎  印

(目的)

被裏書人 株式会社田中運輸                殿
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成23年 1月15日             拒絶証書不要

住所 東京都練馬区********

株式会社田中運輸

代表取締役 田中三郎  印

(目的)

被裏書人 株式会社佐藤製作所               殿
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください

平成23年 1月18日             拒絶証書不要

住所 東京都世田谷区*******

株式会社佐藤製作所

代表取締役 佐藤良夫  印

(目的)

被裏書人                        殿

形式上裏書が連続している手形の所持人は、その手形の正当な権利者と推定されます。

裏書が連続している手形さえ見せれば、他の証拠がなくても手形上の権利を行使できます。

これが裏書の資格授与的効力といわれるものです。

裏書が連続していない手形を銀行に取立依頼しても、裏書不備を理由に支払ってもらえません。

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