動産の強制執行とは・・・

動産の強制執行とは・・・

動産に対する強制執行の執行機関は、債権者が何人もいる場合の配当手続を除き、常に執行官です。

執行申立などの申請は執行官に対して行います。

執行申立をするには、判決その他の債務名義の正本に執行文の付与されたものが必要です。

これを持って、強制執行をしようとする目的物の所在地を管轄する地方裁判所所属の執行官室へ行きます。

この執行官室には、執行委任の用紙が備え付けられていて、これに所定の事項を書き込んで印を押します。

そこで申立料と執行費用の予納分を支払います。

そして、実際に差押えに行くための打ち合わせをします。

執行官は現場を知りませんから、道案内をしないと差押えに行けませんし、現地に行って留守のときは立会人を必要としますので、その用意をします。

差押えには、債権者が立ち会う必要はないのですが、執行官だけに任せると十分に押さえてくれない場合も考慮して、立ち会うほうよいようです。

また、債務者が留守だったときは、警察官などの証人として適当な人が立ち会わなければ差押はできません。

できれば、あらかじめ用意していくほうがよいようです。

債務者の動産であっても、債務者やその家族の生活に欠くことのできない最低の衣服、寝具、家具など、法律上差押ができない物もありますが、原則として債務者の持っている有体動産は全部差押えることができます。

店に並べている商品なども押さえることもできます。

差押えた後で、債務者などがこれを勝手に処分したときは、刑法96条により2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられます。

差押えた後は、現金を押さえたのであればそれで支払を受けることができますが、現金以外のものであれば、売却することになります。

差押えた日から1ヶ月以内ぐらいに売却の期日が決まります。

その間に債務者が支払をする話し合いがつけば、強制執行の委任を取下げてもよいですし、売却の期日を延期することもできます。

債権者が申し立てれば、売却は延期できます。

売却が終われば、その代金の中から債権者へ支払がなされます。

差押債権者が数人いるとき、競売代金では全額支払えない場合には、まず債権者間の協議により、協議が調わない時は裁判所が債権額に応じて分配します。

強制執行は、これを行った者に優先的に有利な権利を認めるものではないのです。

後から加わった者も、平等に扱われるのです。

これを配当手続といいます。

配当手続にあたっては、裁判所の命令どおりに、要求額の計算書を差し出し、また指定された日に出頭します。

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債権の強制執行とは・・・

債務者に資産として債権があれば、これを押さえることもできます。

債権に対する強制執行は執行官ではなく、裁判所が執行手続をします。

管轄裁判所は債務者の住所地の地方裁判所です。

小額訴訟手続で得た債務名義による金銭債権に対する強制執行は、小額訴訟手続を行った簡易裁判所でできます。

この裁判所に債権差押命令申請書を提出して申請します。

申請の際には、債務名義の送達証明書が必要です。

この申請により差押命令がなされ、第三債務者に債務者への支払禁止が命ぜられます。

債権の強制執行は、差押えた債権があるかどうか、また差押えた債権の債務者が支払ってくれるかどうか分からないので、確認する必要があります。

その確認をするための行為を陳述催告といいます。

差押命令の申請と同時に裁判所に対し、差押えた債権があるかどうか回答するよう催告してもらうよう申立します。

差押の後、その債権を取り立てます。

債権を取り立てただけでは、自分のものにならず、必ず裁判所に取立届というものを出さなければなりません。

もし取立届を出さないうちに他の債権者が同じ債権に差押をしてきたときには、債権額に応じて配当しなければならなくなります。

銀行預金など確実な債権であれば、転付命令といって、裁判所に申し立てて第三債務者に対する債権である銀行預金者の権利を直接自分に移してもらう方法があります。

これは裁判所に代わって預金債権を譲渡してもらうことと同じで、優先権が生じます。

ただし転付命令によって強制執行が終わったことになります。

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債権差押及び転付命令申立書ひな形・・・

債権差押及び転付命令申立書

当事者   別紙目録の通り
請求債権  別紙目録の通り
差押債権  別紙目録の通り

債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の執行力ある債権を有しているが、債務者がその支払をしないので、債務者が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録の差押命令並びに差押にかかる債権を支払に代え券面額にて債権者に転付する命令を求める。

添付書類
(1)執行力のある債務名義の正本   1通
(2)同送達証明書          1通
(3)資格証明書           3通
(4)委任状             1通
平成**年**月**日
**地方裁判所民事第*部 御中
申立債権者 山田太郎 印

当事者目録

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債権者 山田太郎

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債務者 鈴木一郎

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
第三債務者 株式会社**銀行
代表取締役****
(送達場所)〒***-**** 東京都**********
株式会社**銀行**支店

請求債権目録

債権者債務者間の**地方裁判所平成*年(ワ)第***号売掛金請求事件の執行力ある仮執行宣言付判決正本に表示された下記金員。
(1)元金 金**万円
(2)利息 金**万円
ただし上記(1)の元金に対する平成**年**月**日から平成**年**月**日まで年*%の割合
(3)執行費用 金**円
内訳 本申立手数料      金***円
資格証明書交付手数料  金***円
執行文交付手数料    金***円
送達証明手数料     金***円
本命令送達料      金***円
本申立提出費用     金***円

差押債権目録

1、金***万円
ただし、債務者が第三債務者に対して有する定期預金、通知預金、普通預金の順序で頭書債権額に満まで

第三債務者に対する陳述催告の申立書

当事者 別紙目録の通り
本日御庁に申し立てた上記当事者間の債権差押及び転付命令申立事件について、第三債務者に対し、民事執行法第147条1項に規定する陳述の催告をされたく申し立てる。
平成**年**月**日
債権者 山田太郎 印
**地方裁判所民事第*部 御中

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不動産の強制執行とは・・・

不動産に対する強制執行は、執行官ではなく裁判所が行います。

管轄する裁判所は、その不動産所在地の地方裁判所です。

申立をするには、不動産強制競売申立書を提出します。

これにより裁判所は競売開始決定をします。

この決定は登記簿に記入され、その不動産の差押の効力を生じます。

売却の公告がなされ、売却期日などが指定されます。

売却は、競売又は入札で最高の値をつけた者が、競落人と定められ、裁判所の売却許可決定により売却が決定します。

その支払代金から、債権者は支払を受けます。

債権者が数人いれば、配当手続をします。

不動産の競売申立は執行に当たって、執行官の調査や、不動産鑑定士に評価最低競売価格の算定のための評価をしてもらうため予納金も高額であり、しかも高額の登記費用が必要です。

競売による配当をもらうまでの期間も2,3年かかるようです。

そのほか、動産の引渡しや、一定の行為をすること、または一定の行為をしないことの強制執行もあります。

登記手続きについては、確定判決を提出すれば、本人の署名や押印がなくても登記所は登記をしてくれますから、特に強制執行する必要はありません。

土地や家屋の明渡しは、執行官に委任して強制執行をします。

執行官は、債務者を強制的に立ち退かせ、置いてある動産を引き取らせ、又は執行官が保管して引取りを要求し、それでも引き取らないときはこれを売却して代金を供託します。

そして、その土地や建物を債権者に引き渡します。

ただし、土地に建物が建っているときは、その建物収去土地明渡しの訴訟をした裁判所に建物収去命令を申立て、その命令を得て、建物を取り壊します。

この費用は、収去命令をもらう際に裁判所に申し立てて、債務者が必要な費用を支払うようあらかじめ命令してもらうことができます。

そして更地になった土地を債権者に引き渡します。

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