子供が親の物を窃盗・・・
成人した息子が、私の財布からお金を盗むのですが、犯罪になるのでしょうか。
法は家庭に入らない方が望ましいとして定められているのが、刑法244条の親族相盗の規定です。
(親族間の犯罪に関する特例)
刑法第244条 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
息子の行為を親として知っていたら承諾したであろうという推定的な承諾があれば窃盗にはなりませんが、そうでなければ窃盗であると考えられます。
(窃盗)
刑法第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
ここでいう他人とは、誰が権利者かという区別で、身内であるとか赤の他人であるとかは関係なく、人が違えば他人ということになります。
親の物でも、妻の物でも盗めば窃盗罪になるのです。
また、刑法244条によると、息子は窃盗罪にあてはまり、告訴がなくても起訴できることになります。
そして、起訴されれば刑の免除が言渡されることになります。
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子供の折檻で犯罪か・・・
子供にスパルタ式で折檻すると犯罪になるのでしょうか。
親はその子の健全な発育を願うもので、そのためには折檻することも必要で、この折檻とは、継子いじめとか、子供が邪魔だとして暴力を振るうこととは根本的に異なることをいいます。
(監護及び教育の権利義務)
民法第820条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(懲戒)
民法第822条 親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
2 子を懲戒場に入れる期間は、6箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。
民法は懲戒の方法について定めていませんが、あくまで社会的に相当な方法、程度を超えてはならないとしています。
この懲戒権の範囲を超えると親権の正当な行使とはいえず、親権の濫用として、子の親族又は検察官の請求によって、家庭裁判所はその親権の喪失を宣告することができます。
親権の濫用の場合、刑事的制裁が科される場合もあり、親権、懲戒権の濫用は、もはや懲戒権の行使とはいえず、一般の刑法が適用されるのです。
事例として、9歳の長男の盗み癖を矯正するため、両足を針金で縛り戸を釘付けにして押入れに2日余り閉じ込めた場合は逮捕監禁罪となります。
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偽造の離婚届出後の婚姻・・・
妻と別居状態にあるのですが、離婚に応じてくれないため、妻の知らない間に離婚届を出し、付き合っていた女性と婚姻届を出しました。
その後、妻から重婚だとして訴えると言って来たのですが。
協議離婚が有効に成立するためには、離婚しようとする夫婦の離婚することについての合意と市区町村役場に対する届出が必要とされています。
妻が離婚に応じないにもかかわらず、妻の知らない間に署名と押印を偽造して離婚届を役場に出しても離婚としては効力が認められません。
役場の戸籍の原簿に離婚の記載がされても無効で、婚姻は解消されないとされます。
無効な離婚後の婚姻については、婚姻は当事者が婚姻する意思をもち市町村役場に婚姻の届けを出すことによって成立しますから、後の婚姻は有効な婚姻として成立しているのです。
となると、前の婚姻は有効であり、また後の婚姻も有効ですから、重婚ということになります。
重婚が発生した場合には、後婚の当事者、その親族、検察官又は前婚の配偶者は後婚の婚姻の取消を裁判所に求めることができます。
重婚の場合、取消すことができるだけでなく、刑事罰となるのです。
(重婚)
刑法第184条 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。
もし重婚の妻が、前婚の離婚が無効であることを知っていれば、後婚の妻も重婚罪に問われるのです。
また、前婚の妻の知らない間に、偽造の署名押印して離婚届を出したということは、私文書偽造罪にあたります。
(私文書偽造等)
刑法第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
そして、この偽造の届出を出したことは、偽造私文書行使罪にあたります。
さらに、この虚偽の届出によって戸籍の原簿に離婚した旨の記載がされていますから、公正証書原本不実記載罪に当てはまり5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになります。
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