婚約の法律的意味・・・

婚約の法律的意味・・・

結婚をする際には、いきなり結婚する場合もありますが、その前に婚約という手続きを踏むことがあります。

民法では婚約について、全く規定をおいていません。

そのため、判例や学説にその規律が委ねられています。

判例や学説では、将来、結婚しようという真面目な約束は尊重されるべきであるとされています。

問題は婚約が守られなかったときです。

結婚は自由になされるべきですから、婚約があったからといって結婚を強制することはできません。

しかし、正当な理由なしに婚約を破棄された人は、婚約を信じたために受けた経済的損害の賠償や、精神的苦痛の賠償である慰謝料を請求することができます。

経済的損害は、挙式準備の費用、結婚生活のために購入した物品の費用のうち無駄になった部分、住む事のなくなった住居の権利金、もし結婚のために職場をやめたとすればそれによって生じた損害などを含みます。

結納は、その地域の慣習があればそれに従います。

そうでない場合は、原則として返さなければなりませんが、贈ったほうに婚約破棄の責任があったり、すでに内縁関係に入って相当の期間が経過してれば返さなくてもよいというのが判例の立場です。

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婚姻届の法的意味・・・

結婚は当事者の結婚しようとする意思の合致によって成立します。

この意思の合致を法的に示す手段が婚姻届です。

豪華な結婚式を挙げて共同生活をしても、婚姻届が受理されていない限り、民法上の結婚として認められません。

(婚姻の届出)
民法第739条 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

婚姻届は、届け出る人の本籍地又は所在地の市区町村長あてに口頭あるいは書面でします。

口頭による届出では、本人が出頭しなければなりませんが、書面届の場合には、記入された届出書を他人に持たせて届け出ることも認められています。

外国で日本人同士が結婚するときは、在外公館に届出をすることができます。

また、日本で日本人と外国人とのが結婚するときは、日本の婚姻届の方式によって結婚することができます。

婚姻届には、結婚する2人が自分で署名押印しなければなりません。

また、2人の意思が確実であることを保障するため成年の証人2人が、届書に署名押印することになっています。

結婚する2人は、結婚後どちらの氏を称するか、また新しい本籍をどこにするかを、2人の話し合いで決めて届書に記入しなければなりません。

夫婦は共通の氏を称し、共通の本籍を持つことになります。

夫婦が結婚後それぞれ別姓の氏を称することや、第三の氏を選ぶことは許されません。

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婚姻届の受理と不受理・・・

市区町村長は、提出された届書を、戸籍その他の書面を参照して審査します。

審査されるのは、2人が結婚しようとする意思が明確であるかどうかです。

この審査は書面審査ですから、署名押印の形式が整っていれば、審査はとおるわけです。

署名押印が偽造され、本人の意思と届出とが異なるような事例もあります。

ある女性に思いを寄せた学生が、勝手に婚姻届を提出して受理された事例があります。

この場合には、その学生は文書偽造の刑罰を受けるのですが、女性はこれを覆すためには、多大な労力で裁判をする必要があるのです。

このように、本人に結婚の意思がないのもかかわらず届出がなされたとしても、当然、その結婚は無効です。

しかし、一旦なされた結婚に関する戸籍の記載を元に戻すためには、原則として婚姻無効の審判ないし訴訟を必要とします。

しかも無効が認められるまで、他の人と結婚することができません。

勝手に婚姻届を出されるような恐れがある場合には、不受理の申立ができます。

この不受理の申立は、婚姻届のほか離婚届、養子縁組届、離縁届、認知届等の創設的届出に適用されます。

不受理申出は、誰かが無断で創設的届出をする恐れを感じたとき、本籍地の市区町村長にこの申出をしておけば、届出がなされても受理されず、戸籍に記載されません。

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虚偽の婚姻届等・・・

当事者が全く知らない間に、虚偽の認知届、婚姻届、養子縁組届などが提出される事件が多くなっています。

これは、不正な国籍取得、金融機関の貸出制限などをくぐる目的などでされます。

これらを防止するため、戸籍法では、本人確認制度が明記されました。

戸籍法第27条の2 市町村長は、届出によつて効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によつてされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人(認知にあつては認知する者、民法第797条第1項に規定する縁組にあつては養親となる者及び養子となる者の法定代理人、同法第811条第2項に規定する離縁にあつては養親及び養子の法定代理人となるべき者とする。次項及び第3項において同じ。)であるかどうかの確認をするため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
2 市町村長は、縁組等の届出があつた場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によつては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならない。
3 何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人とする縁組等の届出がされた場合であつても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第1項の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができる。
4 市町村長は、前項の規定による申出に係る縁組等の届出があつた場合において、当該申出をした者が市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第1項の規定による措置により確認することができなかつたときは、当該縁組等の届出を受理することができない。
5 市町村長は、前項の規定により縁組等の届出を受理することができなかつた場合は、遅滞なく、第3項の規定による申出をした者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出があつたことを通知しなければならない。

これによれば、創設的届出の出頭者について、届出事件の本人であるかどうか確認するため、出頭者を特定するために必要な氏名その他の事項を示す運転免許証などの資料の呈示やこれらの事項についての説明を求めることになっています。

届出事件の本人とは、認知では認知する者、養子縁組では養親となる者及び養子となる者の法定代理人、養子離縁では養親及び養子の法定代理人となるべき者を指します。

届出事件の本人のうちに、この手続きによって市区町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるとき、市区町村長は、届出の受理後、遅滞なくその者に届出を受理したことを通知しなければなりません。

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