婚約破棄できる正当事由・・・

婚約破棄できる正当事由・・・

婚約したけれど、これを破棄したい場合、一方的に解消すれば、相手方から損害賠償を請求されます。

婚約をしても、正当事由がある場合には、これを破棄することができます。

その場合には、損害賠償の請求がなされることもありません。

婚約を破棄できる正当事由とは、次のような事由とされています。

①婚約の解消について、お互いの合意がある場合には、正当事由になります。

②相手方が生活上重大なことについて、隠していたり、嘘をついていた場合には、正当事由となります。

例えば、膨大な借金を負っていること、前科があることなどを隠していたり、学歴、職業、地位などについて嘘をついていた場合等です。

③精神病や遺伝性の疾患があったり、性病にかかっていたりした場合、正当事由になります。

④婚約後、相手方に有責行為があった場合、正当事由になります。

例えば、不貞行為があった、虐待、侮辱行為があったなどの場合です。

⑤交通事故により、不具、盲目等になった場合も、相手方の責任でないしても、正当な事由になります。

結婚後、正常な生活ができないからです。

婚約はしたものの、相手方が婚約を履行しないとき、あるいは婚約不履行を理由とする慰謝料を請求するときは、家庭裁判所の調停に申し立てます。

調停は、全て非公開で、当事者とその関係者しか立ち会わず、円満解決を目指します。

調停が不調に終わった場合には、訴訟を起こすしかなくなります。

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内縁の夫婦とは・・・

内縁とは、事実上の結婚をしていながら、婚姻届を出していないために、法律上の夫婦と認められない夫婦のことをいいます。

内縁は、当事者の間に、結婚して夫婦になろうとする意思があり、精神的にも肉体的にも夫婦として生活をしていますが、婚姻届を出していないことをいいます。

このような内縁関係は、結婚に準ずるものとして「準婚」又は「準夫婦」といわれます。

男女双方が、結婚して夫婦になることについて合意がある点で、内縁と婚約は同じです。

しかし、内縁は事実上の結婚・夫婦生活に入っていることにおいて、婚約とは違います。

内縁と婚姻の違いは、婚姻届を出したか出していないのかの違いで、法律上の婚姻は、戸籍法にもとづいて婚姻届を市区町村役場に提出し、受理されている状態をいいます。

婚約も含めて、内縁については法律上の定めがなく、裁判所は、婚約も内縁も「婚姻予約」と考えています。

内縁は、婚姻に準じて判断されます。

婚姻が男女双方の結婚の意思の合致によって成立するように、内縁の成立にも双方に結婚の意思についての合意が必要です。

内縁の成立には、事実上の結婚・夫婦生活が必要で、内縁が法律上保護される場合があるのは、男女双方が、結婚の意思をもって、実際に夫婦として結婚しているところにあります。

内縁が公序良俗に反する場合には、無効と考えられます。

例えば、近親婚や重婚に当たる内縁は無効です。

しかし、婚姻不適齢や女の再婚禁止期間内の内縁、その他父母の同意のない内縁などは有効です。

(婚姻適齢)
民法第731条 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。

(重婚の禁止)
民法第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

(再婚禁止期間)
民法第733条 女は、前婚の解消又は取消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

(近親者間の婚姻の禁止)
民法第734条 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

内縁が無効とされるときは、内縁と認められませんので、法律上の保護がありません。

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内縁の法律関係と保護・・・

内縁は、婚姻届を出していませんので、次のような不利益な法律関係があります。

①内縁の夫婦は、長い間夫婦生活を過ごしても、法律上の夫婦になりえません。

②内縁の夫婦は、法律上の夫婦ではありませんから、夫婦としての戸籍作ることができず、夫婦の姓は別々です。

③内縁の夫婦の間に生まれた子は、たとえ夫が認知をしたとしても、非嫡出子になります。

④内縁の夫婦のいずれか一方が他の人と婚姻した場合、重婚となりません。

⑤内縁の夫婦のいずれか一方が死亡したとき、たとえ夫婦共同で築き上げた財産があっても、他の一方にはその財産についての相続権がありません。

また、内縁が事実上の婚姻であることを重視して、法律上保護されている場合もあります。

①労働基準法は、災害補償について、労働者が業務上死亡したときは、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行なわなければならないと定めています。

この場合、遺族補償を受ける者として、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻と同様の関係にある者にも認められています。

②優生保護法は、優生手術を行うとき、配偶者の同意を必要としていますが、その配偶者は、届出をしないが、事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含むと定めています。

③このほか、厚生年金保護法、健康保険法、国家公務員災害補償法などで、内縁の法律上の保護がみられます。

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