婚姻が禁止されるもの・・・

婚姻が禁止されるもの・・・

民法は、結婚が許されない場合をいくつか規定しています。

婚姻適齢の定めがあり、男性は満18歳、女性は満16歳にならなければ結婚できません。

これらの年齢に達した未成年者に限って、父母の同意、少なくともその一方の同意があることによって結婚することができます。

結婚した未成年者は、成年者とみなされます。

(婚姻適齢)
民法第731条 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。

また、近親婚の禁止があり、優生学上及び倫理道徳上の理由に基づきます。

直系血族間及び三親等内の傍系血族間の結婚は禁止されています。

いとこ同士は四親等ですから、禁止の範囲から除かれ、結婚することができます。

この婚姻禁止は、法定血族である養子についても適用されます。

ただし、養子と養方の傍系血族である、養親の娘との結婚は許されます。

舅、姑と嫁、婿のような直系姻族の結婚も禁止されます。

この禁止は、離婚や、配偶者の死亡に基づく姻族関係終了届の提出によって姻族関係がなくなっても解けません。

養子とその配偶者、養子の子とその配偶者は、養親やその直系尊属と結婚できません。

この禁止も離縁によって親族関係がなくなっても解けません。

(近親者間の婚姻の禁止)
民法第734条 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

また、一夫一婦制の原則に基づく重婚の禁止があり、重婚は刑法上も2年以下の懲役をもって処罰されます。

失踪宣告を受けた人の配偶者が再婚した場合、この後に失踪した人が生きていることが分かって失踪宣告が取消されたとしても、以前の結婚は復活しないとしています。

(重婚の禁止)
民法第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

また、女性について定められた再婚禁止期間があります。

女性は離婚又は結婚の取消後6ヶ月内は結婚できないものとされています。

この理由は子供の父がわからなくなるからなので、妊娠していた女性が出産すれば結婚してもよいことになっています。

(再婚禁止期間)
民法第733条 女は、前婚の解消又は取消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

これらの婚姻がうっかり受理された場合、取消すことができ、それは取消すまでは有効ですが、取消されるとその時点から無効となります。

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結婚後の夫婦の義務・・・

結婚が成立すると、夫婦は家族関係においても財産関係においても、互いに密接な関係になります。

夫婦は結婚のとき、話し合いで決めたどちらかの氏を共通に使うことになります。

また、民法では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定めています。

(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

互いの話し合いの下に共同生活をするといい、この共同生活が壊れると法律が登場します。

夫又は妻が、一家の経済を支えるために出稼ぎや単身赴任することは同居義務違反にはなりません。

しかし、行き先で自分だけの生活を立てて帰ってこなくなった場合には、同居請求をすることができます。

また、夫又は妻が従来負担していた家計費を入れなくなって家族としての生活が成り立たなくなった場合には、家計費である婚姻費用の分担を求めることができます。

また、夫婦の間に生まれた子供は嫡出子となり、嫡出子は父母の氏を称し、成年にいたるまで父母の親権に服し、父母に対して相続権を持ちます。

また、配偶者の三親等内の血族と姻族関係が発生します。

また、夫婦の間に、夫婦財産制、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯など一定の財産関係が生じます。

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夫婦同居義務と単身赴任・・・

サラリーマンが、転居を伴う転勤を命令されましたが、これを拒否した事例があります。

家族構成は、71歳の母親、28歳の妻、2歳の子です。

この人が転勤を拒否した理由は、母親がその土地を離れたことがないこと、また、高齢なのでその土地を離れたくないと言っていること、妻が無認可保育所の保母をしていて、正式の資格を取るため勉強中であること、などを考えると単身赴任しなければならないことにありました。

これに対して、会社はこの人を懲戒免職にしました。

最高裁は、会社が転勤を命じるためには、2つの要件が満たされなければならないとしました。

1つは、転勤に業務上の必要があるかどうかで、会社の合理的な運営のために必要であれば、会社は転勤を命じることができるとしました。

もう1つは、転勤によってその人が著しい不利益を受けるかどうかです。

サラリーマンとして勤めている以上、通常甘受しなければならない不利益はあるが、その限度内であれば転勤を命じることができるとしました。

この場合において、会社に転勤を命じる業務上の必要があり、また、このような家庭の事情の場合には、転勤は通常サラリーマンとして甘受すべき不利益であって、著しい不利益を受けるとはいえないとしました。

よって、転勤命令は会社の権利濫用に当たらず、これに応じなかったこの人は懲戒免職になっても仕方がないとしました。

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夫婦の財産関係・・・

夫婦財産制には、3つの原則があります。

第1は夫婦の平等な立場を守ること、第2は夫婦の共同生活を安定させること、第三は夫婦と取引する第三者の利益を保護することです。

法律は、夫婦が協議して、夫婦の財産関係を自由に決めることを認めています。

しかし、この夫婦財産契約は、婚姻届を出す前に決めて登記しなければならないことになっています。

この登記がなければ、その契約の内容を相続人や第三者に対して主張することはできません。

これをいったん登記してしまうと、結婚中はこれを変えることはできません。

また、法律は、夫婦財産契約が結ばれない場合のために、法定財産制として夫婦財産別産制を採用しています。

(夫婦間における財産の帰属)
民法第762条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

夫婦の協力でできた財産は、共有財産とされます。

しかし、夫婦のそれぞれが結婚前から持っていた財産や相続した財産、贈与された財産は、それぞれの人の特有財産です。

それ以外の財産は、ほぼ共有財産だと考えられ、結婚前から持っていた財産や、結婚前からためていた貯金で買った財産であっても、夫婦の共同生活に提供した家具などは、原則として、共有財産と考えられます。

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