3歳の子供の証言で罰則・・・

3歳の子供の証言で罰則・・・

2歳の太郎ちゃんは、突然疾走してきたトラックにはねられ、死亡してしまいました。

その後、太郎ちゃんと一緒に遊んでいた3歳の花子ちゃんが、「太郎ちゃんは、お菓子屋のブーブーに当たって泣いてる」と話したことがきっかけで、お菓子製造会社の田中さんが、この事件の容疑者として調べを受け、業務上過失致死罪で起訴されました。

田中さんは終始一貫否認し続けましたが、一審では、花子ちゃんの証言を信用して、田中さんを有罪と認定し、禁固8ヶ月、執行猶予3年という判決を下しました。

この有罪の認定には、児童心理学の研究者の鑑定で、花子ちゃんの知能は正常であり、表現力も年齢相当で、証言の信憑力は軽視できない。

とくに事故直後、母親に向かって語ったことは、何も周りの者から暗示を受けていない時期と状況で語ったものであり、十分信用できるものと鑑定しました。

控訴審では、審理の結果、一審の有罪判決を取消して、田中さんに無罪の判決を言渡しました。

疑わしい点もあるが、積極的な証拠もなく、花子ちゃんの証言内容が信用できないわけではないが、その証言内容は簡単な言葉で、決め手とするのは危険だと判断しました。

疑わしきは罰せずの刑事裁判の原則に基づいた判決と考えられます。

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お札を模造した刑罰・・・

山田さんは画家で、個展を開くことになり、なんとか盛大にしたいと考え、案内状に千円札を手書きで模造して、これに案内の文句を書くというアイデアを思いつきました。

絵の腕は確かですから、ちょっと見では本物と変らないほどのできばえで、案内状の反響も大盛況で、個展も大成功でした。

数日後、山田さんのところに警察が現れ、警察署に任意同行させられました。

もちろん、模造した千円札が問題で、通貨及証券模造取締法で次のように規定されています。

第一条  貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、兌換銀行券、国債証券及地方債証券ニ紛ハシキ外観ヲ有スルモノヲ製造シ又ハ販売スルコトヲ得ス

第二条  前条ニ違犯シタル者ハ一月以上三年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス

これによって、山田さんは禁固3月、罰金3万円という判決を命じられました。

刑の内容は別の法律で現在に合うように修正してあるので、このような処罰になりました。

山田さんもせめて千円札とは似てはいても、紛らわしいとはいえない図案やサイズのものを作れば、まだ処罰はなかったと考えられます。

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少年審判で有罪で民事裁判で無罪・・・

少年審判では犯人とされた被告人が、民事裁判で有罪認定を否定された場合があります。

この事件は、当時中学生だった少女が殺され、13歳から15歳の少年6人が、殺人、婦女暴行容疑で逮捕、補導されたものです。

少年らは少年審判で自白を翻したのですが、家裁は全員の有罪を認定し、少年院送致などの保護処分を下しました。

保護処分の確定・終了後、少年らは刑事裁判の再審にあたる「保護処分の取消」を申し立てたが、保護処分は刑罰ではないという少年法の原則から、無実が明らかになれば刑期満了後でも再審申立ができる成人事件と異なり、処分継続中でないという理由で申立は認められなかったのです。

ところが、被害者の両親が3人の元少年の親を相手取り、5500万円の賠償を求める民事訴訟を起こしたことから、裁判所で有罪無罪の事実認定が争われました。

一審では、捜査段階での自白は信用できないとして少年らの無罪を認定しましたが、二審では逆に少年らの犯行と有罪の認定を行い、少年らの犯行と有罪の認定を行い、少年らの親に約4600万円の支払を命じました。

しかし、最高裁は、少年らの自白に秘密の暴露があるわけではなく、また捜査官の誘導による可能性が高い虚偽が含まれており、遺体に付着した犯人の血液を少年らのものと判定するのは困難で、犯行を裏付ける客観的証拠はないと、有罪と認定して破棄、審理を高裁に差し戻しました。

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侮辱罪と名誉毀損罪・・・

侮辱罪とは、他人に向かって「馬鹿やろう」と一言言っただけで成立してしまう犯罪で、法定刑は拘留又は科料になります。

(侮辱)
民法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役・禁固又は50万円以下の罰金で、侮辱罪より重罪です。

(名誉毀損)
民法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

例えば、「太郎さんは賄賂をもらっている」「太郎さんは女癖が悪く、3人女がいる」など一定の事実を指摘して、相手の名誉を傷つけるのが、名誉毀損罪です。

それに対して、そういう事実は直接指摘せず、「馬鹿やろう」とか「このくそ野郎」などと、相手を馬鹿にする言動で他人の名誉を傷つけるのが侮辱罪です。

そして、人の名誉は、人前においてこそ傷つけられるとされ、刑法では、名誉毀損罪も侮辱罪も、それが公然と行われることを必要とします。

したがって、公然性を欠いた侮辱は、いかにそれが悪質で、陰険であっても刑法として取り上げられないのです。

ただし、電話や手紙に脅迫めいた言葉や猥褻な内容があれば、脅迫罪など他の刑法上の罪に問える可能性はあります。

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