相続の対象とならない権利義務(恩給)・・・

相続の対象とならない権利義務(恩給)・・・

恩給法72条1項にいう「配偶者」は、公務員と法律上の婚姻関係にある者に限られるとされています。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

恩給法第七十二条

1  本法ニ於テ遺族トハ公務員ノ祖父母、父母、配偶者、子及兄弟姉妹ニシテ公務員ノ死亡ノ当時之ニ依リ生計ヲ維持シ又ハ之ト生計ヲ共ニシタルモノヲ謂フ
2  公務員ノ死亡ノ当時胎児タル子出生シタルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ公務員ノ死亡ノ当時之ニ依リ生計ヲ維持シ又ハ之ト生計ヲ共ニシタルモノト看做ス

恩給とは、恩給法(大正12年法律第48号)に規定される公務員であったものが退職または死亡した後、本人またはその遺族に安定した生活を確保するために支給される金銭をいう。

なお、地方公務員については各地方公共団体が定める条例(恩給条例など)により支給され、退隠料と称されることもある。

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相続の対象とならない権利義務(自動車損害賠償)・・・

内縁の配偶者が他方の配偶者の扶養を受けている場合、その他方の配偶者が保有者の自動車の運行によって死亡したときは、内縁の配偶者は、自己が他方の配偶者から受けることができた将来の扶養利益の喪失を損害として、保有者に対してその賠償を請求できるというべきであるから、内縁の配偶者は、自動車損害賠償保障法72条1項にいう「被害者」に該当しますが、政府が、同項に基づき、保有者の自動車の運行によって死亡した被害者の相続人の請求により、死亡による損害をてん補すべき場合において、政府が死亡被害者の内縁の配偶者にその扶養利益の喪失に相当する額を支払い、その損害をてん補したときは、てん補額は相続人にてん補すべき死亡被害者の逸失利益の額からこれを控除します。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

自動車損害賠償法第七十二条

1  政府は、自動車の運行によつて生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第三条の規定によつて損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第十条に規定する自動車の運行によつて生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。
2  政府は、第十六条第四項又は第十七条第四項(これらの規定を第二十三条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定による請求により、これらの規定による補償を行う。
3  前二項の請求の手続は、国土交通省令で定める。

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相続の対象とならない権利義務(ゴルフ会員権)・・・

ゴルフ会員権については、預託金会員制のゴルフクラブの会員の会員資格喪失につき当該クラブの会則中に、会員が死亡したときはその資格を失う旨の定めがあるときは、クラブの会員たる地位は一身専属的なものであって相続の対象にならないとした事例、資格喪失の定めを死亡した会員はその資格を失うという当然のことを規定したにすぎないとして、入会承認を停止条件とする会員権の相続を認めた事例に分かれています。

遺産分割審判で帰属が決まった会員権の名義書換請求が認められなかった事例もあります。

預託金会員制ゴルフクラブの規則等に会員としての地位の相続に関する定めがない場合、会員の死亡によりその相続人がこれを取得することができるとされた事例があります。

別荘地購入者一代に限り、正会員と同等にプレーできるゴルフクラブの別荘特別会員権につき、会社が会員証を送付の際、書面で、この権利が他人に譲渡することはできず、相続の対象となるものではないことを通知していたなどを理由として、相続による承継を否定した事例があります。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

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相続の対象とならない権利義務(特別縁故者)・・・

被相続人と特別縁故関係にあった者が相続財産分与申立権を行使しないで死亡したときは、その行使に傷害があった場合など特別の事情のない限り、申立権を行使する意思がなかったものとして取り扱い、同人の特別縁故関係を相続人に承継又は援用することはできないとした事例があります。

しかし、相続財産分与申立後に死亡したときは、その相続人が相続財産分与申立をする地位を承継してその分与を求め得るとした事例があります。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

特別縁故者に対する相続財産分与

相続人の存否が不明の場合に家庭裁判所により選任された相続財産管理人が被相続人(亡くなった方)の債務を支払うなどして清算を行った後,家庭裁判所の相続人を捜索するための公告で定められた期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合,家庭裁判所は,相当と認めるときは,被相続人と特別の縁故のあった者の請求によって,その者に,清算後残った相続財産の全部又は一部を与えることができます。

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