遺産確認の調停申立・・・

遺産確認の調停申立・・・

①申立人

共同相続人

②相手方

申立人以外の共同相続人

③管轄

相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所

④添付書類

申立人、相手方、被相続人の戸籍謄本

遺産目録

不動産登記簿謄本

④調停の成立

調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は確定判決と同一の効力があります。

不動産の持分移転登記又は更正登記など登記義務の履行の合意が成立したときは、登記権利者は調停調書の正本を添付して、単独で、右登記を申請することができます。

複数の調停条項のうち、特定の権利義務だけ定めた条項だけを取り上げて、請求異議の訴え等によりその債務名義の効力を争い、あるいは当該条項に基づく特定の権利義務を負わないことの確認を求める事も場合により許されないではないが、本件条項は、いわゆる清算条項であって、特定の権利義務を定めたものではなく、したがって、本件条項のみの無効を確認しても、これによって、当事者間の特定の権利義務の存否や法律関係が確定するわけではないから、特段の事情のない限り確認の利益はないので、不適法とされています。

本件では、特段の事情として、別件調停事件において、被控訴人に対し、改めて離婚に伴う財産分与につき調停をするため、本件条項の無効を確認する利益があるとの控訴人の主張には、本件条項があっても、当事者間において新たな合意をすることは自由であり、それだけでは確認の利益があるとはいえないし、また、別件調停事件において新たな合意が成立しない場合には、控訴人の財産分与請求権は、離婚の時から2年を経過しているので、本件条項の有効無効にかかわらず消滅しているため、審判手続においてその請求権を主張することはできず、その場合においても確認の利益がないとされました。

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遺産分割の審判・・・

遺産分割の審判は、遺産分割の審判の申立又は調停不成立による審判移行によって手続は始まります。

遺産分割事件について調停が成立しない場合には、調停申立があったときに審判の申立があったものとみなされます。

「相続させる」遺言により、被相続人の遺産全部が指定分割された場合、遺留分減殺により遺産に関して生じた共有関係は、家事審判の対象となる相続財産の共有ではなく、遺産分割として申し立てられた調停の実質は共有分割であり、その調停が不成立となった場合は事件は終了し、審判に移行しないとして、原裁判所の遺産分割審判を取消して調停申立の終了を宣言した事例があります。

家庭裁判所は、いつでも遺産分割の審判事件を調停に付することができます。

遺産分割事件の審判手続中に調停の申立があったとき、又は家事審判法11条により事件が調停に付されたときは、家庭裁判所は調停が終了するまで審判手続を中止する事ができます。

家事審判法第11条 家庭裁判所は、何時でも、職権で第9条第1項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。

遺産分割審判の申立があった場合、家庭裁判所は、相当であると認めるときは、分割の申立があったことを公告して、利害関係人の参加を求めることができます。

公告の方法は、家事審判規則21条にその定めがありますが、これによらず、家庭裁判所が相当と認める方法ですることもできます。

家事審判規則第二十一条 公告は、家庭裁判所の掲示板に掲示し、且つ、官報に掲載してこれをする。但し、家庭裁判所が相当であると認めるときは、日刊新聞紙にも掲載してこれをする。

家庭裁判所が右の公告をしたときは、急を要する事項を実施する場合を除いて、公告の日から30日を経過しなければ分割の手続を進めることはできません。

利害関係人としては、相続債権者、特定受遺者、遺産上の権利者、相続人の債権者などがあります。

これらの利害関係人は、家庭裁判所の許可を受けて、手続に参加することができます。

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遺産分割審判の遺産の換価・・・

家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人対して、遺産の全部又は一部について競売し、その他最高裁判所の定めるところにより換価することを命ずることができます。

相続人又は利害関係人は、遺産の競売又は換価を命ずる審判に対して、即時抗告をすることができます。

家庭裁判所は、遺産の競売又は換価を命ずる場合において、財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければなりません。

遺産の競売又は換価を命ずる審判が確定したときは、裁判所書記官は、財産の管理者に対し、その旨を通知します。

相続人は遺産の競売の申立をしたときは、その旨及び事件の表示を家庭裁判所に届出をします。

裁判所書記官は、相続人の右届出があったときは、執行裁判所又は執行官に対し、財産の管理者の氏名・住所を通知します。

家庭裁判所は、相続人の意見を聴き、競売によるべき旨の意思を表示した者がないときは、遺産の任意売却を命ずることができます。

この場合、家庭裁判所は売却の方法・期限その他の条件を付することができます。

また、不動産については、最低売却価額を定めることを要します。

遺産の任意売却を命じた原審判に対する即時抗告事件において、売却対象財産の一部が共同相続人以外の者と共有であること、原審は共同相続人の一部の者に任意売却につき意見を聴いていないこと、共同相続人の一部の者は抗告審に競売によるべき旨の意思表示をしていることなどを理由として、原審判を取消した事例があります。

換価人は競売又は換価の手続が終了したときはその結果を、遺産を競売し又は換価することができなかったときは、その理由及び結果を、遅滞なく、家庭裁判所に報告しなければなりません。

任意売却の手続が終了したときは、換価人は、直ちに、換価代金を財産の管理者に引き渡すことを要します。

家庭裁判所は、換価人に対して、相続財産の中から、相当な報酬を与えることができます。

換価人に対する報酬の付与の審判は、家庭裁判所が職権に基づき行なうものですから、申立を要しません。

遺産分割の審判の前提として家庭裁判所の換価命令に基づいて換価人が遺産を任意売却した際に買受人のために所有権移転登記をするには、その前提として相続による所有権移転登記を行い、その後の換価命令に基づく所有権移転登記は、登記権利者を買受人、登記義務者を相続人全員とし、買受人と換価人から審判書を添付して申請します。

換価等を命ずる審判が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、家庭裁判所は、相続人若しくは利害関係人の申立又は職権により、当該審判を取消すことができます。

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遺産分割審判の事実の調査・・・

家庭裁判所は、事実認定の資料を収集するために、職権で、当事者・参考人から事情を聴いたり、事物の現状を見分するなど事実の調査をしなければなりません。

また、必要な調査を官庁などに嘱託したり、銀行その他の機関に対して、関係人の預金などに関し、必要な報告を求めることができます。

事実の調査の方式については、別段の制限はありませんが、強制力を使用することはできません。

証拠調べは、必要があると認める場合に民事訴訟法の規定に従ってなされます。

家事審判規則第七条 家庭裁判所は、職権で、事実の調査及び必要があると認める証拠調をしなければならない。
2 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査又は証拠調を嘱託することができる。
3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、合議体の構成員に命じて事実の調査をさせることができる。
4 合議体の構成員に事実の調査をさせる場合には、裁判長がその家事審判官を指定する。
5 合議体の構成員が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その家事審判官が行う。
6 証拠調については、民事訴訟の例による。

家事審判規則第八条 家庭裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当であると認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の雇主その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。

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