書証とは・・・

書証とは・・・

書証とは、借用書、契約書、手形などの書類を証拠とすることをいいます。

書証を提出するときは、訴状に書証を添付して出します。

必要な証拠は遅れないように出すことになっていますから、あまり遅れると、故意に遅れて出したものとして却下されることがあります。

書証は、各自が記録に残せるように写しを作ります。

それを裁判所、相手方、自分の控えとして用意します。

写しは、念のため、カラーコピーや写真にとるほうがよいです。

色が問題になる場合もあるからです。

写しの正本、副本、控えには、上部又は右側の余白に証拠番号を書きます。

原告の出す証拠の番号には、「甲第1号証」と「甲」の字をつけて順次番号をふります。

被告の出す証拠では、「乙第1号証」となります。

この写しを裁判所へ提出します。

その際に副本を相手に渡し、正本に受領印かサインをもらって、これを裁判所に提出します。

この写しは準備書面と同じくFAXで送ることもできます。

裁判所の訴訟記録はこの写しが綴じられます。

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書証の原本の提出とは・・・

書類を証拠として提出するときには、原則として書類の現物を裁判所及び相手方に見せる必要があります。

裁判官に書証の原本を見せるように言われますから、書証の原本を出して見せます。

その後も原本を見せることが必要になることがありますから、期日には持参します。

証人調べのときには証人にも証拠を示す必要が出てきます。

原本が紛失している場合などには、写真やコピーだけで原本がありません。

このときには、書証の原本に代えて写真やコピーを提出する旨を説明します。

写真の提出の仕方は、誰が何日に撮ったものであるかを明記しておきます。

撮影者、撮影時期を余白に記載します。

裁判所では、他の書類と一緒に記録に綴じますので、A4の台紙に貼ります。

書証を証人尋問で見せながら尋問したい時は、あらかじめ証拠として裁判所に提出しておかないと相手方から異議が出されることもあります。

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書証の認否とは・・・

書証を提出するときは、それと同時にその書類を誰が作成したのかということを申し立てる必要があります。

書類を見て誰が作成者であるか明らかなときは、申し立てる必要はありません。

これに対し、相手方は提出者が主張する作成者が本当に作成したものであるかどうかにつき、返答をすることになっています。

これを書証の認否といいます。

相手が書証の成立を認めたとき、又は他の証拠により、作成が本物であると立証されたときに、初めて証拠とすることができることとなっています。

書証が提出されますと即座に認否の返答が求められることがあります。

即答できないときは、次回に認否する旨を答えます。

認否の答え方は「成立を認める」「成立は否認する」「成立は不知」があります。

「成立を認める」という答えは、相手が主張する作成者が作成したと認めることであり、書かれている内容を認めたことではありません。

「成立を否認する」という答えは、作成者とされている人が書類を作成したものではないということです。

この答えのときは、提出した側は作成者とされている人が作成したことを証明する必要があります。

作成者が争われる場合で確実な証拠・証人がないときは筆跡鑑定を要することもあります。

「成立の不知」とは、その人が作ったのかどうか知らないことで、この場合もまた、作成された事情を証拠によって証明しないと証拠にはなりません。

誰が見ても普通は作成したことに間違いないと考えられる文書は、成立が真正なことが推定される。

公文書、又は私文書でも本人又は代理人の署名や押印があり、その印鑑などが真正と認められたときなどは、文書の成立も真正と推定されます。

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他人の書証の取寄せとは・・・

書証とする文書が相手方又は第三者が持っている場合があり、これを証拠とする場合にはどうすればよいのでしょうか?

①相手方が文書を所持している場合

訴訟の当事者が訴訟で引用した文書を持っているときは、裁判所に文書提出命令の申立をし、提出してもらうことができます。

申立により、裁判所から文書提出命令を出す制度です。

相手方が命令に従わないときや、こちらの使用を妨げようとして提出義務のある文書を使用できないようにしたときは、裁判所は申し出た文書の記載に関するこちらの主張を真実と認めることができます。

②第三者が文書の所持人である場合

第三者が申立人にその文書の引渡し、又は閲覧をさせる義務があるとき、申立人の利益のためにその文書が作成されたとき、申立人とその所持者との間の法律関係につきその文書が作られたものである場合も、所持人に文書提出命令により提出を求めることができます。

文書提出命令が出されれば、所持人は提出を拒むことはできません。

それ以外の文書も例外に当たらない場合は、提出を求めることができます。

その例外は、次になります。

・文書所持者とその配偶者、親戚、後見人などが有罪となりそうなことが書いてあるもの

・公務員の職務上の秘密に関する文書で、提出すると公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障がありもの

・証言拒否がある場合で該当事項が記載されている文書

・もっぱら文書の所持者の利用に供するための文書

・刑事事件に係わる書類や少年の保護事件の記録、又はこれらの事件において押収されているもの

裁判所は、文書を所持していることを確かめたうえ、理由があると認めたときは提出命令を出します。

命令に従わないときは過料の制裁があります。

③第三者が保管している文書で関連がある場合

例えば、交通事故の損害賠償請求訴訟で、検察庁や裁判所に刑事事件として取り扱ったときの関係書類があれば、取寄せて訴訟の証拠とできます。

この場合は、裁判所に文書取寄せの申立をすることができます。

裁判所が文書の所持者に依頼して、その文書を取寄せてくれる制度です。

これを文書送付の嘱託といいます。

ただし、所持者が協力しない場合、強制力はありません。

文書提出命令や文書取寄せの申立書も、正本、副本、自分の控えが必要です。

申立書提出の際には、裁判所が所持者に伝達し、所持者から書類を郵送される必要がありますので、郵便切手を納付しなければならないことがあります。

文書提出命令や文書送付の嘱託により、文書の提出や取り寄せができれば、裁判所の記録へつけて別綴じにされますから、申立書がそれを閲覧し、必要な書面の写しを取り、普通の書証と同じに正本、副本を作り裁判所と相手方へ提出し、原本について証拠調べをします。

文書提出命令申立書ひな形・・・

平成**年(ワ)第***号 売掛金請求事件
原告 ****株式会社
被告 鈴木一郎
文書提出命令申立書
平成**年**月**日
**地方裁判所民事第*室*係 御中

原告 ****株式会社
代表取締役 山田太郎 印

主張事実立証のため後記文書の所持者たる被告に対し同文書の提出を命ぜられたく申立する。
1、文書の表示
(1)平成**年**月**日、鈴木一郎署名の商品売買契約書 1通
(2)同日付鈴木一郎署名の*** 1通
2、文書の趣旨
(1)************
(2)************
3、文書の所持者
東京都************
鈴木一郎
4、証すべき事実
原告主張事実のうち、****の事実
5、文書提出義務の原因
被告は****のため右文書を作成したものであるから、民事訴訟法第220条により上記文書提出の義務がある。

文書取寄申立書ひな形・・・

平成**年(ワ)第***号 損害賠償請求事件
原告 山田太郎
被告 鈴木一郎
文書提出命令申立書
平成**年**月**日
**地方裁判所民事第*室*係 御中

被告 鈴木一郎 印

*****の事実立証のため、**地方検察庁に対し、後記の書類の送付を嘱託されたく申立をする。

種類の表示
1、被疑者鈴木一郎に対する、平成**年**月**日、東京都*******先の路上における交通事故に関する、道路交通法違反事件の関係書類中、司法警察員****平成**年**月**日作成にかかる実況見分調書 1通

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