期限の利益喪失条項の定め方・・・

期限の利益喪失条項の定め方・・・

債務者は約束の期限までに債務を履行しなければならない義務がありますが、逆に、約束の期限までは履行しなくてもよい、というのが期限の利益です。

ある程度の期間にわたる契約の場合、又は債務を分割支払する場合、あるいはいくつかの取引があって何個かの債務が発生する場合には、期限の利益喪失条項を規定します。

この条項は、債権者の債権回収のためと、損害金の発生時期を早める効果があります。

「借主が毎月の利息を1回でも期限に支払わないときは通知催告を要せず、元本についての期限の利益を失い、直ちに返済の義務を負う」

「債務者が月払いによる分割金の支払を2回以上遅滞したときは、債務者は本契約上の債務全てにつき、通知催告を要せず、期限の利益を失い、残額を一時に支払うものとする」などと規定します。

期限の利益喪失の事由としては債務支払の遅滞のほか、次のものがあります。

①手形・小切手の不渡り

「手形又は小切手の不渡り処分を受けたとき」など規定します。

②破産、民事再生、会社更生の申立

「これらの申立をされ、もしくは申し立てられたとき」などと規定します。

③公租公課による滞納処分、仮差押、仮処分、強制執行、競売の申立があったとき

④その他

会社の解散、減資、債務者の信用上の重大変化、担保物の毀損、処分、担保提供義務者の不履行などがあります。

(期限の利益の喪失)
民法第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

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契約解除の条項の定め方・・・

契約は当事者が全て完全に履行してしまえば終わり、また不履行が生じたときにも終わり、これが契約の解除です。

契約の解除は、法定の解除権と、当事者があらかじめ合意して定めておく約定の解除権とがあります。

(解除権の行使)
民法第540条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。

通常、解除の条項は、法律の定めたところよりも、解除する当事者にとって、簡単に解除できるように、要件の緩和と手続の簡略化をはかります。

債務の不履行に対して、履行せよと催告して、相当期間内に相手が履行しないときに解除することができるという法律の規定を緩和して、「買主が前条の残代金を期限に支払わないときは、売主は催告を要せず本契約を解除することができる」などと規定します。

さらに通知を省略して「賃借人が本件建物の賃料3か月分以上遅滞したときは、賃貸人は通知催告を要せず、本契約は当然解除され、賃貸人は本件建物の明渡しを求めることができる」などと規定します。

ただし、このように定めてあったとしても、契約解除の意思表示は、解除するという趣旨の通知は必要と考えられるのです。

契約の解除条項は、期限の利益喪失の条項と関係してきます。

「乙につき下記の事由が生じた場合には、乙は通知催告がなくとも直ちに全ての債務につき期限の利益を失うものとし、甲は本契約を即時解除することができる」

この場合の解除は、通常の解除と違って、継続的取引を将来の向かって失効させると解されます。

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損害賠償条項の定め方・・・

契約には、通常、損害賠償の条項を規定するものですが、仮に規定がなかったとしても損害賠償を請求できないわけではありません。

民法の規定に基づいて、損害賠償を請求することができます。

(債務不履行による損害賠償)
民法第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

契約書に損害賠償の条項を設けるのは、損害賠償の立証を省略することを目的としています。

不動産売買の場合には、「当事者のいずれかが不履行のときは相手方は本契約を解除し、売主が解除した場合は手付金を違約金として取得し、買主が解除した場合は手付金の倍額を請求することができる」などと規定しています。

さらに詳しく規定しますと、「相手方が本契約の履行に着手するまでは買主は手付金を放棄し、売主は手付金の倍額を返還して本契約を解除することができる。

当事者の一方が契約上の債務を履行しないときは、相手方は不履行の当事者に対して催告を要せず本契約を解除し、売買代金総額の**%の違約金を請求することができる。

この場合、売主が不履行のときは、右違約金を支払うほか手付金を返還し、買主が不履行のときは、売主が受領した手付金をもって違約金に充当し、なお不足ある場合にはこれを請求することができる。」などと規定します。

(手付)
民法第557条 買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
2 第545条第3項の規定は、前項の場合には、適用しない。

金銭債権の場合、損害賠償金を規定しておかないと、法定利率の民事5%、商事6%になってしまいます。

金銭債権の遅延損害金は、利息制限法に定めた上限利率の1、46倍を超える部分は無効とされます。

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