親権者に管理させない遺言・・・
遺贈により子に財産を与える第三者は、親権者に当該財産を管理させない意思表示をすることができます。
(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
民法第830条 無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2 前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3 第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4 第27条から第29条までの規定は、前2項の場合について準用する。
第三者が未成年の子に財産を与えた場合、その財産は親権者が管理し、その財産に関する法律行為も親権者が子を代表します。
(財産の管理及び代表)
民法第824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
第三者は、親権者が行なう子の財産の管理を欲しないときは、子に対して財産の無償譲与を見合わせることもあり、子は財産取得の機会を失います。
無償で子に財産を与える第三者が、親権を行なう父又は母にこれを管理させたくない場合、その旨の意思表示をしたときは、その財産は父又は母の管理に属しないものとして、第三者の意思を優先させ、財産の無償譲与がしやすいようにされています。
第三者とは、親権者及び未成年の子以外の者をいいます。
親権者に財産を管理させない旨の意思表示が認められるのは、第三者が無償で、未成年の子に財産を与える場合であり、これに該当する無償行為は贈与及び遺贈です。
第三者が無償で、未成年の子に与える財産の管理を親権者にさせない意思表示は、当該贈与契約又は遺言においてしなければなりません。
第三者の未成年の子に対する無償譲与財産を親権者に管理させない意思表示があると、当該財産は親権者の管理に属しないものとなります。
親権者の一方に遺贈財産の管理をさせない意思表示をしているときは、他の一方の親権者が単独で当該財産を管理します。
第三者が親権者である父母双方に未成年者に対する遺贈財産の管理をさせない意思表示をした場合、第三者は自ら財産の管理者を指定することができます。
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親権者に管理させない遺言の指定管理者・・・
第三者が親権者である父母双方に未成年者に対する遺贈財産の管理をさせない意思表示をした場合、第三者は自ら財産の管理者を指定することができます。
この指定管理者は、当該財産につき、未成年の子の法定代理人として第三者が指定した範囲でその権限を行使し、権限の指定のないときは、管理権を有します。
指定管理者が子に財産を授与した第三者から指定された権限を超える行為をする場合には、右第三者の許諾を得てします。
もし、第三者の死亡、生死不明等で右許諾を得られないときには、指定管理者は家庭裁判所に権限行為許可の申立をして、その許可を得て行ないます。
指定管理者には不在者の財産管理に関する民法27条から29条の規定が準用されます。
(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
民法第830条 無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2 前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3 第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4 第27条から第29条までの規定は、前2項の場合について準用する。
(管理人の改任)
民法第26条 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。
(管理人の職務)
民法第27条 前2条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
2 不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
3 前2項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。
(管理人の権限)
民法第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
(管理人の担保提供及び報酬)
民法第29条 家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
2 家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。
指定管理者の任務が終了した場合、緊急処理をしないと子が損害をこうむるおそれのあるとき、指定管理者は子又は法定代理人が事務を処理できるようになるまで、必要な処分を行なわなければなりません。
指定管理者の任務が終了した場合、その終了事由が未成年の子にあるときでも、指定管理者にあるときでも、これを相手方に通知し、又は相手方がこれを知ったときでなければ、財産管理の終了を相手方に主張することができません。
指定管理者の死亡又は破産手続開始の決定若しくは指定管理者が後見開始の審判を受けたことによってその権限が消滅した場合又は改任する必要がある場合に第三者が更に管理者を指定しないときには、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって管理者を選任します。
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親権者に管理させない遺言の管理者選任審判 ・・・
子に財産を遺贈する第三者が親権を行なう父母双方にこの財産を管理させない意思を表示し、かつ、当該第三者が財産の管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任します。
(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
民法第830条 無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2 前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3 第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4 第27条から第29条までの規定は、前2項の場合について準用する。
第三者が管理者を指定したときでも、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも同じです。
第三者の管理者の指定は、通常、財産授与のさいになされますが、授与の後でも妨げないとされます。
民法830条2項に基づく財産管理者の選任申立は、甲類審判事項です。
①申立権者
子、その他親族、検察官です。
②管轄
子の住所地の家庭裁判所です。
③添付書類
申立人・子・親権者・遺言者の戸籍謄本
管理者候補者の戸籍謄本・住民票
遺言書の写し
不動産登記簿謄本
④審判手続
親権者に遺贈財産を管理させない第三者の意思表示があること、第三者が当該遺言において財産管理者を指定していないこと、候補者が財産管理者として適任かなど審理されます。
申立が相当と認められたときは、財産管理者選任の審判がされ、この審判は財産管理者に告知されて効力を生じます。
申立が不相当と認められたときは、却下の審判がされ、この審判は申立人に告知されて効力を生じます。
選任又は却下の審判には、不服申立は認められません。
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包括遺贈の遺言・・・
包括遺贈は、財産の全部又はその分数的割合による一部分を包括して遺贈することをいいます。
分数的割合による包括遺贈とは、財産の分数的割合による一部分を包括して遺贈することをいいます。
「遺言者**は全財産を、内妻**に2分の1、その長男**に4分の1、その長女に4分の1を遺贈する。」
分数的割合によって包括遺贈がされたときは、包括受遺者は、その割合に応じて遺言者の権利義務を承継します。
(包括受遺者の権利義務)
民法第990条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
民法第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
被相続人が相続人たる兄弟姉妹以外の第三者にその全財産を包括遺贈した場合、兄弟姉妹の相続分は皆無となるが、これがため兄弟姉妹が相続人たる地位を失うべきいわれはないされます。
(遺留分の帰属及びその割合)
民法第1028条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
2.前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1
被相続人が保険金受取人を相続人と指定した場合、保険金受取人に指定された相続人が被保険者の死亡によって保険金請求権を取得するのは保険契約に基づく当然の効果であって、相続に基づく承継取得ではなく、したがって、保険金請求権は相続人の固有財産に属し、その相続財産に属するものでないとされます。
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