慰謝料の消滅時効とは・・・

慰謝料の消滅時効とは・・・

慰謝料の消滅時効は何年でしょうか?

慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償金をいいます。

不法に精神的苦痛を受けた者が、この苦痛を与えた人から取ることのできる賠償金をいいます。

民法の条文上は慰謝料という文言はなく、「財産以外の損害」と表現されています。

不法行為によって負傷させられた人は、民法710条によって財産以外の損害、慰謝料請求権をもち、この請求権は民法724条によって3年の消滅時効にかかります。

また、離婚の慰謝料の場合も、民法に文言はありません。

民法768条に「財産分与は2年以内にやれ」と書かれていますが、慰謝料については書かれていません。

離婚の慰謝料も、不法に婚姻を壊した者に対する他方からの精神的苦痛の損害賠償請求ととらえるのです。

離婚に伴う慰謝料というのも、不法行為による慰謝料請求になり、3年の消滅時効にかかります。

離婚による財産分与請求は2年になります。

これは消滅時効ではなく、除斥期間といいます。

財産分与は夫婦のどちらかが悪いかに無関係ですが、慰謝料は悪いほうが払うものです。

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遺留分減殺請求権の消滅時効とは・・・

遺言で親の全財産を相続しましたが、妹が遺留分を侵害していると言って来ました。

そうこうしているうちに、3年経ってしまったのですが、遺留分についての消滅時効は何年でしょうか?

遺留分減殺請求権は、相続が始まった事と、自分の遺留分を侵害している事が起きていることを知った時から1年で消滅時効にかかります。

1年以内に直接、当事者に請求するか、家庭裁判所に対し、手続をとらなければ、慰留分は消滅時効にかかります。

また、慰留分権者がそれらのことを知らなくても、相続が始まった時から10年経てば、遺留分減殺請求権は時効にかかります。

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地上権・地役権の時効取得の効果とは・・・

地上権や地役権を時効取得した場合、どのような効果があるのでしょうか?

地上権や地役権は、どちらも他人の土地を使用する権利で、強力な権利です。

地上権は土地賃借権と似ていますが、賃借権より強い権利なのです。

地役権は、通行のために他人の土地を使用する権利をいいます。

所有権でないにしても、他人の土地を使用できるということは、大きな財産なわけです。

それを時効で取得するということは、大きな利益になります。

地役権については、通路を作ってそこを通る地役権や、溝を掘って水を引く地役権のように、継続する性質を持ち、外から見ても認識できるものに限って、時効取得の対象になります。

民法283条「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することが出来るものに限り、時効によって取得する事ができる」とされています。

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連帯保証や身元保証の時効とは・・・

主たる債務者が時効を援用すれば、その効力は連帯保証人にも及びます。

しかし、主たる債務者が時効になっているのに時効を援用せず、時効利益を放棄したような時には、主たる債務者とは別に、連帯保証人だけが時効を援用できるとしています。

ですので、連帯保証人だけが債務を免れるわけです。

また、身元保証というのは、親戚の就職の際に、その身元保証人となることをいいますが、これについては、身元保証に関する法律というのがあり、その保証契約の効力期間は原則として3年と定められています。

ただし、商工業見習者の身元保証契約のときは5年です。

これは契約効力存続期間ですが、就職して3年を過ぎれば、身元保証契約の効力もなくなります。

ただし、3年以内に主たる債務者が、就職先で使い込みをなどを起こしてしまったら、それは不法行為による損害賠償事件ですから、使い込みの時から3年は身元保証人の責任も残ります。

交通事故の示談と時効・・・

交通事故にあい、示談も終わっていないような場合、何年で消滅時効にかかるのでしょうか?

交通事故は、民法上は不法行為といいます。

刑法上では、傷害罪、暴行罪など種々の罪名に分かれていますが、民法上はこれらを全て一括して不法行為といいます。

改正民法724条

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

第724条の2

人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。

と定められています。

ですので、ひき逃げ等で加害者が不明の場合の消滅時効の期間は次のようになります。

・事故日の翌日から20年

・加害者が判明した日の翌日から人的損害は5年、物的損害は3年

のうちの早い方になります。

加害者はわかっていても、被害者が入院を1年、通院を1年などしていた場合、治療費は日々発生しており、日々新しい損害が発生しているときは、それぞれの損害は別個に消滅時効が進行するとされていました。

しかし、少なくとも入院中は、これを一連の現象と見て、退院時から治療費その他全ての損害賠償請求の時効が進行開始するとみてよいとされています。

通院中は、通院の事実や必要性が不明確になりますから、病院の請求書ごとに時効が進行する、と考えたほうがよい場合もあります。

後遺障害については、後遺障害のときから時効が進行します。

ただし、交通事故に関しては、被害者救済のために、裁判所もなるべく被害者の請求が時効にかからないよう判断しています。

また、時効の更新として、途中で加害者が被害者に対し、治療費や休業補償の一部でも支払っていれば、そこで消滅時効の進行は更新します。

その時から新たに3年の時効期間が始まります。

また、示談というのは、加害者が賠償金を支払うことを約束した事ですから、示談した日に時効は更新して、その日から3年は時効にかかりません。

示談成立時に約束した賠償額は一般民事債権となり、時効期間を5年としています。

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