臨時保佐人の職務・・・
臨時保佐人の職務は、準禁治産者が保佐人又はその代表する者との間の利益相反行為に同意を与えることです。
臨時保佐人の同意を得ないでした準禁治産者の行為は取消すことができます。
臨時保佐人に関しては、その性質上適用の可能性のない規定を除き、基本的に成年後見人に関する規定が類推適用されるとして、利害関係人による選任請求、善管注意義務等、選任の考慮事情、辞任、解任、欠格事由、後見事務の費用に関する規定は、各規定の性質上、いずれも臨時保佐人に類推適用され、臨時保佐人が被保佐人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可を要し、また、報酬の付与を認めるのが相当であると解されています。
(受任者の注意義務)
民法第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(委任の終了後の処分)
民法第654条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
(委任の終了の対抗要件)
民法第655条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
(成年後見人の選任)
民法第843条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
2 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により、又は職権で、成年後見人を選任する。
3 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
(後見人の辞任)
民法第844条 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
(後見人の欠格事由)
民法第847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
1.未成年者
2.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
3.破産者
4.被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
5.行方の知れない者
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
民法第859条の3 成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
(支出金額の予定及び後見の事務の費用)
民法第861条 後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
2 後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。
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保佐開始審判前の財産管理者の選任・・・
保佐開始の審判の申立があった場合、家庭裁判所は、本人の財産の管理のため、必要があるときは、申立により、又は職権で、担保を立てさせないで、保佐開始の審判の申し立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任することができます。
これは、家庭裁判所が行なう審判前の保全処分の一つです。
家事審判法第15条の3 第9条の審判の申立てがあつた場合においては、家庭裁判所は、最高裁判所の定めるところにより、仮差押え、仮処分、財産の管理者の選任その他の必要な保全処分を命ずることができる。
2 前項の規定による審判(以下「審判前の保全処分」という。)が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
3 前2項の規定による審判は、疎明に基づいてする。
4 前項の審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。
5 第9条に規定する審判事件が高等裁判所に係属する場合には、当該高等裁判所が、第3項の審判に代わる裁判を行う。
6 審判前の保全処分(前項の裁判を含む。次項において同じ。)の執行及び効力は、民事保全法(平成元年法律第91号)その他の仮差押え及び仮処分の執行及び効力に関する法令の規定に従う。この場合において、同法第45条中「仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所」とあるのは、「本案の審判事件が係属している家庭裁判所(その審判事件が高等裁判所に係属しているときは、原裁判所)」とする。
7 民事保全法第4条、第14条、第15条及び第20条から第24条までの規定は審判前の保全処分について、同法第33条及び第34条の規定は審判前の保全処分を取り消す審判について準用する。
家事審判規則第三十条 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の管理又は本人の監護のため必要があるときは、家庭裁判所は、申立てにより、又は職権で、担保を立てさせないで、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、本人の財産の管理若しくは本人の監護に関する事項を指示することができる。
2 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の保全のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、本人の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、財産の管理者の保佐を受けるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による審判(以下この条において「保佐命令の審判」という。)は、財産の管理者に告知しなければならない。
4 保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、法第十五条の三第四項の規定による告知があつた日及び前項の規定による告知があつた日のうち最も遅い日から進行する。
5 保佐命令の審判があつたときは、本人及び財産の管理者は、本人が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
6 第三十二条第一項及び第三十三条から第三十六条までの規定は、第一項の規定により選任された財産の管理者について準用する。
財産の管理者には不在者の財産管理人の規定が準用されているので、相続人に対する保佐開始の申立が審理中に遺産分割の協議をする必要が生じた場合、財産の管理者は民法28条に基づき家庭裁判所の許可を得て当該相続人のために遺産分割の協議を成立させることができます。
(管理人の権限)
民法第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
家事審判法第16条 民法第644条、第646条、第647条及び第650条の規定は、家庭裁判所が選任した財産の管理をする者について、同法第27条から第29条までの規定は、第15条の3第1項の規定による財産の管理者について準用する。
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保佐開始審判前の財産管理者の選任申立・・・
財産の管理者の選任を求める審判前の保全処分申立は家事雑事件です。
審判前の保全処分の申立人は、その申立書において、求める保全処分及び当該保全処分を求める事由を明らかにしなければなりません。
家事審判法第15条の2 第9条第1項甲類に掲げる事項についての審判(戸籍の記載又は後見登記等に関する法律(平成11年法律第152号)に定める登記の嘱託を要するものとして最高裁判所の定めるものに限る。以下この条において同じ。)が効力を生じた場合又は次条第1項の規定による審判(同条第5項の裁判を含む。)が効力を生じ、若しくは効力を失つた場合には、裁判所書記官は、最高裁判所の定めるところにより、遅滞なく、戸籍事務を管掌する者又は登記所に対し、戸籍の記載又は後見登記等に関する法律に定める登記を嘱託しなければならない。
申立書には、申立の趣旨として「求める保全処分」を記載し、「保全処分を求める事由」として、求める保全処分を根拠付けるだけの具体的事実関係を記載して本案審判認容の蓋然性を明らかにし、保全の必要性として、緊急に当該保全処分を必要とする具体的事情を記載します。
蓋然性とは、ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合いをいいます。
財産の管理者選任申立の場合は、本案審判の申立認容の蓋然性としては、申立却下がされないであろうという点の蓋然性をもって足り、また、保全の必要性としては本人の財産の管理のために財産の管理者が必要であることを要します。
家事審判規則第三十条 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の管理又は本人の監護のため必要があるときは、家庭裁判所は、申立てにより、又は職権で、担保を立てさせないで、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、本人の財産の管理若しくは本人の監護に関する事項を指示することができる。
2 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の保全のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、本人の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、財産の管理者の保佐を受けるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による審判(以下この条において「保佐命令の審判」という。)は、財産の管理者に告知しなければならない。
4 保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、法第十五条の三第四項の規定による告知があつた日及び前項の規定による告知があつた日のうち最も遅い日から進行する。
5 保佐命令の審判があつたときは、本人及び財産の管理者は、本人が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
6 第三十二条第一項及び第三十三条から第三十六条までの規定は、第一項の規定により選任された財産の管理者について準用する。
①申立権者
利害関係人です。
家庭裁判所は、職権で、財産の管理者を選任することができます。
②管轄
保佐開始の審判の申立が係属する家庭裁判所又は高等裁判所です。
③添付書類
財産の管理者の候補者の戸籍謄本・住民票
指示をうけるべき者の戸籍謄本・住民票
本案審判認容の蓋然性及び保全の必要性を疎明する資料
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保佐開始審判前の財産管理者の選任審判・・・
審判前の保全処分の申立人は、「保全処分を求める事由」を疎明しなければなりません。
家事審判規則第十五条の二 審判前の保全処分の申立てをするときは、求める保全処分及び当該保全処分を求める事由を明らかにしなければならない。
2 前項の申立てをした者は、第七条第一項の規定にかかわらず、保全処分を求める事由を疎明しなければならない。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、事実の調査及び証拠調べをすることができる。
審判資料が職権で収集される原則に対する例外です。
家事審判規則第七条 家庭裁判所は、職権で、事実の調査及び必要があると認める証拠調をしなければならない。
2 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査又は証拠調を嘱託することができる。
3 家庭裁判所は、相当と認めるときは、合議体の構成員に命じて事実の調査をさせることができる。
4 合議体の構成員に事実の調査をさせる場合には、裁判長がその家事審判官を指定する。
5 合議体の構成員が事実の調査をする場合には、家庭裁判所及び裁判長の職務は、その家事審判官が行う。
6 証拠調については、民事訴訟の例による。
家庭裁判所は、補充的に職権で事実の調査及び証拠調べをすることができます。
これは、申立人の提出した資料のみによって申立を判断するとした場合には、申立人の保護に著しく欠けたり、また、相手方、事件本人の地位を著しく害したりすることが避けられず、家庭裁判所の後見的機能に反する結果を招来しかねないので、このような場合をおもんばかって、家庭裁判所の後見的機能を発揮させるためとされています。
審判前の保全処分の審理は、審問等による関係人に対する陳述聴取、書面審理等本案審判と同様の方法により行なわれます。
財産の管理者を選任する審判前の保全処分は、担保を立てさせないでされます。
家事審判規則第三十条 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の管理又は本人の監護のため必要があるときは、家庭裁判所は、申立てにより、又は職権で、担保を立てさせないで、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、本人の財産の管理若しくは本人の監護に関する事項を指示することができる。
2 保佐開始の審判の申立てがあつた場合において、本人の財産の保全のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、当該申立てをした者の申立てにより、保佐開始の審判の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、本人の財産上の行為(民法第十三条第一項に規定する行為に限る。第五項において同じ。)につき、財産の管理者の保佐を受けるべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による審判(以下この条において「保佐命令の審判」という。)は、財産の管理者に告知しなければならない。
4 保佐命令の審判に対する即時抗告の期間は、法第十五条の三第四項の規定による告知があつた日及び前項の規定による告知があつた日のうち最も遅い日から進行する。
5 保佐命令の審判があつたときは、本人及び財産の管理者は、本人が財産の管理者の同意を得ないでした財産上の行為を取り消すことができる。この場合においては、制限行為能力者の行為の取消しに関する民法の規定を準用する。
6 第三十二条第一項及び第三十三条から第三十六条までの規定は、第一項の規定により選任された財産の管理者について準用する。
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