未成年者が生んだ子の親権者・・・

未成年者が生んだ子の親権者・・・

未成年者の大学生である娘が付き合っている彼氏の子を生んだのですが、親権者は誰になるのでしようか。

民法では、「成年に達しない子は、父母の親権に服する」としていますので、娘さんは「親権に服する」身分であり、親権者たる資格はありません。

その彼氏がもし20歳になっているのなら、自分で親権者になれるのですが、まずその彼氏に子供の認知をしてもらって、親権者になってもらいます。

彼氏が未成年者の場合は、認知はできますが親権者とはなりえませんから、未成年者の婚姻という方法をとる必要があります。

娘さんと彼氏が、法律上の夫婦になれば、たとえ未成年者であっても、「婚姻したときは、これによって成年に達したものとみなす」とされますから、生まれた子は嫡出子となり、両親の共同親権に服することができます。

娘さんと彼氏が夫婦になれない場合には、娘さんの親が「子の親権の代行」として、親権を行うことになります。

(子に代わる親権の行使)
民法第833条 親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。

親夫婦は娘さんの産んだ子について、共同親権に服することになります。

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親権者が養育費を負担するのか・・・

夫婦が離婚して、親権者が決まれば、その後の子供の監護、教育のことが決まるわけではなく、子を監護・教育するための費用についても協議する必要があり、これを養育費といいます。

養育費は、親権者である者が全てを負担するものではなく、親子関係そのものから発生するものですので、離婚後に親権者とならない一方の親や、生活を一緒にしない親でも、他方の親よりも扶養義務が軽く、養育費負担が少ないということはないのです。

ですから、親権者だからといって、当然に養育費を負担することにはなりません。

もし、離婚の際に、「養育費については迷惑をかけない」という約束をした場合でも、事情によっては養育費を請求できることもあります。

養育費を請求すると、「育てられないなら、子を引き取る」などと言ってくる場合もありますが、費用の負担と子の心身の保護とは直接の関係はありません。

夫婦離婚後に、子の養育費を請求する方法としては、子の監護に関する処分による方法と、扶養請求による方法があります。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3 前2項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

(扶養の程度又は方法)
民法第879条 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

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親権を剥奪するには・・・

大酒飲みの父親とその幼い娘が暮らしているのですが、父親はいつもお酒を飲んでおり、その娘の将来に悪影響を与えるのではないかと思い、その父親の親権を剥奪させることはできないでしょうか。

親権とは、権利だけでなく、義務を伴った地位で、親権者は当然に未成年の子の監護、教育をする権利を持ち、義務を負います。

そのための必要な範囲で、子に対して居所を指定し、そこに居住させることができたり、監護、教育のために必要であれば、自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可をもらって、これを懲戒場に入れることができることになっています。

身分上の行為や財産上の問題が起こると、その子の法定代理人となります。

しかし、親権とは親の権威などというものではなく、子の福祉のために認められている権利だと考えられ、親権のある親が、その子にとって好ましくないときは、その親権を剥奪することができることになっています。

(親権の喪失の宣告)
民法第834条 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。

親権の濫用とは、親権の内容である身上監護や財産管理などの職務を、なおざりにしたり、不当に行使したりして、その子の福祉を害することをいいます。

著しい不行跡とは、遊び好きで怠惰なことから自分の財産を使い果たしたり、飲酒にふけったり、賭博をしたりすることをいいます。

それらの行為が子供に悪い影響を与えたり、監護、教育が怠惰になって子供の財産を危うくしたりして、子供の利益を害するおそれがあるため、親権の喪失原因となります。

本件の場合、ご自身が親族に該当すれば、子供の利益のために親権の喪失を申し立てることができます。

(親族の範囲)
民法第725条 次に掲げる者は、親族とする。
1.6親等内の血族
2.配偶者
3.3親等内の姻族

家庭裁判所は、事実を審理して、その結果親権喪失宣告か申立却下のどちらかを審判しなければなりません。

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