酔った席での約束の取消し・・・

酔った席での約束の取消し・・・

スナックのママをしているのですが、お客さんである山田さんが酔った勢いで、200万円を出してお店の改装をしてくれると言ったのですが、その後、山田さんは覚えていないと言っていますが。

たとえ、山田さんが覚えていたとしても、その約束はいつでも取消すことができ、これは書面によらない贈与契約は、いつでも取消すことができるのです。

(書面によらない贈与の撤回)
民法第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

事例として、ある小さなクラブのママは、2年ほど前から店に来る若い警察官と親しい間柄になり、肉体関係になったのですが、若い警察官が上司の勧めで婚約者ができたのです。

ママは、若い警察官からお金を巻き上げようと考え、以前にその警察官が酔って店舗の改装資金を出してもよいような話をしていたのを蒸し返しだし、大騒ぎをして請求をし始めました。

このことは、仲人をした上司に知られ、また婚約者にも知られ、その若い警察官は、ママに店舗の仮想資金をとられた上に、婚約者にも逃げられてしまう結果になってしまいました。

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結婚詐欺になる場合・・・

結婚詐欺といわれるものは、法律的には刑法の詐欺罪にあたります。

(詐欺)
刑法第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺となるためには、人を騙して財物をとらなければならず、結婚しようと言って、結婚しなかっただけでは詐欺罪にはなりません。

結婚しようと約束し、それをネタにしてお金や物を貢がせ、最後には逃げるような振る舞いがあって詐欺罪は成立します。

結婚詐欺の疑いがある相手である場合には、まずは相手の身辺を明らかにするために、戸籍謄本などをとってみることも大切です。

その相手が既婚者であるか未婚者であるかを調べることができます。

転籍などしていると、前の除籍謄本をとらないと婚姻暦がわからない場合があります。

市町村への転籍の届出が出ると、それまでの戸籍は除籍されてしまい、新戸籍が作られ、手続に準じて戸籍が編製され、そのときに、手数を省くため一定の身分に関する事項の省略が認められていますので、過去に何度離婚をしているなどは、転籍したら記載されないのです。

また、戸籍のうえから追及するだけでなく、相手の生活態度や勤め先などの様子から判断することも大切です。

相手に結婚相手がいたり、渡したお金の使途などから騙されたと判断できる場合には、早急に警察に相談してみることが大切です。

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詐欺で婚姻の無効と認知の取消・・・

父親のいない妹の子を自分の戸籍に入れて育てていた彼女に感心し、可愛そうに思い、結婚し子を認知したのですが、子供は妹が生んだのではなく、実は彼女が生んだことがわかり、騙されたので離婚と認知の取消をしたいのですが。

婚姻は届出をすることによって成立しますから、意思のない者が他人の手で届出を出されたような場合には、婚姻は無効となります。

(婚姻の無効)
民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
2.当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

取消ができる場合としては、詐欺・強迫による婚姻があります。

(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
民法第747条 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。

この規定による詐欺による取消ができるかどうかが問題となります。

彼女が婚姻外で、父親のわからない子供を生んでいながら、妹の生んだ子と偽って結婚したということは取消権を行使することもできそうです。

しかし、この取消権の行使は、詐欺を発見してから3ヶ月を経過したら請求できないことになっています。

また、離婚ができるかについては、当事者の協議で離婚できればすぐにでも離婚できますが、相手方が承諾しなければ、裁判所に判断を委ねることになります。

また、認知を取消せるかについて、民法では取消すことができないとされています。

(認知の取消しの禁止)
民法第785条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。

しかし、任意で認知する行為には、無効の認知もあり、認知者と被認知者の間に親子の血縁が存在しない場合も無効とされ、認知は親が子についてする意思表示で、親子関係を発生させるものですから、他人がそれをしたからといって、他人との間に親子関係を生じさせないのです。

(認知に対する反対の事実の主張)
民法第786条 子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。

民法に規定により、認知に対する反対の事実を述べて、認知無効の訴えをすることができます。

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