小額訴訟とは・・・

小額訴訟とは・・・

◇小額訴訟とは

小額訴訟とは、簡易裁判所において、訴額60万円以下の金銭支払請求事件について求めるような審理および裁判をいいます。

小額訴訟手続では、原則として1回の口頭弁論期日だけで審理を完了し、直ちに判決の言い渡しをします。

裁判所に出頭するのは1日です。

当事者は口頭弁論期日前に、あるいは期日の当日、すべての主張、証拠を提出しなければなりません。

例外として、期日の続行、後日の判決が認められます。

小額訴訟にするかどうかは、原告が選択権を有し、被告がこれに通常訴訟への移行を求めなかった場合に、小額訴訟として処理されることになります。

被告は、口頭弁論期日以前に通常訴訟への移行を求めることができます。

申し立てる裁判所は、通常訴訟の管轄と同じです。

訴額の制限の60万円の中には利息、損害金は含まれません。

物の引渡請求、金銭債務の不存在確認などは小額訴訟を使うことはできません。

小額訴訟の申立は、同一簡易裁判所においては1年に10回に制限されます。

小額訴訟による判決によって強制執行する際に、より簡易迅速に債権回収をするための小額訴訟債権執行の制度が認められました。

◇小額訴訟の審理の特例

①反訴は禁止されます。

反訴を認めてしまうと1回の期日で処理できなくなるためです。

②証拠調べは即時に取り調べ可能な証拠に限定され、検証や鑑定は認められません。

③証人尋問における宣誓は省略できます。

④証人尋問、当事者尋問の順序は裁判所の裁量によります。

⑤電話会議の方法による証人尋問ができます。

◇小額訴訟の判決

判決の言い渡しは、判決書の原本に基づかないで行うことができます。

この場合の判決を調書判決といいます。

判決には、職権で仮執行宣言が付されます。

これに基づく強制執行には執行文は不要です。

請求を認める判決をする場合には、必要により支払いの猶予が認められます。

3年を超えない範囲の支払時期の延期、分割払いの設定、遅延損害金の支払義務の免除が、裁判官の裁量により定められます。

遅延損害金の免除は、訴え提起後のものに限られ、また利息は免除の対象となりません。

分割払いの定めをするときは、期限の利益喪失約款が必ず定められます。

この判決による支払いの猶予に対しては、不服を申し立てることはできません。

◇不服申立ての制限

小額訴訟の判決に対しては、上級裁判所への控訴は認められず、異議申立てのみが認められます。

異議があると、通常手続によって、もう一度簡易裁判所で審理されます。

異議の申立先は、判決をなした簡易裁判所になります。

異議の審理は、反訴禁止、証人尋問、当事者尋問も小額訴訟の規定が適用され、判決による支払いの猶予も認められます。

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即決和解とは・・・

支払督促や公正証書は、金銭債権についてしか債務名義となりません。

物の引渡しについて債務名義を得たい場合に利用されるのが即決和解になります。

訴訟をすることなく、簡易裁判所に和解案を提出して、期日を指定してもらい、和解期日に出頭し、そこで成立した和解案が調書に記載されると債務名義になります。

例えば、賃貸アパートの貸主が、賃料を3か月滞納している借主に、半年後には出て行く約束を取りつけたとします。

これを当事者が即決和解の申立てをして、債務名義を取得しておけば、半年後もし出て行かなかった場合に、明け渡しの強制執行をできることになります。

これを即決和解といいます。

申立ての手数料である印紙代は2,000円です。

合意管轄が認められていますので、早く処理してくれる簡易裁判所に申し立てます。

この通常手続による判決に対しても控訴は認められず、憲法違反を理由とする最高裁判所に対する特別上告のみが認められます。

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手形訴訟とは・・・

手形金に関する訴訟は、通常の訴訟より簡易、迅速に処理されます。

これを手形訴訟といいます。

手形訴訟は、原則として1回の期日で弁論、証拠調べを完了します。

短期間で済む理由は、証拠を書証に限っていること、しかもその書証は証明者自ら所持するものに限っていること、証人尋問、鑑定、検証はすべて禁止されていること、反訴の提起も禁止されている、ことなどからです。

手形訴訟の土地管轄は、手形の支払地も認められます。

訴えを提起してから約1ヶ月後に期日が入り、それから1ヵ月後に判決というのが通常の進行です。

手形訴訟では、文書提出命令、文書送付の嘱託は認められません。

また、当事者尋問は文書の真否、手形の呈示に関する事実に限られます。

認容判決には必ず職権で仮執行宣言が付されるので、すぐに強制執行に着手することができます。

手形判決には、控訴が認められず、異議の申立てだけが認められます。

手形判決を送達された日の翌日から2週間以内に500円の印紙を貼付した異議申立書を第一審裁判所に提出すれば、通常手続による第一審の審理が再開されます。

その判決に対しては控訴ができます。

原告は手形訴訟を選択した後でも、それが得策でないと判断すれば、被告の意思にかかわらず、通常訴訟への移行を求めることができます。

手形訴訟提起の際の注意点は、手形要件の充足と裏書の確認です。

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