質権とは・・・
質権とは、債権者がその債権の担保として質権設定者から受け取った物を債務が弁済されるまで債権者の手許に留置し、もし弁済がなされない時には、その物から債権者に優先して弁済を受ける権利のことをいいます。
質権は、質物を質権設定者から債権者が占有し、手許に留置するという留置的効力を持っています。
質権設定者としては、質物を債権者に引き渡してしまうので、債務を弁済しない事には、質物を返してもらえないわけです。
これは、被担保債権の弁済を債務者側に間接的に強制する作用を果たしているということになります。
また、質権には、この留置的作用のほかに、抵当権と同様、弁済期に被担保債権について弁済がないときには、質物について質権を実行して、優先弁済を受けられる優先弁済的効力もあります。
質権には、担保物権の一種として附従性、随伴性、不可分性、物上代位性があります。
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質権設定の方法とは・・・
質権は質権設定契約によって設定されます。
質権設定契約を結ぶ当事者は、債権者と質権設定者です。
質権設定者は債務者本人である場合もあり、他の第三者であることもあります。
第三者が質権設定者である場合に、この第三者を物上保証人といいます。
質権設定契約という契約は、質物を質権設定者から債権者に引き渡してはじめて効力を発生します。
ある物について質権設定すると当事者が合意したり、契約書に調印しただけでは効力を発生しません。
このように質権設定契約が質物を債権者の引き渡してはじめて効力が発生するものとしているのは、質権の留置的作用があるからです。
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動産質権設定契約書のひな形とは・・・
債務弁済並びに動産質権設定契約書
債権者****株式会社を甲、債務者株式会社****を乙とし、甲乙は、本日、以下の内容による債務弁済並びに動産質権設定契約を締結する。
第1条 乙は、甲に対し、本日現在、甲乙間の平成**年**月**日より翌平成**年**月**日までの間の****取引により生じた代金***万円の未払いの買掛金債務を負担することを確認する。
第2条 乙は、前条記載の買掛金***万円を平成**年**月**日限り、甲の本店に持参又は送金して支払うものとする。
第3条 乙が前条記載の弁済期に第1条の買掛金を支払わないときは、乙は、甲に対し、前条の期日の翌日から支払い済みに至るまで年**%の割合による遅延損害金を支払わなければならない。
第4条 乙は、本件債務の支払いを担保するため、その所有にかかる次の物件に質権を設定し、甲は、その引渡しを受けた。
1、*****
2、*****
3、*****
第5条 前条の質権は、本件買掛金、遅延損害金、質権実行の費用及び質権保存の費用を担保するものとする。
この契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙各1通を所持する。
平成**年**月**日
住所 ***********
債権者(甲) ****株式会社
代表取締役 **** 印
住所 ***********
債務者兼質権設定者 株式会社****
代表取締役 **** 印
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質権設定契約書を作成する・・・
質権設定契約書は、債権者と質権設定者との間で結ばれますが、この質権設定者は必ずしも債務者である必要はなく、第三者でも結ぶ事はできます。
契約書では、誰が質権設定者であるかを明確にし、誰が所有するどのような物に質権を設定するのかも明確にする必要があります。
また、被担保債権も明確にする必要があります。
質権設定契約は、目的物の引渡しがあってはじめて契約が有効に成立する要物契約ですから、契約書にも明確に質物を質権設定者から債権者に引き渡した旨を記載します。
また、目的物の表示は特定しうる程度に記載します。
質権設定できる物とは・・・
質権の目的物は動産であれ、不動産であれ、債権や株主権であってもよいとされています。
質権の目的物が何であるかにより、動産質、不動産質、権利質といわれます。
ただし、質物は譲渡することが出来る物でなければならないとされています。
債務者が弁済期に弁済しない時、質物を法律上の手続によって換価し、その代金から質権者は優先的に弁済を受けます。
このように譲渡性のない物については、換価優先弁済ができず、質権は成立しないのです。
なお、譲渡禁止の特約がある債権については、質権者が善意である場合に限って、質権が有効に成立するものと考えられています。
また、登記船舶などは、立法政策のうえから質権設定が禁じられています。