債権回収の管轄裁判所・・・
裁判所は、原則として地方裁判所が府県ごとに各1つずつ設置されており、府内、県内の重要な地点には、その支部が置かれています。
訴訟を起こす場合、被告の住所地の管轄裁判所に申し立てるのが、原則です。
金銭消費貸借契約の場合、金利や元金の返済は、債権者の住所地において行うと規定されています。
あるいは、利息又は元金は、債権者の本店に持参又は送金して支払う、などという規定することもあります。
これらの規定があれば、債権者の住所地、本店所在地の地方裁判所において訴訟をすることができます。
これは、被告の義務の履行地にも管轄を認めているからです。
商品代金債権、売掛債権の場合は、金の貸し借りと違いますので、債権者の住所地に持参して支払うという契約をしていることは少ないようです。
しかし、商法では、「一般に商行為によって生じた債務の履行地は、債権者の営業所の所在地である」と規定しています。
(債務の履行の場所)
商法第516条 商行為によって生じた債務の履行をすべき場所がその行為の性質又は当事者の意思表示によって定まらないときは、特定物の引渡しはその行為の時にその物が存在した場所において、その他の債務の履行は債権者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)において、それぞれしなければならない。
2 指図債権及び無記名債権の弁済は、債務者の現在の営業所(営業所がない場合にあっては、その住所)においてしなければならない。
これを利用して、債権者の住所地や本店所在地の裁判所に訴えを起こすことが行われています。
2人以上の被告に対して訴訟を起す場合にも、債権者の住所地に訴えを起こすことができるならば、問題はありませんが、そうでない場合、被告のうち1人の住所地の管轄裁判所に、まとめて他の被告も加えて1つの訴訟で裁判をすることができます。
この場合、連帯保証人が近くに住んでいれば、その土地の裁判所に起すこともでき、主債務者を中心に考える必要はありません。
手形や小切手の場合は、手形面上・小切手面上の支払地に訴えを起こすこともできます。
まったく管轄のない裁判所に訴えを提起して被告がこれに応ずれば、管轄権が生ずることになっています。
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債権回収の訴訟の費用・・・
訴訟費用として裁判所に納めるのは、主として訴状に貼る印紙と、被告呼び出しのための郵便切手が主なものです。
印紙の額は、訴訟で請求する金額、つまり訴額によって決まります。
貸金などの請求の場合、債務者のほかに連帯保証人がついていることがあり、その場合、債務者本人の他に、連帯保証人も被告に加えて、訴訟を提起します。
この場合でも、訴状に貼る印紙の額は変りません。
印紙の額は被告の人数に関係ないのですが、被告を呼び出したり、訴状を送達するための郵便切手は、被告の数が増えれば、その数に応じた額を裁判所に納めなくてはなりません。
これは、被告に対しては、個々の住所宛てに、訴状の副本を送ったり、口頭弁論期日呼出状を送ったりするためで、被告の費用が増えれば、その分だけ送達費用が増えるのです。
主債務者のほかに、連帯保証人が2人以上ついている場合があり、連帯保証人は各自が債務全額を保証している場合と、2人の場合は債務の2分の1、3人の場合は3分の1しか保証していない場合とがあります。
いずれの場合にも、被告として支払を請求できる者は、全員を被告にしてしまうことが必要です。
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債権回収の訴訟の訴状提出後の手続・・・
訴状を提出した後、裁判所では、訴状を審査して一応形式が整っていれば、担当の裁判官は、第一回口頭弁論期日を決めて、当事者を裁判所に呼び出します。
被告側に対しては、訴状の副本と口頭弁論期日呼出状とともに送達します。
訴状の送達は、受付後1週間から2週間以内に行われ、第一回の口頭弁論期日は、1ヶ月ないし1ヵ月半ぐらい先の日時に指定されることになっています。
期間をおくのは、被告が訴状に対して反論するための準備期間を与えるためです。
第一回口頭弁論期日では、訴状の内容を陳述し、被告は答弁書の内容を陳述します。
答弁書には、被告の立場からの主張が記載してあります。
訴状の請求の原因に書いてあるだけで、原告の主張として不十分の場合は、準備書面を書いて提出し、主張を補充します。
被告の場合も、準備書面を提出して反論をすることができます。
これらを全て書面に作成し、正本を裁判所に、副本を相手方に渡します。
準備書面の中に記載しておかない事項は、相手方が口頭弁論の期日に出頭していない場合は、正式に主張することはできません。
準備書面などと同時に、書証を提出し、金銭消費貸借契約書であるとか、利息又は元金の受取書であるとかを書証とします。
この書証は、原告側は「甲第一号証」というように「甲」という称号をつけて、番号をふります。
被告は「乙」という称号を使用し、書証は写しを必ず相手方に渡し、裁判所に渡し、同時に原本を裁判官と相手方に示します。
次に証人や証拠調べが行われ、判決が言渡されることになります。
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