子の認知とは・・・

子の認知とは・・・

結婚中に生まれた子は嫡出子となり、結婚外に生まれた子は非嫡出子となりますが、非嫡出子は法律上は父のない子であっても、父は存在します。

その父は、死亡している場合もあり、現存している場合もありますが、母だけの子ということは生物学的にありえないのですから、法律関係を別とすれば、父と子の関係は実在しているわけです。

また、法律の定めがあるために、実際には自分の子であることを認めている父が、やむを得ず母だけの子として届出をしたことで、非嫡出子となっている場合もあります。

このような非嫡出子は、父がこれを認知したうえで母と婚姻しない限り、いつまでも非嫡出子ですが、認知をした上で、父母が結婚すれば非嫡出子は嫡出子としての身分を取得します。

この結果、法律的には親子関係がなかった父との間に、親子関係が生まれます。

認知とは、法律上の親子関係がない事実上の父と子の間に、法律上の親子関係を生まれさせる身分法上の法律要件です。

母子関係は、分娩という生理的関係があり、一般的に認知を必要としませんが、必要があれば母がその子を認知することはできます。

しかし、認知は父子関係を発生させる法律の手続です。

(認知)
民法第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知能力)
民法第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

(認知の方式)
民法第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。

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任意認知と強制認知・・・

認知には、任意認知と強制認知があります。

任意認知とは、非嫡出子の事実上の父が、非嫡出子との間に父子関係を成立させる手続であり、強制認知は、子又はその直系卑属から父に対する訴え、又は審判の申立てに基づく判決、審判によって、父子関係の存在を明らかにする手続です。

父は、非嫡出子を任意に認知することができます。

これは、遺言ですることもできます。

認知は民法にいう意思表示ではありませんが、意思能力があることが必要です。

未成年の父であっても、被後見人や保佐人である父であっても、意思能力の在る者は、法定代理人の同意を必要としないで、子の認知をすることができます。

ただし、精神異常者が正気に復さないような状態のときは、意思能力がないとされますので、認知することはできません。

強制認知は、子及びその直系卑属又はこれらの者の法定代理人から、認知の訴えを提起し、又は家庭裁判所に対する審判の申立てをして、判決又は審判の決定を得ます。

認知があったからといって当然に父の氏を称するわけではありません。

相続についても、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1になります。

(法定相続分)
民法第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

(認知)
民法第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知能力)
民法第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

(認知の方式)
民法第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。

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子の認知の効果・・・

認知は、事実上の父とその子との間に法律上の父子関係を成立させる身分法上の法律要件であり、これには任意認知と強制認知があります。

認知があったときは、その効果は子の出生のときに遡って効力を生じます。

認知によって非嫡出子は、出生のときから父の非嫡出子であったものとされます。

しかし、認知によっても非嫡出子が父の嫡出子となるものではなく、親権者も依然として母であって、認知後は父との協議で父を親権者とすることができるとされています。

子の氏も認知によって当然に変るのではなく、母の氏を称します。

ただし、家庭裁判所の許可を得て父の氏に変えることができます。

父が認知する場合に、父母の協議によって、子の監護者を父母のどちらかにするかを決めることができます。

認知は、子の出生のときに遡ってその効力を生じますが、例外として、第三者のすでに取得した権利を害することができません。

この遡及効の例外は、父の死後にその遺言によって認知された場合、認知された子の相続権に影響があります。

死後認知の結果、認知者の死亡のときに非嫡出子であったことになりますから、これを相続人から除いて遺産分割が行われたとしますと、その遺産分割は違法となるはずですが、これを違法の遺産分割であるとしてその効果を無効としたときは、第三者が損害を被る可能性があります。

民法では、相続の開始後、認知によって相続人となった者が遺産の分割をしようとする場合には、他の共同相続人がすでに分割その他の処分をしたときは、価額により支払の請求権があることとし、遺産の分割それ自体の有効無効を問わないことになっています。

(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
民法第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続入が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

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