単独親権者の死亡により親権者変更・・・
夫妻は、結婚10年後に調停離婚をし、お互いに2人の子の監護養育を希望しましたが、結局、夫が長男を、妻が二男を引き取り暮らすことになりました。
離婚原因は、性格の不一致と、夫妻の両親との対立からで、離婚後、完全に交流が途絶えました。
2年後、妻が亡くなりました。
夫は、二男の親権者を夫に変更する旨の、親権者変更の審判を申立て、妻の父親は、二男の後見人として申立人の父親に選任する旨の、後見人選任の審判を申し立てました。
夫方は、夫と4年生になった長男と、祖父母の4人家族、家業の農業は主に祖父が従事し、夫は勤めに出て、長男の世話は祖母が行なっていました。
妻方は、保育園に通うようになった二男と、祖父母、及び7歳の女児と4歳の男児を連れて離婚してきた妻の実体の6人家族、祖父が農業に従事し、実体は勤めにでて、3人の子供は祖母が面倒を見ていました。
裁判所の審理によると、経済状況、健康状態を含む人的環境、二男に対する愛情及び養育の意欲の面、いずれも双方優劣つけがたいとしていましたが、最終的に、裁判所の判定で、夫が親権者となることになり、後見人選任の申立ては却下されました。
妻方はの不満は強く、高等裁判所に不服申立をしたが、高裁も、現に養育中の祖父母の心情は察するに余りあるが、二男の将来という大局的見地から、父、兄のもとでも生活に理解を示すよう説き、抗告を棄却しました。
妻の死亡によって、未成年者に対して親権を行う者がいなくなり、この場合には、後見開始の場合に該当することになり、親族である妻の祖父が後見人申立てをしました。
(後見の開始)
民法第838条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
1.未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
2.後見開始の審判があったとき。
妻の死亡によって、当然に夫が親権者になるわけではありません。
単独親権者死亡の場合には、もう一方の親が親権者になるためには、家庭裁判所に親権者変更の審判の申立てをしなければなりません。
もし、夫が親権者変更の手続きもしなければ、妻の祖父が申立てのとおり、後見人に選任されていたと考えられます。
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離婚前の夫婦の贈与の取消し・・・
妻と夫には、子供がいなかったので、老後の生活費に充てる目的で妻は夫から2回にわたり、不動産を贈与してもらい、夫婦間で「夫婦相互協約覚書」という書類を作り、不動産の贈与について明白にさせた。
しかし、夫は約束に反し、妻に贈与した不動産を妻の承諾なしに第三者に売却してしまったために、妻は夫に対し、残っている不動産について妻名義に所有権移転登記をするよう頼みましたが、登記をしてくれなかったので、やむを得ず夫に対して所有権移転登記手続きを求めて訴えを提起しました。
夫妻は、正式に離婚はしていないけれども、実際には正常な夫婦関係が存在しないくらい破綻していました。
訴えられた夫は、以前に「夫婦相互協約覚書」を作っている以上、妻に不動産を贈与しなかったともいえないので、法律に定めのある「夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中いつでも、夫婦の一方が取消すことができる」ということを根拠に、以前になした贈与を取消すと主張しましたが、裁判所は、夫の主張を認めず、妻の請求を認めました。
その理由としては、「婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても、夫婦間の契約を取消すことはできない」ということであって、もし夫婦関係が円満である際に夫婦間で契約がなされた後、何らかの理由で夫婦間で離婚問題が起きるような紛争があり、夫婦関係が破綻しているようなときには、夫婦間の契約は取り消すことができないのです。
夫婦間の契約の取消権が問題になる場合は、契約の時と取消しの時によって次の4つに区分されます。
①正常な関係にある夫婦間で締結された契約を、正常な関係にある間に取消す場合
②正常な関係にある夫婦間で締結された契約を、婚姻破綻の状態で取消す場合
③婚姻破綻の状態で締結された契約を、夫婦関係が正常に戻ってから取消す場合
④婚姻破綻の状態で締結された契約を、婚姻破綻状態で取消す場合
夫婦間の契約取消しの対象になるのは、①の場合だけですが、反面、夫婦が円満に生活している場合には、取消しの問題が起きないばかりか、取消しをしたところでそれが裁判になるような事態に至ることは皆無であると考えられます。
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浮気した夫と離婚せず浮気相手に慰謝料請求・・・
夫は、バーのホステスと関係を持つようになり、妻に知られてしまいました。
妻は、その女性に対して、夫と別れるように頼んだが、応じず、関係を続けています。
妻は、離婚する意思はなく、とにかく夫婦関係を戻すよう試みました。
妻は、とうとう女性を相手取り、夫婦の愛情にひびを入らせて、その夫婦関係を侵害し、妻たる原告に対し、精神上の苦痛を与えたから、その慰謝料として500万円を支払えという訴えを裁判所に提起しました。
これに対して、女性は、泊まっていくことはあるが、肉体関係はないと主張し、夫も口裏を合わしました。
しかし、裁判所は、女性と夫の間に不貞行為があり、これによって夫と妻の夫婦仲が破綻したことは明らかである。
女性は、妻に対して不法行為による慰謝料を支払う義務がある、と断じ、その額は300万円が相当であると判決しました。
この裁判に先立ち、妻は家庭裁判所に夫婦円満調整の調停を申し立てたが、夫が反省していたので、申立てを取下げました。
しかし、女性との関係は続いていました。
その後、夫は妻に離婚の裁判を起したが、妻は断固として離婚を拒否しました。
そして、妻はその女性だけを相手方として、慰謝料の請求を起こし、勝ち取ったのです。
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