代物弁済の予約とは・・・

代物弁済の予約とは・・・

抵当権を設定する際に、同じ当事者間で、同じ目的物件につき、抵当権の設定とあわせて代物弁済の予約又は停止条件付代物弁済契約を結び、それを仮登記しておく場合があります。

この代物弁済の予約又は停止条件付代物弁済契約は抵当権設定との併用ではなく、単独で担保手段として利用される事もあります。

代物弁済の予約とは、債務者が弁済の期限が到来しても債務の弁済をしないとき、債権者が担保提供者との契約であらかじめ定めていた特定の物につき、予約を完結させて、これを代物弁済とする契約をいいます。

停止条件付代物弁済予約とは、債務者が履行期に債務の弁済をなさないときは、それで条件が成就し、目的となっている特定の物が当然に債権者に帰属する事となる契約をいいます。

どちらも、債務の弁済がなされないときに、債権者のほうで予約を完結させるとか条件の成就を理由に、債務の弁済の代わりとして目的物件を取得するという契約です。

通常、不動産について代物弁済の予約が結ばれた場合には、代物弁済の予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記が行われます。

この仮登記をしておけば、債権者は代物弁済によって不動産の所有権を取得した時に本登記する事により、本登記の順位が仮登記の順位によるものになるのです。

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仮登記担保権とは・・・

仮登記担保権は、「仮登記担保契約に関する法律」に定められています。

被担保債権を担保させようとして、不動産を担保に取る場合、不動産に抵当権の設定登記をなすとともに、担保設定者との間で、債務の弁済がなされないときに、弁済に代えて、その担保設定者所有の不動産の所有権を移転する事を目的とする契約を結びます。

これが代物弁済の予約であり、停止条件付代物弁済契約です。

債権者は、この契約に基づく権利を保全するために、その不動産について、停止条件付所有権の仮登記、所有権移転請求権保全の仮登記を受けます。

この仮登記をすると、債権者が代物弁済によって不動産の所有権を取得した時に本登記することによって、本登記の順位が仮登記の順位になるのです。

仮登記担保法は、仮登記担保契約や金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者と債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてなされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録できるものと定義づけています。

仮登記担保権とは、この仮登記担保契約によって成立した権利の事をいいます。

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代物弁済の予約と仮登記担保契約をする・・・

代物弁済の予約は当事者の間の契約によって結ばれます。

債権者と債務者又は不動産の所有者である物上保証人が当事者として契約をします。

代物弁済の予約は、単独で結ばれることも、抵当権や根抵当権の設定契約と併せて同一の契約書に結ばれる事もあります。

被担保債権と関係では、金銭消費貸借契約や債務弁済契約の中に代物弁済予約の条項を規定して盛り込まれている場合もあります。

金銭債権担保のための、債務不履行があるときに、債権者に担保設定者に属する目的物件の所有権等の移転をすることを目的としてなされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約で、その契約による権利につき仮登記又は仮登録のできるものについては仮登記担保法が適用されます。

ですので、この法律の定めるところにしたがって契約をしなければなりません。

仮登記担保権を実行するについてもこの法律の定める手続にしたがわなければなりません。

しかし、この法律の対象とならない動産や各種の権利については従来どおり代物弁済の予約をすることができます。

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仮登記担保契約書のひな形(代物弁済の予約)とは・・・

仮登記担保契約書

債権者 ****株式会社を甲、債務者兼担保設定者 株式会社****を乙として、甲乙は次の通り仮登記担保契約を締結した。

第1条 乙は、甲に対し、甲乙間の平成**年**月**日付金銭消費貸借に基づき、本日現在、下記の債務(以下「本件債務」という。)を負担していることを確認する。

(1)元本 金***万円

(2)利息 年率**% 当月分を毎月末日支払い

(3)遅延損害金 年率**%

(4)弁済期 平成**年**月**日(甲の本社に持参又は送金)

第2条 乙は、甲に対し、本件債務を弁済期に弁済できないときは代物弁済としてその所有する末尾記載の物件(以下「本件物件」という。)の所有権を甲に移転することを予約し、甲は、これを承諾した。

第3条 乙は、甲のために、直ちに本件物件につき、前条の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記手続をするものとし、登記手続に要する費用は、乙が負担する。

第4条 乙は、将来、本件物件に滅失、毀損があったことを理由に甲から増担保又は代わり担保の提供を求められたときは、これに応じなければならない。

二 乙は、本件物件の全部又は一部の滅失、毀損が生じたときには、直ちに甲にその旨を通知しなければならない。

第5条 乙は、本件物件を善良なる管理者の注意を持って使用、管理し、甲の承諾なしに本件物件を他に譲渡し、本件物件への質権、抵当権、仮登記担保権その他の担保権の設定若しくは賃借権の設定等本件物権の権利関係に新たな変動を生じさせることとなる行為は一切行わない。

第6条 乙が第1条の債務を履行せず、甲が本件物件の所有権を取得しようとするときは、甲は、乙に対し、代物弁済を求める意思表示を、下記事項を記載した配達証明付内容証明郵便で表示することによって完結する。

(1)通知が乙に到達した日から2ヶ月の期間(以下「清算期間」という。)を経過するときの見積価額

(2)前号のときの債権(元本、利息及び遅延損害金)並びに乙が負担すべき費用で甲が乙に代わって負担したもの(以下「本件債務等」という。)の額

(3)1号の見積額が本件債務等の額を超えるときは、乙に支払うべき精算金の見積額

第7条 清算期間内に乙が甲に対し、本件債務等を弁済したときは、甲は、乙に対し、第3条の所有権移転請求保全仮登記の抹消登記手続をする。その登記費用は、乙の負担とする。

第8条 乙が清算期間内に本件債務等の弁済しなかったときは、乙は、甲に対し、直ちに本件物件を引渡し、第3条の仮登記の所有権移転本登記手続きをする。その登記手続費用は、乙の負担とする。

二 前項の場合、清算期間経過時の本件物件の時価が本件債務等の金額に満たないときは、乙は、甲に対し、直ちにその不足額を支払わなければならない。

物件の表示

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上記契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙、各1通を保有する。

平成**年**月**日

住所 ***********

債権者(甲) ****株式会社
代表取締役 **** 印

住所 ***********

債務者兼担保設定者 株式会社****
代表取締役 **** 印

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