蒸発した夫との離婚・・・

蒸発した夫との離婚・・・

夫の生死不明で離婚を考えるとき、善意の場合と悪意の場合とでは、法的な対処法が違います。

夫が善意の場合は次の対処になります。

人は7年間生死不明であると、死亡したものとして取り扱われることがあります。

(失踪の宣告)
民法第30条 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)
第31条 前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

また、沈没した船に乗っていた者、そのほか生命の危険を伴う災難に見舞われた者は、船が沈没し、災難が去ってから1年間、その生死が分からない場合に、失踪宣告を得て死別することができます。

配偶者の生死が3年以上不明のときには、裁判所の判決で一方的に離婚することが認められています。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

生死不明というのは、生きているかどうかもわからないという場合であり、生きていることは確かだが、居場所がわからないというのは当てはまりません。

夫が悪意である場合は次の対処になります。

生活費を入れず、行方も知らせないで蒸発したことは、民法上、悪意の遺棄として、それ自体独立した離婚原因です。

この場合には、7年も3年も1年も待つ必要はなく、悪意の遺棄を理由に直ちに離婚できます。

夫は行方不明なのだから、欠席裁判となり、この場合、公示送達という手続になります。

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姑との不和の離婚・・・

旧民法では、配偶者の直系尊属からの虐待又は重大な侮辱を離婚原因としていました。

現行の民法では、婚姻を継続し難い重大な事由を離婚事由として認めています。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

夫が母に絶対服従のため、夫婦仲までおかしくなり、夫が離婚を求めた場合で、裁判所は、夫として父親としての自覚に欠け、円満な夫婦関係のためにさしたる努力もせず、妻を非難、嫌悪するばかりで、妻がまだ何とかやっていこうと反省しているにもかかわらず、一方的に離婚という形で清算するような身勝手は許されないとした事例があります。

離婚に当たっての直接原因は、妻と姑との不和にあるとはいえ、夫の冷淡な非協力的な態度に負うところが多い場合には、精神的苦痛に対して慰謝料を請求することもできます。

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信仰の違いの離婚・・・

妻の節度を越えた宗教活動によって結婚生活が破綻したと主張した夫の事例があります。

各人はその良心に従って特定の宗教を信ずる自由を有し、妻が***会の信仰に入ったこと自体についてはあえてとがめるに当たらないが、夫婦として共同生活を営む以上、宗教上の行為であっても、相手の立場を尊重しその節度を守るべきは当然である。

毎日長時間にわたって線香を焚いて御経をあげ、夫がその時間を短くするように頼んでも聞き入れず、夕方からは説法、勧誘のためにほとんど毎晩外出し、あまつさえ夫の取引先にも強引に勧誘し、食事を一緒にしないなどの妻の行為は、節度を超えたもので、夫にこれを我慢するよう要求するのは相当ではない。

そのために婚姻関係が破綻するに至った以上、夫から離婚を請求されてもやむをえない、としました。

度を越した信仰活動のため、結婚生活が破綻してしまった場合の離婚理由は、結婚を続けることが難しい重大な事情があるときとされます。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

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