手形につけられる条件とは・・・
手形の裏書の目的欄に条件を記載することで、特殊な効果が生じます。
手形の裏書には振り出しと同じ重い責任があります。
しかし、手形を裏書譲渡したいが担保責任を負いたくないという場合には、目的欄に「無担保」とか「支払いを担保しない」と書けば、裏書譲渡した裏書人は、担保責任を負わずに権利だけを移転する事ができます。
これを無担保裏書といいます。
しかし、被裏書人の立場からすると、無担保裏書の手形が不渡りになった場合に裏書人に支払い請求できなくなりますから、被裏書人がこんな手形を受け取るわけがありません。
このような裏書がある理由として、銀行が不渡りになった割引依頼人に買い戻させるためです。
買い戻させた後に、この不渡りになった手形の裏書に、銀行は割引依頼人を被裏書人として「本手形裏書の責を負わず」などと書いて依頼人に返却します。
なお、裏書人として、すでに署名している人を被裏書人とする裏書を戻り裏書といいます。
目的欄に「裏書禁止」と書いておく裏書を裏書禁止裏書といいます。
裏書人は直接の被裏書人に対してだけ担保責任を負えばよくなります。
裏書禁止とは、それ以後の裏書そのものを禁止するという意味ではなく、それ以後の被裏書人に対して担保責任を負わないという意味です。
このような手形も裏書譲渡できます。
手形上の権利に質権を設定するための裏書を質入裏書といいます。
この場合、目的欄に「担保のため」とか「質権設定」あるいは「質入のため」というように書きます。
これによって、被裏書人は裏書人に対し、手形上の権利を取得した質権者として手形金の支払いを請求する事はできますが、この手形で通常の裏書譲渡をしたり、さらに質入裏書をしたりすることはできなくなります。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください
平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 殿 |
裏書譲渡した裏書人は、担保責任を負いません。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月10日 拒絶証書不要 住所 東京都中野区******** |
被裏書人 株式会社田中運輸 殿 |
銀行が不渡りになった手形を割引き依頼人に買い戻させるための条件です。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 殿 |
裏書人は、直接の被裏書人に対してのみ支払義務を負えばよいのです。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 殿 |
手形上の権利に質権を設定したものです。
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白地式裏書とは・・・
白地式裏書とは、被裏書人を記入していない裏書をいい、略式裏書ともいいます。
この場合には、手形の所持人が手形上の権利者になります。
白地式裏書で手形を受け取った人が次の人に譲渡する方法は次になります。
①白地になっている被裏書人欄に自分の名前を記入し、記名式裏書に変えてから次の裏書人欄に記名押印して、記名式あるいは白地式で裏書します。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月10日 拒絶証書不要 住所 東京都中野区******** |
被裏書人 株式会社田中運輸 殿 |
②白地になっている被裏書人欄はそのままにして、次の裏書人欄に記名押印し、記名式あるいは白地式で裏書する。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月10日 拒絶証書不要 住所 東京都中野区******** |
被裏書人 殿 |
③白地になっている被裏書人欄に手形を譲渡する相手の氏名を記入します。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 殿 |
④何も書かずにそのまま相手に渡します。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 殿 |
手形を白地式裏書で受け取ったら、③か④の方法によって、自分は裏書人として責任を負わずに譲渡できることになります。
白地式裏書になっている手形の所持人が銀行に手形金の取立を依頼する場合は、自分を被裏書人として記入しても、そのままでもよいとされています。
ただし、記名式裏書で受け取った手形を次に譲渡する場合は、裏書を連続させるために、裏書をしてから渡します。
統一手形用紙の裏面の裏書欄は4つですので、裏書欄がいっぱいになったら裏書欄をコピーしたものを付箋として貼り付けて消印し、そこに裏書を連続させます。
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銀行へ手形の取立依頼とは・・・
手形は裏書されて流通していますから、手形金を支払ってもらうには、手形を振出人に見せて、その手形の権利者であることを示してから支払い請求をするのが原則です。
これを支払いのための呈示といいます。
しかし、実際には各銀行が手形交換所で取立依頼された手形を呈示し合っているので、所持人は、自分の取引銀行に取立を依頼すればよいことになっています。
この際、所持人は取立のための裏書をして取引銀行に取立依頼をします。
取引銀行に取立依頼する場合、取引銀行を被裏書人として、手形の目的欄に「取立委任」とか「取立のため」と書いて銀行に渡します。
これを取立委任裏書といいます。
統一手形用紙の支払場所になっている銀行に手形を呈示できるのは、支払期日とそれに続く2営業日の3日間だけです。
この3日間は日曜・祭日・土曜日などの銀行の休業日を含みません。
したがって、支払期日が休業日にあたる場合は、その翌日とそれに続く2営業日となります。
この支払い請求が出来る期間を呈示期間といいます。
<ゴールデンウィークの支払呈示期間>
1 | 日曜日 |
2 | 月曜日 |
3 | 祭日 手形の支払期日 |
4 | 祭日 |
5 | 祭日 |
6 | 金曜日 呈示可能日 |
7 | 土曜日 |
8 | 日曜日 |
9 | 月曜日 呈示可能日 |
10 | 火曜日 呈示可能日 |
11 | 水曜日 |
一覧後払い手形の呈示期間は、振出日の翌日から1年間です。
また、一覧後定期払い手形は一度振出人に呈示して、呈示した事実と日付を記載してもらい、支払期日を確定してからでないと取立委任できません。
手形の所持人は、自分の取引銀行が交換所で呈示できるように、支払日以前に取立委任裏書をして取引銀行に渡しておかなければなりません。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月10日 拒絶証書不要 住所 東京都中野区******** |
被裏書人 株式会社山田 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 株式会社みずほ銀行 殿 |
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