内縁解消の財産分与請求・・・

内縁解消の財産分与請求・・・

内縁関係を解消した場合に、財産分与が認められるかについて、内縁にはできるだけ婚姻に準じた法律効果を認めるべきであるとして、内縁の解消に際しては財産分与の請求が認められるとされています。

慰謝料の請求が認められる場合でも、財産分与の請求をすることができます。

財産分与は、内縁関係にあった間に生じた財産を清算するという要素と、内縁関係解消後の扶養の要素を含むものであって、慰謝料とは意味合いが違うからです。

請求の手続は、当事者間で話し合いがつかないときは、家庭裁判所に対し調停を申し立てることができますが、調停が成立しない場合には、審判が行なわれます。

財産分与の額及び方法については、具体的に婚姻ないし内縁の期間とか双方の資力、破綻の責任がいずれにあるかということなどが考慮されて、その額が決定されます。

(財産分与)
民法第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

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内縁の不当破棄は不法行為・・・

内縁とは、婚姻意思をもって夫婦共同生活を行い、社会的には夫婦と認められているにもかかわらず、法律によって定められている婚姻の届出の手続をしていないために、法律的には正式の夫婦とは認められない事実上の夫婦関係のことをいいます。

判例では、「いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない」としています。

内縁は婚姻に準ずると認められていますから、内縁が正当の理由なしに破棄された場合はもちろん、当事者の合意によって解消された場合にも慰謝料を請求することができます。

内縁が不当に破棄されたような場合には、故意又は過失によって内縁関係が侵害されたとして不法行為の責任が認められますから、内縁を不当に破棄した者に対して損害賠償の請求をすることができます。

損害賠償を請求できる範囲は、内縁を婚姻に準じたいわゆる準婚関係であることを前提にして、内縁が解消したことから生ずる精神的・物質的の全損害に及ぶとされます。

精神的損害である慰謝料の額を算定するべき基準としては、内縁の存続期間、当事者双方の資産状況、社会的地位、年齢、初婚か否か、子の有無、内縁を不当に破棄するに至った事情などが全て考慮されます。

判例も「内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして不法行為の責任を肯定することができる」としています。

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内縁の不当破棄の慰謝料額・・・

太郎と花子は結婚式を挙げ、事実上の夫婦として同棲し内縁関係に入りました。

太郎の収入が少なく家計のやりくりが大変だったので、花子は太郎に対し、「生活費が足りないからなんとかしてくれ」と訴えたが、太郎は「何とかなるからもう少し我慢してくれ」というだけで具体的な方策を講じなかったので、花子は太郎の頼りなさに正式の婚姻をするのはやめようと思って婚姻届を出さず、3ヶ月経過後に実家に戻ったまま太郎のところに戻らず、結婚を止めました。

太郎は花子に対し内縁不当破棄を理由に慰謝料を請求し、裁判所は花子に対し内縁の解消によって生じた太郎の精神的苦痛の慰謝料の支払いを命じました。

慰謝料の額としては、大体100万円から200万円前後とされます。

内縁解消の慰謝料の支払平均額は、約203万円とされます。

家庭裁判所において調停が成立した内縁関係解消の慰謝料額は、100万円以下が約50%で、同棲期間としては1年未満が約50%を占めています。

この額は、家庭裁判所において当事者が話し合いの結果、お互いが譲歩しあって決められた額です。

裁判によって、不当破棄による内縁解消の慰謝料を請求する場合には、慰謝料の額が変わってきます。

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