通行地役権・・・

通行地役権・・・

通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲渡人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲渡人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、通行地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解されています。

通行地役権とは、地役権のひとつで、他人の所有地を通行する権利のことをいいます。

地役権とは、他人の土地を自己の土地の便益のために使用する権利です。

一般に、他人の土地に、軽微な負担を加えればその目的を達することができるような権利の設定の仕方で、たとえば、他人の土地を利用して水を引く引水地役権、要役地の眺望を確保する観望地役権などがあります。

通行地役権は、他人の土地を通行する権利です。

自分の所有地が袋地である場合は、袋地通行権と呼び、たんなる地役権とは別の規定がある。

承役地とは、地役権が実際に行使されている土地のことをいいます。

欠缺(けんけつ)とは、「欠けていること」。

主に法学で用いられる(意思の欠缺、意思能力の欠缺、登記の欠缺、訴訟条件の欠缺など)が、近時は「不存在」に言い換えられることもある。

承役地部分を含むと地上の建物所有を目的とする賃借権に登記簿上劣後する通行地役権者からの右賃借権者に対する通行妨害禁止等の請求が、右賃借人と土地所有者との間で右賃借権を設定するに際し、右承役地部分を関係人の通行の用に供することが合意されていたものとみることができるとして、認容された事例があります。

共有者間の共有地を互いの通路として利用する旨の合意には、将来、共有分割をした時には、各自に帰属する部分につき、通行地役権を設定する意思が黙示的に含まれていたと解した事例があります。

これは、遺産分割後に生じた紛争ではありませんが、通行地役権の設定合意が黙示的に成立したと認められた事例があります。

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遺産分割後の紛争調整調停・・・

①申立人

債権者である相続人です。

②相手方

債務者である相続人です。

③管轄

相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。

④添付書類

申立人、相手方、被相続人の戸籍謄本

遺産分割協議書写し

⑤調停の成立

調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は確定判決と同一の効力があります。

複数の調停条項のうち、特定の権利義務だけ定めた条項だけを取り上げて、請求異議の訴え等によりその債務名義の効力を争い、あるいは当該条項に基づく特定の権利義務を負わないことの確認を求めることも場合により許されないではないが、本件条項は、いわゆる清算条項であって、特定の権利義務を定めたものではなく、したがって、本件条項のみの無効を確認しても、これによって、当事者間の特定の権利義務の存否や法律関係が確定するわけではないから、特段の事情のない限り確認の利益はないので、不適法とされています。

本件では、特段の事情として、別件調停事件において、被控訴人に対し、改めて離婚に伴う財産分与につき調停するため、本件条項の無効を確認する利益があるとの控訴人の主張には、本件条項があっても、当事者間において新たな合意をすることは自由であり、それだけでは確認の利益があるとはいえないとし、また、別件調停事件において新たな合意が成立しない場合には、控訴人の財産分与請求権は、離婚の時から2年を経過しているので、本件条項の有効無効にかかわらず消滅しているため、審判手続においてその請求権を主張することはできず、その場合においても確認の利益がないとされました。

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相続開始後に認知された相続人の価額請求・・・

相続開始後認知によって相続人となった者が、遺産分割を請求しようとする場合に、他の共同相続人が既に分割その他の処分をしているときは、価額のみによる支払請求権を有します。

(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
民法第910条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続入が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

この価額請求権の性質について、相続回復請求権の一種とみる見解と、遺産分割に準ずる請求とみる見解があります。

民法910条に規定に基づく相続開始後の被認知者の価額請求は、一般調停事項と解されます。

①申立人

相続開始後認知によって相続人となった者です。

②相手方

被認知者の登場によって相続分の変動を生じた共同相続人です。

③管轄

相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。

④添付書類

申立人・相手方・被相続人の戸籍謄本

不動産登記簿謄本

遺産目録

遺産分割協議書写し

固定資産税評価証明書

⑤調停手続

調停委員会は、当事者の主張を聴くとともに、職権で必要な事実の調査及び証拠調べなどを行ないます。

その結果、当事者間に相続開始時に認知された相続人の価額請求につき合意が成立し、これを調査に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は確定判決と同一の効力を有します。

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共有物の分割・・・

各共有者は、いつでも、共有物の分割を請求することができます。

分割の協議が調わないとき、共有者は、共有物の分割を裁判所に請求することができます。

(共有物の分割請求)
民法第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。

(裁判による共有物の分割)
民法第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

協議が調わないときとは、共有者の一部に共有物の分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含みますから、現実に協議をしたうえで不調に終わった場合に限られるものではありません。

共有物の分割は、共有者相互間において、共有物の各部分につき、その有する持分の交換又は売買が行なわれることであって、各共有者がその取得部分について単独所有権を原始的に取得するものではありません。

共有物分割請求権は共有の本質的属性として、持分権の処分の自由とともに、十分尊重に値する財産上の権利とされていますが、分割請求を受けている被告母は、慢性肝炎ににり患し、60歳を超え就業不能で、本件マンションを唯一の生活の本拠としていること、共有物分割のため競売に付されると、持分権者である被告母は、買受人に対抗し得る占有権原を有しないので引き渡し命令の対象とされ、退去を余儀なくされること、公庫ローン弁済の連帯債務者である原告子の意思に基づく競売開始により、被告母が残債務の一時の支払を余儀なくされること、競売開始により被告母が売得金のみでは、代替住居の確保は困難であり、原告子の経済的援助の見込みも薄いこと、他方、分割請求をしている原告子は、開業医として十分な経済力を有し、現に高賃料のマンションに居住していること、競売手続を利用して、本件マンションの被告母の持分を比較的安価で取得する道も残されていること、などの諸事情を総合勘案すると、原告子の分割の自由を貫徹させることは、著しく不合理であり、原告子の共有物分割請求権の行使は権利の濫用に当たるとして、請求を棄却した事例があります。

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