意思のない養子縁組の無効・・・
17歳のときに意味もわからず、叔父夫婦の養子になっており、元の籍に戻りたいのですが。
養子縁組は、双方的な身分行為で意思表示が必要であり、かつ、その合致が当然に要求されます。
(縁組の無効)
民法第802条 縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
2.当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第799条において準用する第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
当事者間に縁組をする意思がないときは、縁組は無効とされており、これには次のような場合があります。
①縁組の実体がないのに、誰かが縁組届を偽造して届出をした場合です。
②縁組の実体はあるのですが、当事者の知らない間に誰かが縁組届を出している場合です。
③当事者が縁組の届出をしているのですが、縁組の実体はなく、届は便宜的・形式的に過ぎない場合です。
このように、縁組の意思を欠く縁組は、意思なき縁組とし、当然に無効とされています。
17歳になってからの縁組の場合、15歳未満の場合の代諾者の縁組意思の有無の場合と異なり、養子となる者の縁組の意思を有していたかが問題となります。
縁組の意思が存在しなかったのですから、いつでも叔父夫婦との縁組を無効とすることができ、その方法は、家庭裁判所に養子縁組無効確認の調停を申立てます。
調停において、養子縁組が意思に基づかないものであったということを養親である叔父夫婦が認め、叔父夫婦との養子縁組を無効とすることに、双方共に異存がないのならば、家庭裁判所は、縁組無効の確認のための審判を行ってくれます。
叔父夫婦が、縁組無効の調停に合意してくれなかったときには、調停は不成立となりますので、地方裁判所に縁組無効の訴えを提起する必要が出てきます。
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暴力を振るう養子と離縁・・・
夫婦には子供がなく、妹夫婦の三男を養子としましたが、その養子が成長すると暴力を振るうようになり、お金を要求するので、養子縁組を解消したいのですが。
養子が乱暴したり、お金を要求したりする場合、養親は養親子関係を継続する意思がなければ、離縁を考える必要があります。
民法では、離縁するには協議上の離縁と裁判上の離縁ができるとされています。
(協議上の離縁)
民法第811条 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第2項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
(裁判上の離縁)
民法第814条 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
1.他の一方から悪意て遺棄されたとき。
2.他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
3.その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第770条第2項の規定は、前項第1号及び第2号に掲げる場合について準用する。
まずは、養子と協議し離縁できればよいのですが、協議が調わないときは、家庭裁判所に離縁の調停を行います。
調停が成立し、調停調書が作成されれば、確定判決と同一の効力を持つことになります。
養子が調停に応じなければ、調停は不成立となり、養子を被告として地方裁判所に離縁の訴えを提起し、離縁を認める判決を得ることになります。
離縁が認められるには、重大な理由が必要で、民法は裁判上の離縁につき、「他の一方から悪意で遺棄されたとき」「養子の生死が3年以上明らかでないとき」「その他縁組を継続しがたい重大な事由があるとき」を規定しています。
判例では、「養子が養親を敬愛せず侮辱した不快な言葉をかけたりし、円満な養親子関係の継続がしがたい場合」には養親の側からの離縁の請求を認めています。
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親権者の役割とは・・・
親権者について、民法では規定をおいています。
①成年に達しない子は、父母の親権に服する。
②子が養子のときは、養親の親権に服する。
(親権者)
民法第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
親権の内容は、「子を監護教育する権利・義務」とされ、個別的に次のように規定されています。
①親権者は子の居所を指定する。
②親権者は子に対する懲戒権をもち、家庭裁判所の許可を得れば子を懲戒場に入れることもできる。
③子が職業につくときは、親の許可を必要とする。
これは自分で商売する場合でも、他人と雇用契約を結ぶ場合でも同じとされています。
④親権者は子の財産を管理し、またその財産に関する法律行為については子を代表する。
親権者となるには、親たる身分に基づいて子の身上に支配を及ぼすことのできる能力を持っていなければならず、親自身が未成年者であるとか、被後見人、被保佐人、被補助人などは親権者となれません。
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