嫡出否認審判の戸籍届出・・・

嫡出否認審判の戸籍届出・・・

嫡出否認の審判が確定したときは、申立人は、その審判が確定した日から1ヶ月以内に、審判書の謄本及び確定証明書を添付して、戸籍訂正の申請を当事者の本籍地又は届出人の所在地にしなければなりません。

申立人が申請をしないときは、相手方が戸籍訂正の申請をすることができます。

出生届未了の子については、審判書の謄本及び確定証明書を添えて届出義務者が出生届をします。
この場合、子の出生後、父母が離婚しているときは、子は子の氏変更許可審判を得て、直接、母戸籍に入籍することができます。

親子関係不存在・嫡出否認の裁判が確定した場合、裁判に基づく戸籍訂正申請に基づき、子の戸籍に記載されている親の記載は消除されます。

出生届が届出義務者によるものでないときは、子の戸籍の出生事項の記載も消除されますから、この場合は、改めて届出義務者が出生届をして、子の戸籍を作らなくてはなりません。

届出義務者がいないときは、家庭裁判所に就籍許可申立をして、許可審判を得て戸籍を作ります。

子が婚姻、養子縁組などをしているときは、家庭裁判所に対して、戸籍に記載されている婚姻、養子縁組事項を新しい戸籍に移記するなどの戸籍訂正許可申立をして、許可審判を得て関係戸籍の整序をします。

嫡出子否認の裁判確定により、父戸籍から消除されて無籍者となった子の就籍許可申立において、申立人の母がフィリピン人であることは確認できず、実父は日本人であることが強く推測されるが、これも確認できないことなどを総合すると、申立人は日本で出生し、国籍法2条3号の「父母がともに知れないとき」に該当するとして就籍を許可した事例があります。

国籍法第二条 

子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

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相続欠格の民法891条1号事由・・・

相続人の行為が相続による財産取得の秩序を乱す結果となり、また、相続的共同関係を破壊することとなる場合、相続人が相続資格を失う制度として相続欠格及び推定相続人の排除があります。

相続欠格については、民法891条で規定されている行為をした者は、相続人となることができないと定めています。

民法第891条 

次に掲げる者は、相続人となることができない。
1.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2.被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3.詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4.詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」

死亡には、傷害致死は含まれません。

過失致死も同様ですが、殺人の未遂は含まれます。

「故意」の中には、相続人に次の説があります。

①殺意だけあれば足りる。

②殺意のほか相続法上有利になろうとする故意もあることを要する。

③加害者が殺意のほか被相続人又は先順位若しくは同順位にある相続人であることを知っていることを要する。

この中で、②が多数説とされています。

相続人が相続に関する被相続人の遺言書を隠匿した場合に相続人の行為が相続に関して不当な利益を目的とするものではなかったときは、遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、相続人は民法891条5号所定の相続欠格に当たらないとされます。

相続人が殺人罪で処刑される場合、処刑以前に相続が開始している場合には、原因たる事実発生のときから相続欠格者となりますから、その者が第三者に相続財産を処分してもその効力はありません。

執行猶予の場合には、次のような説があります。

①執行猶予の有無に関係なく相続欠格者となる。

②取り消されることなく執行猶予期間を経過すれば、遡って欠格事由はなかったことになる。

③執行猶予が取り消された場合でも欠格とはならない。

この中で、②が多数説とされています。

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相続欠格の民法891条2号事由・・・

相続人の行為が相続による財産取得の秩序を乱す結果となり、また、相続的共同関係を破壊することとなる場合、相続人が相続資格を失う制度として相続欠格及び推定相続人の排除があります。

相続欠格については、民法891条で規定されている行為をした者は、相続人となることができないと定めています。

民法第891条 

次に掲げる者は、相続人となることができない。
1.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2.被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3.詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4.詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。」

被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった場合、犯罪が既に捜査機関に発覚しているときは、告訴又は告発しなくても相続欠格者となりません。

刑事訴訟法第231条 

1.被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
2.被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

刑事訴訟法第239条 

1.何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2.官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

また、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者の配偶者若しくは直系血族は除外されます。

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相続欠格の民法891条3号事由・・・

相続人の行為が相続による財産取得の秩序を乱す結果となり、また、相続的共同関係を破壊することとなる場合、相続人が相続資格を失う制度として相続欠格及び推定相続人の排除があります。

相続欠格については、民法891条で規定されている行為をした者は、相続人となることができないと定めています。

民法第891条 

次に掲げる者は、相続人となることができない。
1.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2.被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
3.詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4.詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」

対象となるのは、次の行為になります。

①被相続人がする新規の遺言を妨害する行為。

②被相続人がする既存の遺言の撤回を妨害する行為。

③被相続人がする既存の遺言の取消を妨害する行為。

④被相続人がする既存の遺言の変更を妨害する行為。

これらの妨害行為によって、被相続人がこれらの遺言行為をしなかったときに相続欠格事由となります。

詐欺や強迫があっても、被相続人がこれらの遺言行為をしたときは、相続欠格事由にはなりません。

相続に関する遺言とは、次のものになります。

①推定相続人の廃除、その取消。

民法第893条 

被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

民法第894条 

被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

②相続分の指定、その委託。

民法第902条 

1.被相続人は、前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。
2.被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前2条の規定により定める。

③特別受益の持戻免除。

民法第903条 

1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3.被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。

④遺産分割の方法の指定、その委託。

⑤遺産分割の禁止。

民法第908条 

被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

⑥共同相続人の担保責任の減免。

民法第914条 

前3条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。

⑦遺贈の減殺順序、割合の指定。

民法第1034条 

遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

⑧遺贈。

民法第964条 

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。

⑨寄付行為。

⑩信託の設定。

⑪遺言執行者の指定、その委託。

⑫遺言執行者の報酬の指定。

⑬認知。

⑭祭祀主催者の指定。

日付のない自筆証書遺言に被相続人が日付を書き入れようとするのを妨害する行為は、民法891条3号に該当するとして、無効な遺言を妨害の対象とした場合も欠格になり得るときもあると解する学説があります。

詐欺又は強迫行為のほかに、自己に相続法上有利な財産の帰属を図り、又は不利な財産の帰属を妨害しようとする故意のあることを要するかという点については、これを要しないという説と、これを要するという説があり、後者が多数説です。

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