保証契約の種類・・・

保証契約の種類・・・

保証は、主債務者の債務を担保するために、債権者と保証人との間でなされる合意によって発生します。

保証債務は、主債務を担保させるための「従たる債務」といい、附従性、随伴性、補充性という性質があります。

保証人をとる場合には、通常、連帯保証をさせます。

保証債務には補充性があり、保証人には「まず主債務者に請求しろ」という催告の抗弁権、「まず主債務者の財産の執行しろ」という検索の抗弁権があります。

そこで、この補充性を排除させるための合意が連帯保証なのです。

主債務が商行為によるときは常に連帯保証となります。

また、保証債務には附従性がありますので、保証契約をしたときの主債務の額を超えることはありませんし、主債務が消滅すれば保証債務も消滅します。

後日主債務の金額が増加しても、その増加分を保証人に負わせることはできないのです。

しかし、継続的な取引をする際には、債務者の債務額は常に変動するような場合があり、このような場合には、一定の取引において発生する債務を、具体的な金額を特定しないで保証させる根保証をさせます。

根保証は、通常の保証にはない制約を受け、保証期間を定めないと、契約後相当期間の経過によって将来の保証債務負担を解消する任意解約権を行使されます。

主債務者の経済状況が著しく悪化するなどの予期せぬ事態が発生して保証人と主債務者の信頼関係が破壊された場合にも解約権を行使されてしまいます。

根保証の場合には、保証人が死亡しても相続人は保証債務を相続しないことになっています。

そのため、根保証をさせるためには、保証期間、保証限度額を定める必要があります。

また、複数の保証人をつける場合がありますが、普通の保証では、保証人の頭数で分割された額しか個々の保証人には請求できません。

これを分別の利益といいます。

そこで、複数の保証人を立てさせる場合には、分別の利益を排除するため、保証人全員と連帯保証契約をする必要があります。

それによって、保証人の誰か1人に対してでも全額の請求をすることができます。

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保証契約をする場合の注意・・・

保証人から債権回収を図るには、最終的に保証人の一般財産から返済を受けます。

ですので、資力のない人を何人寄せ集めても保証人としての価値がないのです。

個人経営企業などでは、会社の資産と代表者の資産は同じ場合が多く、また、配偶者などの家族も財布は同じなので、保証人としては適さないのです。

代表者に、会社の総責任者として連帯保証させるのは当然ですが、保証人として実質的な機能を果たさせる第三者を立てさせることが大切です。

保証人が、資産をもっているのか、自宅などの不動産をもっているのか、どのような収入があるのか、多額の借入をしていないか、などを調査することも必要です。

保証人が法人のときには、その法人が債務者とどのような関係にあるのかを確認することも必要です。

取引先と無関係に独立して経営していて、資産のある会社であれば保証人として適切ですが、この場合にも債務会社の代表者が保証人会社の役員になっている場合には注意が必要です。

会社の取締役が代表者を務める別の会社の保証人になるときには、取締役会の決議が必要とされます。

これがないと、後日、保証した会社から保証契約の無効を主張されることになりますので、必ず保証会社の取締役会議事録を確認し、コピーをとっておきます。

また、保証契約を結ぶ際には、必ず保証人本人に会って保証契約をする必要があります。

主債務者が、保証人に署名押印をしてもらってきたような場合、保証人が本当に署名したのかわかりません。

保証人が、後日、保証していないなどということのないように、保証人からは実印を押印させて印鑑証明書の交付を受けておくことが安全です。

どうしても保証人が立ち会えないまま契約をしなければならないときは、取引先を経ないで保証意思確認書などを直接保証人からもらうか、電話で保証意思を確認することが大切です。

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留置権の性質・・・

留置権は、ある物から発生した債務の履行を受けるまでは、債務者から預かっているその物を留め置くことができる権利をいいます。

修理の依頼を受けて時計を預かった場合に、代金を払ってもらうまでは時計を返さないことができる権利をいいます。

物の返還と債務履行を引換にさせることで、支払いを強いることになります。

企業取引の場合には、商事留置権が認められますので、債務者の物を取引上保管して占有している場合には、債務の返済を受けるまでその物を留置することができます。

売買などで、物の引渡は代金支払と引き換えでなければ拒むことができることを同時履行といいますが、留置権は物権ですので第三者にも留置権を主張できます。

留置権は留め置くことができるだけの権利ですので、これを換価して返済に充てるには、留置権に基づいて競売申立てをする必要があります。

そして、競売された換価金は所有者に返還しなければならないのです。

ただし、所有者が債務者のときには債権と相殺できますので、その限りで優先的な弁済を受けることができます。

商事留置権を有している債務者の商品を保管している倉庫会社などでは、留置権は効果的なのですが、債権回収という面では、あまり効果的ではないのです。

留置権は、取引実務における担保としては補充的な担保手段なのです。

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