保証債務の相続とは・・・

保証債務の相続とは・・・

保証人の保証債務に期限の定めがない場合は、保証の継続手続をする必要はありませんが、保証債務について期限が定められていて、期間の満了などその期限が到来する場合で、引き続き保証債務を存続させる必要があるときには、保証を継続させる手続が必要になります。

保証人に保証書を差し入れてもらう事や、債権者と保証人との間で保証債務の有効期間を延長するとか保証契約を更新する旨の合意をしてもらいます。

保証人が死亡してもらった場合、普通の借金の場合の保証で、1回限りの給付で履行される保証債務は相続されます。

しかし、継続的保証の場合の保証債務は必ずしも相続されるわけではありません。

継続的保証というのは、身元保証、継続的な金融取引、継続的売買取引契約、代理店契約、借地・借家契約等々の保証のように、継続的債権契約の特質を備えている保証をいいます。

この場合は、保証人は保証契約が存続する間、継続して抽象的な基本的保証債務を負担します。

まず、継続的保証の一つである身元保証の場合は、保証債務の相続は認められていません。

判例では、身元保証人の相続人は特別の事情のない限り、保証債務を承継しないとしています。

ただ、身元保証でも、身元保証人の負うべき損害がすでに発生していて、具体的な賠償債務になってから身元保証人が死亡した場合には、その債務は相続されます。

継続的金融取引では、債務額や存続期間に制限がない場合の保証債務については相続が認められないと考えられています。

継続的売買取引契約の場合の保証債務について、判例は「継続的売買契約について将来負担することあるべき債務についてした責任の限度額並びに保証期間の定めのない連帯保証契約における保証人たる地位は、特段の事由のない限り、当事者その人と終始するものであって、保証人の死亡後生じた主債務についてはその相続人においてこれが保証債務を負担するものではない。」としています。

ただ、継続的売掛取引の場合の保証債務については相続を認める考えもあり、賃貸借における賃借人の債務の保証債務は相続が認められる場合が多いです。

保証債務全般を通じて、その相続を認めるべきかどうかの判断の基準となるのは、その保証債務がその保証人にとって一身専属的なもであるかどうかであり、一身専属的なものであった場合には相続されません。

スポンサードリンク

保証期限延期約定書のひな形とは・・・

保証期限延期約定書

株式会社**** 殿

平成**年**月**日

住所 ***********
主債務者 ****

住所 ***********
連帯保証人 **** 印

私は貴社に対し、下記のことを約定いたします。

貴社と主債務者****との間の平成**年**月**日付****契約に関し、同契約から生ずる主債務者の貴社に対する一切の債務について、私は前同日、貴社との間において連帯保証契約を締結し、連帯保証の期限を本年**月**日と定めておりましたが、今般、その期限を平成**年**月**日まで延期し、引き続き、主債務者と連帯して履行の責に任ずることを約定いたします。

以上

スポンサードリンク

根保証人の相続とは・・・

ある特定の一定額の債務を保証するのではなく、主たる債務者との間の継続的な取引から生ずる不特定の債務を保証しているのが根保証です。

根保証債務の相続は、根保証の極度額と保証期間の有無により、判例や学説は次のようにしています。

極度額も保証期間も定められていない場合は、その根保証債務の相続性は認められません。

次に極度額が定められている場合は、相続性が認められる場合が多いとされています。

また、極度額は定まっていないけれども、保証期間が定まっている場合は、保証債務の相続を肯定する考えもありますし、否定する考えもあるようです。

根保証人の生前に発生していた具体的な債務については、相続を放棄しなければ、責任を免れる事はできません。

債権者としては、根保証人が死亡した場合は、その根保証契約がどうような内容のものであるかを検討し、場合によっては、新たな保証人と保証契約を結ぶようにしなければなりません。

スポンサードリンク

根保証人の解約権とは・・・

一般の特定した債務の保証の場合、保証債務の範囲は明確で、保証人が一方的に解約する事はできません。

継続的な保証の場合は、長い間に主債務者の資産状態・信用状態が悪化する場合もありますし、根保証に期間の定めがないときは、いつでも根保証人に責任を負わせる事は膨大な責任になってしまいます。

そこで、事情の変更に伴い、又は期間の定めがないときには、保証契約を結んでから相当の期間が経過したときには、根保証人に保証契約を解約する権利があるとされています。

根保証人の解約があると、保証契約は将来に向かって効力を失い、その後に発生した主債務については、その根保証人は責任を負わなくなります。

解約前に生じていた債務については、根保証人も責任を負う必要があります。

この根保証人の解約権は、次の場合に発生すると解されています。

①保証期間の定めがない場合で、保証契約締結後、相当の期間を経過しているとき

②債務者の資産状態・信用状態が保証当時より、著しく悪化したというような、根保証人が予想していなかったような事情の変更があった場合

判例は「期間の定めのない継続的保証契約は、保証人の主債務者に対する信頼が害されるに至った等保証人として解約申入れをするにつき相当の理由がある場合には、右解約により債権者が信義則上看過できない損害を被るような特段の事情がある場合を除いて、保証人から一方的に解約できる」としています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする