遺産分割協議の利益相反行為・・・

遺産分割協議の利益相反行為・・・

最判昭和48・4・24判時704号50頁

<事実>

A男の死亡により、A・B女との間に生まれた非嫡出子Y1・Y2とAの妻Xが相続人となった。

親権者BはY1・Y2を代理して遺産分割の協議を行なったが、後にY1・Y2はかかる協議は利益相反になるとして無効を主張した。

<争点>親権者と未成年者の間に利益の対立が全くない場合でも、親権者が複数を代理してなした遺産分割は利益相反にあたり無効となるか。

<判旨>

「民法826条所定の利益相反する行為に当るか否かは、当該行為の外形で決すべきであって、親権者の意図やその行為の実質的な効果を問題とすべきではないので・・・かりに親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく、親権者の代理行為の結果数人の子の間に利害の対立が現実化されていなかったとしても、同条2項所定の利益相反行為にあたるから、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のないかぎり無効である」。

スポンサードリンク

妾関係と著しい不行跡・・・

大判昭和4・2・13新聞2954号5頁

<事実>

Yは夫が死亡した後、2歳と4歳になる子供A・Bを抱えて生活に困り、歯医者の妾になって自己と子供の生活を維持してきた。

A・Bの祖父XがYの親権喪失を請求。

原審は、Yが主張するような事情があったとしても妾になるということは「認容すべきに非ざる」とし、親権喪失原因である「著しい不行跡」に該当するとした。

そこで、Yは、親権喪失制度の目的は子の安全と利益を保護すること、妾になったのは本件事情のもとではほかに選択の余地のなかったこと、過去の不行跡は問題とするべきではないこと、現在子の保護に著しく欠けていないこと、などを理由に上告した。

<争点>夫死亡後に親権者となった妻が妾となり内縁関係を結んでいる場合、その行為を「著しい不行跡」として親権喪失の原因とできるか。

<判旨>

「(妾となるが)如き行為は素より排斥すべきものあること言を俟たざるもその者の社会上の地位身分資力その他特殊事情の如何によりては未だ以て親権を喪失せしむべき著しき不行跡と目するを得ざる場合あるべく裁判所が親権の喪失を宣言するに際りては単に親権者に右の如き排斥すべき行為ありたる事実のみを以て足れりとせず須らくその事案に付前記各種事情の如何を審究参酌し果たして親権の喪失を来すべき著しき不行跡なりや否やを認定することを要す」。

スポンサードリンク

児童相談所長による親権喪失宣告申立・・・

東京家八王子支審昭和54・5・16家月32巻1号166頁

<事実>

親権者Yは妻と離婚後、3人の未成年者の親権者となり同居していたが、長女に対して性的虐待をしたため、長女は児童福祉法28条1項1号に基づき保護された後、母親とともに行方不明となった。

その後、生活が乱れ子供の養育も適切に行なっていなかったYが、次女Zに対して性交を強要したのでZは家出して児童相談所に一時保護された。

Yは親権を理由としてZの引取りを主張したので、児童相談所長Xは親権の喪失を求めた。

<争点>親権者による未成年者への度重なる性的虐待は、親権濫用となるか。また、親権者が、施設に一時保護された未成年者を引取り要求する場合、児童相談所長は親権行使の一時停止を求めることができるか。

<判旨>

親権者が未成年者に対して性的虐待をしているとの事実が認められる場合には、「未成年者の親権者である事件本人はその親権を濫用し、未成年者を虐待し、その福祉を著しく損っているものと言わなければならない」。

(審判が出される前、昭和54年4月20日に「審判前の仮処分」として、親権の行使を停止し、児童相談所長を親権代行者に選任している)

スポンサードリンク

後見人の追認拒絶と信義則・・・

最判平成6・9・13民集49巻6号1263頁

<事実>

精神に発達遅滞のあるYの世話や、Y所有の家屋の管理をYの姉Aが担ってきた。

XY間に、Y所有の建物につき賃貸借契約が締結された時も、Aが交渉にあたった。

その後建物の建て替えのためXが一時建物を退去するにあたり、建物建築後に建物の賃貸借契約が実現できない時には、Yは4000万円の損害賠償を支払うという予約がなされた。

ところが、Aは建物完成後に本契約を拒む意思を表明したため、Xが損害賠償を求めた。

1審では請求容認、控訴審継続中にYに禁治産宣告がなされ姉Bが後見人に就職した。

なお、Bはこの間の事情を知っており、一部手続を関与していた。

原審は、(1)Yが包括的な代理権をAに与えていないので無権代理で契約を締結した、(2)本契約を履行してもYの利益を害さない、(3)本契約の締結を拒む合理的理由はなく、(4)Bは契約の予約成立に関与しその内容を知っているから、相手方Xの保護も考慮されるべきであり、Bの追認拒絶は信義則に反するとした。

<争点>禁治産者の後見人が、無権代理人によりその就職前に締結された契約の追認を拒絶するためにはどのような条件を必要とするか。

<判旨>

「禁治産者の後見人がその就職前に禁治産者の無権代理人によって締結された契約の追認を拒絶することが信義則に反するか否かは、(1)契約の締結に至るまでの無権代理人と相手方との交渉経緯及び無権代理人が契約の締結前に相手方との間でした法律行為の内容と性質、(2)契約を追認することによって禁治産者が被る経済的不利益と追認を拒絶することによって相手方が被る経済的不利益、(3)契約の締結から後見人が就職するまでの間に契約の履行等をめぐってされた交渉経緯、(4)無権代理人と後見人との人的人間関係及び後見人がその就職前に契約の締結に関与した行為の程度、(5)本人の意思能力について相手方の認識し又は認識し得た事実など諸般の事情を勘案し、契約の追認を拒絶することが取引関係に立つ当事者間の信頼を裏切り、正義の観念に反するような例外的な場合に当るか否かを判断して、決しなければならない」。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする