敷金・入居保証金の担保とは・・・

敷金・入居保証金の担保とは・・・

債務者が店舗や事務所を他から賃借している時は、貸主に対し敷金や保証金を差し入れています。

敷金というのは、賃借人に賃料支払その他の債務を担保するために、賃貸人に交付、差し入れておく金銭のことです。

敷金を差し入れている賃貸借契約では、賃貸借関係が終わった時に、賃借人に賃料滞納等の債務不履行がなければ、賃貸人はこの敷金を賃借人に返還し、債務不履行があれば、敷金の中からその不履行の額を差し引き、残額を賃借人に返す事になっています。

この敷金を担保にとるには、その返還請求権について質権を設定する事になります。

そのためには、賃貸人、賃借人間の賃貸借契約を確認し、敷金の額や条件を調べ、その敷金返還請求権について質権設定契約を結び、賃貸人の承諾を取り付け、その承諾書に公証役場で確定日付をもらいます。

入居保証金や保証金といわれる金銭も敷金と同一の性質の場合もあります。

であれば、敷金と同様の手続で担保をとります。

これとは異なり、貸ビル業者がビル建設の資金の調達の必要から、入居者である賃借人から資金の一部を借りる目的で授受される入居保証金もあります。

このような保証金は、10年間は無利息で据え置き、11年目から毎年、年賦返還する契約になっていたりします。

このような入居保証金についても、質権設定や譲渡担保にとることができます。

質権設定のためには質権設定の契約を結ぶ事が必要ですが、その際に入居保証金預り証とか契約書を確認する必要があります。

譲渡担保も同様です。

質権、譲渡担保も第三者に対抗する要件として、ビル賃貸人に対して確定日付ある証書によって通知するか、またはその承諾を確定日付ある証書によって取り付けておく必要があります。

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火災保険金請求権の担保とは・・・

火災保険金の請求権は保険契約に基づく権利ですが、実際に火災による損害がおきなければ効力は生じません。

法律上は一種の条件付権利になります。

このような条件付権利も処分したり、また、担保の目的とすることができます。

火災保険金請求を担保に取るには、これに質権を設定します。

質権設定契約を結び、質権設定を保険会社に対抗するために、質権設定者から内容証明郵便などの確定日付のある証書によって、質権設定を保険会社へ通知するか、または保険会社から承諾を得て、さらにこれについて公証役場で確定日付をもらうことが必要です。

実際は質権設定者から保険会社に対する通知という方法はとられず、保険会社所定の質権設定承認請求書を保険会社に提出して保険会社の承認をもらい、これに確定日付を取っている場合が多いようです。

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工業所有権の担保とは・・・

特許権、実用新案権、意匠権、商標権を工業所有権といいます。

これらの工業所有権は無体財産権といわれます。

特許権者は特許を受けた発明を、業として自らがこれを実施する権利を専有していますが、これを他人に実施させる事もできます。

他人に特許を実施させるには、その他人に専用実施権を与える場合と、通常実施権を与える場合とがあります。

特許権、その専用実施権、通常実施権もこれに質権を設定する事ができます。

特許権やその専用実施権、通常実施権に質権を設定する場合は、債権者とこれらの担保設定者との間で質権設定契約を結び、さらにその質権設定を特許庁にそなえられている特許原簿に登録しなければなりません。

質権設定を登録する事は、特許権又は専用実施権を目的とするときは質権の効力発生要件、通常実施権を目的とするときは第三者に対する対抗要件となっています。

特許権は譲渡可能な財産権ですから、これを譲渡担保に取ることもできます。

ただ、専用実施権を譲渡する場合などは、特許権者の承諾を得る必要があります。

特許権者の承諾を得る必要があるのは専用実施権に質権を設定する場合も同様です。

また、特許権や専用実施権の移転は、相続その他の一般承継による場合を除いては登録しなければ効力を生じません。

譲渡担保に取った場合には、権利の移転ですから、特許原簿に権利移転の登録手続をする必要があります。

特許権以外の実用新案権、意匠権、商標権についても、特許権と同様に担保を取ることになります。

ただし、根拠となる法律が、それぞれ実用新案法、意匠法、商標法と異なりますので、それらを検討する必要もあります。

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ゴルフ会員権の担保とは・・・

ゴルフ会員権を担保に取ることもできますが、ゴルフ会員権の相場は不安定なため、いざ担保の実行の時には価値が低くなっている場合があります。

ゴルフ会員権を担保に取る方法としては、譲渡担保によります。

譲渡担保は、担保提供者から債権者に担保目的物を譲渡することによって担保の目的を達する事ができます。

ですので、ゴルフ会員権を担保に取るには、譲渡性があるかを確認しなければなりません。

会員制のゴルフクラブには、任意団体制、社団法人制、株主会員制、預託金会員制、これらの複合形態があります。

任意団体制、社団法人制は譲渡性が否定されるものが多く、株主会員制、預託金会員制は、譲渡性があるとされています。

例外もありますので、ゴルフ会員権を担保に取るときは、必ず譲渡性について確認しておく事が必要です。

株主会員制のゴルフ会員権に譲渡担保権を設定する時には、契約書を作成するほかに、株券を預かっておく必要があります。

預託金会員制の会員証は、それを預かる事は譲渡担保設定の要件ではありませんが、トラブル防止のためにも、預かることが大切です。

会員権の譲渡性が認められている場合であっても、ゴルフクラブの理事会の承認がなければ、ゴルフ事業者に譲渡の効力が生じません。

そのため、譲渡承認に必要な書類をあらかじめ受け取っておくべきです。

名義書換申請書、譲渡人の退会届、委任状、印鑑証明、内容証明による譲渡通知書などです。

また、会員が年会費を納めていないと、除名になることもありますから、未納がないことも確認しなければなりません。

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