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遺産管理者選任処分取消審判・・・
推定相続人廃除又は推定相続人廃除取消の審判が確定すると遺産管理者による相続財産の管理は必要ではなくなり、相続人が自ら相続財産を管理することができます。
家庭裁判所は、申立に基づき、遺産管理者選任処分を取り消さなければなりません。
この場合、遺産管理者は当然にその権限を失うのかについては、裁判所の選任した不在者の財産管理人は不在者本人が自ら財産を管理することができるようになったときでも選任を取り消さない限りその権限を失わないとされておりますので、これが準用されます。
遺産の管理に関する処分の取消申立は、家事雑事件です。
①申立権者
相続人、利害関係人です。
②管轄
処分をした家庭裁判所です。
③添付書類
資料は関連記録に添付されているので必要ありません。
④審判手続
家庭裁判所は、推定相続人廃除又は推定相続人廃除取消の審判が確定していることが認められる場合には、さきになした遺産管理者選任その他の処分を取り消さなければなりません。
処分の取消は、将来に向かってのみ効力を有し、遡及効を有しません。
管理中、遺産管理者が第三者に対してした行為及び第三者が遺産管理者に対してした行為は、相続人に対してその効力を有します。
管理処分取消の審判が効力を生じたとき、遺産管理者は相続人に対して、相続財産を引き渡し、かつ、財産の収支を計算してその結果を報告しなければなりません。
また、家庭裁判所にも計算書を添付して、管理終了の報告をします。
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推定相続人廃除届・・・
①届出義務者
遺言執行者です。
戸籍法第97条
第63条第1項の規定は、推定相続人の廃除又は廃除取消の裁判が確定した場合において、その裁判を請求した者にこれを準用する。
戸籍法第63条
1.認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から10日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2.訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
②届出期間
推定相続人廃除の審判が確定した日から10日以内です。
届出期間は初日を算入します。
戸籍法第43条
1.届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する。
2.裁判が確定した日から期間を起算すべき場合に、裁判が送達又は交付前に確定したときは、その送達又は交付の日からこれを起算する。
③届出書の記載事項
戸籍法において、一般的記載事項のほか、個別的記載事項が定められています。
④届出地
届出は、届出事件の本人である廃除された者の本籍地か、届出人である遺言執行者の所在地でします。
⑤届出の通数
届出事件の本人である廃除された者の本籍地で届出をするときは1通、その他の場合は2通です。
⑥添付書類
審判所謄本及び審判の確定証明書です。
⑦届出書の提出方法
届出人である遺言執行者が市町村役場に直接出頭して届出をします。
また、自ら署名押印した届出書を郵送してもよいですし、使者に提出させることもできます。
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推定相続人廃除の取消・・・
被相続人は推定相続人を廃除しても、後にその効力を消滅させようと思えば、廃除事由が消滅しない場合でも、いつでも自由に廃除の取消を家庭裁判所に申し立てることができます。
民法第894条
1.被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2.前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。
申立を家庭裁判所に対してすべきものとしているのは、廃除をするためには必ず家庭裁判所に申し立てることを要件とするのに対応し、手続の慎重を期し、権利関係を明確にするためです。
民法894条に基づく推定相続人廃除の取消の申立は、乙類9号の事項です。
①申立権者
生前廃除の取消は、被相続人に限られます。
②管轄
相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。
③添付書類
申立人・相手方の戸籍謄本
推定相続人廃除の調停調書謄本又は審判書謄本
調停委員会は、当事者の主張を聴くとともに、職権で必要な事実の調査及び証拠調べなどを行ないます。
その結果、当事者間に推定相続人廃除取消の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は確定した審判と同一の効力を有します。
調停委員会は、事件が性質上調停をするのに適当でないと認められるとき、又は当事者が不当目的で調停の申立をしたと認めるときは、調停をしないことができます。
調停をしない措置に対して、不服申立を許す規定はないので、即時抗告は認められません。
調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込がない場合又は当事者間に合意が成立した場合において、家庭裁判所が調停が成立しないものとして、事件を終了させることができます。
調停不成立として事件を終了させる処分は審判ではないので、これに対して即時抗告又は非訟事件手続法による抗告をすることができません。
また、裁判所書記官が家事審判規則141条に基づき当事者に対して行なう通知も調停手続における審判に該当しないので、同様に解されます。
家事審判規則第百四十一条
第百三十八条又は第百三十八条の二の規定により事件が終了したとき、又は法第二十五条第二項の規定により審判が効力を失つたときは、裁判所書記官は、当事者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
推定相続人廃除事件について調停が成立しない場合には、調停の申立の時に審判の申立があったものとみなされます。
調停不成立の場合には、調停の申立人が、改めて審判の申立をするまでもなく、事件は当然に審判手続に移行します。
推定相続人廃除取消の調停が成立したときは、裁判所書記官は、遅滞なく廃除された者の本籍地の戸籍事務管掌者にその旨を通知しなければなりません。
推定相続人廃除の取消の調停が成立したときは、申立人は、調停成立の日から10日以内に、その旨を届け出なければなりません。
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推定相続人の廃除を取消す遺言・・・
被相続人は、遺言で、いつでも自由に理由の如何にかかわらず推定相続人の廃除を取消すことができます。
民法第894条
1.被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2.前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。
民法第893条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
推定相続人の廃除を取消す遺言は、遺言者死亡の時に効力を生じます。
民法第985条
1.遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2.遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
遺言が効力を生じた後、遺言執行者は、遅滞なく、その推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求しなければなりません。
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推定相続人廃除取消審判・・・
遺言執行者は、推定相続人廃除を取消す遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除の取消を家庭裁判所に請求しなければなりません。
民法第893条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
民法第894条
1.被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2.前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。
遺言執行者の指定がないときは、遺言執行者に選任された者が遅滞なく請求します。
民法894条2項、893条に基づく推定相続人廃除の取消申立は、乙類審判事項です。
①申立権者
遺言執行者です。
②管轄
相続開始地の家庭裁判所です。
③添付書類
遺言執行者・被廃除者・被相続人の各戸籍謄本
遺言書の写し
遺言執行者の資格証明書
④審判手続
被相続人は、いつでも、推定相続人廃除の取消をすることができるので、廃除の取消は、廃除事由が消滅しているか否かを問わないと解されます。
家庭裁判所の審理の対象は、その取消が被相続人の真意に基づくものであるか否かの点になります。
推定相続人廃除を取消す遺言が効力を生じた場合、被廃除者は、そのことによって、当然に相続人の地位を回復するわけではありません。
家庭裁判所の推定相続人廃除を取消す審判が確定したときに、相続人の地位を回復します。
推定相続人廃除取消の効力は、相続開始の時に遡りますから、この場合に生ずる表見相続人にからんだ相続財産をめぐる混乱を防止するために、家庭裁判所は、遺産の管理に関する処分を命ずることができるものとしています。
民法第985条
1.遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2.遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
廃除を取消す審判は、被廃除者に対する告知によって効力を生じます。
この審判に対する不服申立の方法はありません。
遺言執行者は、推定相続人の廃除取消の申立を却下する審判に対して即時抗告をすることができます。
遺言に基づく推定相続人廃除を取消す審判が確定すると、廃除の取消は、被相続人死亡の時に遡ってその効力を生じ、被廃除者は相続人の地位を回復します。
推定相続人の廃除を取消す審判が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なく、廃除されていた者の本籍地の戸籍事務管掌者にその旨を通知しなければなりません。
遺言に基づく推定相続人廃除を取消す審判が確定したときは、遺言執行者は、裁判が確定した日から10日以内に、その旨を届け出なければなりません。
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推定相続人廃除取消届・・・
①届出義務者
遺言執行者です。
戸籍法第97条
第63条第1項の規定は、推定相続人の廃除又は廃除取消の裁判が確定した場合において、その裁判を請求した者にこれを準用する。
戸籍法第63条
1.認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から10日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2.訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
②届出期間
推定相続人廃除取り消しの審判が確定した日から10日以内です。
届出期間は初日を算入します。
戸籍法第43条
1.届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する。
2.裁判が確定した日から期間を起算すべき場合に、裁判が送達又は交付前に確定したときは、その送達又は交付の日からこれを起算する。
③届出書の記載事項
戸籍法において、一般的記載事項のほか、個別的記載事項が定められています。
④届出地
届出は、届出事件の本人である廃除された者の本籍地か、届出人である遺言執行者の所在地でします。
⑤届出の通数
届出事件の本人である廃除された者の本籍地で届出をするときは1通、その他の場合は2通です。
⑥添付書類
審判所謄本及び審判の確定証明書です。
⑦届出書の提出方法
届出人である遺言執行者が市町村役場に直接出頭して届出をします。
また、自ら署名押印した届出書を郵送してもよいですし、使者に提出させることもできます。
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