不貞行為等による破綻の慰謝料・・・
離婚の事案
妻は、服飾デザイナーで、結婚後も夫が経営する会社のブラウスのデザイン等の仕事をしていたが、その後、家事に専念した。
夫は、会社の従業員であった女性と不倫関係をもち、家を出て、妻と別居した。
夫は、妻に暴行を加え、妻は、夫を暴行罪で告訴し、夫は罰金7000円に処せられた。
夫は、また違う女性と不倫関係にあった。
夫は、妻に生活費の支払をしなくなったために、妻は婚姻費用分担の調停申立をなした。
妻は、夫に対して、離婚、離婚による慰謝料、財産分与を求める本件訴訟を提起した。
離婚の判例
①裁判所は、夫の行為は、民法770条1項1号、2号、5号に該当するとして妻の離婚請求を認めた。
慰謝料については、夫の不貞行為と悪意の遺棄及び夫の責に帰すべき事由により婚姻が破綻したことにより妻が相当の精神的苦痛を被ったことは推測するに難くなく前記認定の諸事実に本件にあらわれた一切の事情を考慮すると、右苦痛を慰謝するためには金1000万円が相当であるとした。
②また、財産分与については、夫について、妻が居住している建物の敷地である土地の所有権の移転と、1億円の分与を命じた。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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性交渉がない場合の慰謝料・・・
離婚の事案
妻は、結婚前までエレクトーン講師として月収約25万円を得ていたが、結婚のためにその仕事をやめた。
結婚当時、妻は35歳、夫は44歳で、いずれも初婚であった。
夫は、新婚旅行中も、同居を始めてから妻が家を出るまでの間も、妻に指1本触れず、性交渉を求めたこともなかった。
また、夫婦としての会話もほとんどなかった。
そのため、妻は、家を出て実家に帰った。
そして、妻と夫は協議離婚した。
結婚に際して妻は、家具等の購入費として少なくとも約447万円を支出し、離婚の際にこれらのものは妻が持ち帰ったが、結婚生活を継続しないなら不要のものである。
また、妻は、離婚後にエレクトーン講師の職に就いたが、収入は以前の3分の1以下となった。
妻は、夫に対して離婚による慰謝料として1000万円を請求する本件訴訟を提起した。
離婚の判例
裁判所は、夫が性交渉に及ばなかった真の理由は判然としないわけであるが、前記認定のとおり夫は性交渉のないことで妻が悩んでいたことを全く知らなかったことに照らせば、夫としては夫婦において性交渉をすることに思いが及ばなかったか、もともと性交渉をする気がなかったか、あるいは夫の性的能力について問題があるのではないかと疑わざると得ないと述べ、夫妻の婚姻生活が短期間で解消したのは、もっぱら夫のみに原因があるとして、夫に対して500万円の慰謝料の支払を命じた。
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暴力による離婚の慰謝料請求・・・
離婚の事案
夫は船員で、長期間の乗船勤務があり、妻に対して家事をおろそかにせず、子供たちを厳しくしつけることを求めたが、妻がその期待に応える程度にいかなかったことから、注意していうことを聞かないと暴力で従わせる傾向があった。
夫と妻は、妻が行なっているボランティア活動のことでケンカとなり、夫は、妻を一本背負いで投げ飛ばした上、妻の顔面、頭部、腰等を何回も殴る、蹴るなどの暴力を振るった。
妻は、本件暴行により右鎖骨を骨折し、腰痛が発症し、本件暴行以後家を出て夫と別居した。
夫は、妻に対して離婚を求める訴訟を提起し、妻は、離婚、離婚慰謝料、財産分与、本件暴行による慰謝料を求める反訴を提起した。
離婚の判例
①一審は、夫と妻の間には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして本訴、反訴の各離婚請求を認容した。
本件暴行による損害賠償については、入通院慰謝料50万円、後遺障害慰謝料300万円、後遺障害による逸失利益400万円の支払を認めた。
また本件暴行を除く離婚による慰謝料として350万円、財産分与として1800万円の支払を認めた。
②控訴審は、離婚による慰謝料については一審と同様に350万円を認め、入通院慰謝料100万円、後遺障害慰謝料500万円、後遺障害による逸失利益1113万5023円の支払を認めた。
また、夫婦間の暴行による損害額の算定について、一審と異なり、夫婦関係があること、保険制度が完備していないことにより、交通事故の損害算定に比して低額の損害額の算定をすべきではないと判示した。
財産分与については、夫が一級海技士の資格をもち、海上勤務が多かったことから多額の収入を得られたことが資産形成に大きく寄与しているとして、形成財産の約3割に当たる2300万円の支払を命じた。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
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