代表取締役の個人保証をもらう・・・

代表取締役の個人保証をもらう・・・

法的には、会社の行った取引行為について、代表取締役である社長や他の取締役も、なんら個人的な責任を負うわけではありません。

株式会社では、社長といえども、自分が出資した限度で会社の負うべき責任を負えばよく、それ以上の責任は負わなくてもよいとされています。

しかし、返済が遅れるようであれば、社長個人にも連帯保証人になるよう請求すべきです。

中小企業では、会社が倒産しても社長個人として支払い能力を持っている場合があるからです。

ちなみに商法では、保証している債務が、主たる債務者の商行為によって生じたとき、または保証する事が商行為であるときは、債務者と保証人とが別個の行為によりそれぞれ債務を負った場合でも、連帯保証となると規定しています。

また、根保証とは、取引で生じる債務を継続的に保証するもので、期間や極度額を定めます。

根抵当権者は、設定の時より3年を経過したときは、いつでも元本の確定を請求できます。

また、期間の定めがない保証契約の場合の解約について、判例で「主債務者に対する保証人の信頼が害されるにいたった等、相当の理由がある場合には、債権者が信義則上見過ごす事ができない事情がある場合を除いて、保証人が一方的に保証契約を解約できる」としています。

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手形のジャンプとは・・・

債務者が担保代わりに手形を差し入れている場合には、債務が約束の期限までに支払えなければ、振り出した手形は不渡りになってしまい、不渡りが重なれば銀行取引停止処分となり、倒産ということになります。

ですので、債務者は期限前に債権者のところへ来て、手形の期日を書き換えてくれるよう頼むしか手がなくなります。

これを手形のジャンプといいます。

債務者の頼みを断って債務者が倒産するような事があれば、債権を回収する事ができなくなります。

手形の期日には本来回収できるはずの債権が先に延ばされる事になりますが、考えを変えれば、債権の保全をできるかもしれません。

手形の書き換えに応じる場合には、次のことに注意が必要です。

①書き換える手形の金額は、書き換え前の手形金額に遅延利息を加えた金額にしてもらうこと。

②書き換え前の手形に、裏書人、手形保証人がある場合には、再度同じ裏書人、手形保証人を付けてもらうこと。

債権回収が難航すると、なかなか遅延利息まで請求できません。

それが手形を書き換える事によって、確実に回収できます。

また、旧手形についていた裏書人や手形保証人を改めてつけてもらえば、万一、手形が不渡りになったとしても、これらの人に手形金を請求できます。

もし、銀行から不渡りの連絡を受けた場合には、その理由と異議申し立ての有無を確認します。

異議申し立てがあれば、異議申し立て預託金の仮差押をすべきです。

また、異議申し立てがないようでしたら、至急手形の振出会社の財産を調査して仮差押します。

その後は、手形の振出会社との折衝ということになりますが、最終的には手形訴訟を起こし、判決を得て強制執行することになります。

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債権回収はまずは請求から・・・

債権を持っていれば、必ず請求をすることが必要になります。

請求できる事、これは債権の効力の一つです。

債権が期限付きのものでない場合には、請求する事によって債務者には支払義務が発生します。

その時点から債務者には債務不履行の責任が発生し、その結果、遅延損害金の請求もできるようになります。

また、請求する事によって、債権の消滅時効の進行を更新する事もできます。

請求は時効更新事由の一つだからです。

裁判による請求の場合には、完全に時効の進行は更新しますが、裁判外の請求の場合には、6ヶ月間だけ時効が完成しないという効力があるだけです。

この6ヶ月の起算日は催告が相手に届いたときからです。

届いたかどうかは催告をした側が証明しなければなりませんので、配達証明付内容証明郵便で出します。

時効完成間際の場合には、とにかく請求する事です。

債権者が請求すれば、支払いを滞らせている債務者でも「あともう少し待ってくれ」などいう可能性はあります。

この一言があれば、債務を承認したことになりますので、後でもめないように書面をとっておきます。

この債務の承認があれば、時効の進行は完全に更新します。

債務者が1円でも支払えば、これも債務の承認になります。

この場合にも控え付の領収書を作って渡し、サインをもらい、後日に証拠を残すようにすることが大切です。

ちなみに時効は完成猶予をする場合もあります。

時効の完成猶予は、時効を更新する事が困難な事由があるときに、一定の期間だけ時効を完成猶予するものです。

時効の完成猶予事由は次の場合になります。

①時効満了時に未成年であったときは6ヶ月

②夫婦が離婚したときは6ヶ月

③相続人が確定しなかったときは6ヶ月

④天災等が発生したときは2週間

なお、時効の完成猶予は、すでに完成してしまった時効には適用がなく、もうすぐ時効が完成しそうだというときに役立つものです。

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